まいど通信


        

まいど!まいど通信編集長の田中です。前もってわかっていたのだから驚くことではないのですが、それでもそれを認めたくない気持ちがあるからか、または自分の能力を棚に上げ、天体が運航する法則に問題があると責任転嫁するつもりなのか、自分でもよくわからずに首をかしげながらやっぱり驚いてしまうのですが、今日から師走です。そしてこれがもう今年最後の月刊まいど屋です。ちょっと、あまりに早くないです?まるで健康ランドの100円按摩器に100円入れて座ったとたん、すぐに止まってしまったような気分です。もちろん、そんな馬鹿なって思いますよね。悪いのは按摩器であって、こっちに非があるはずがありません。で、自分が知る限り、そういうときの対処法は、昔から一つしかありません。店員さんを呼んで壊れてるじゃないかって文句を言いたいところだけど、ちゃんと3分経ってますよって反論されたら恥ずかしいので、ただ一人でぶつぶつ呟いて首を振り、独り芝居のように驚いて見せるしかないんです。驚いた顔をするのは、もちろん、周囲の人に自分の窮地をわかってもらうためではありません。そんなもの、気にするような暇人などどこにもいやしません。そうやってとりあえず驚いておくのは、自分が驚いていることを確認するために、そしてそれが正当な驚きであると自分で納得するために、自分自身に向けて驚いた顔をするんです。その不運をやり過ごすための、ひとつの区切りとして。
というわけで、今年はもうあと1か月しかないという現実がいかに理不尽であるか、賛同してくれる読者の方が一人もいなかったとしても、まいど屋はやはり、不幸な今年から切り離された真っさらな来年を迎えるためにここで驚きの声を上げないわけにはいかないのです。いいですか?いきなり今日から12月だとそんな無茶を言われたって、こっちは年初に決めた予定がまだ全然消化できていないんです!今年に入って急にまいど屋の取り扱いラインナップに加わった新カタログが7冊もあって、現時点においてさえ、全く手を付けられていないんです!だいたい、既存のコレクションのアップデートの作業量自体が膨大で、ただでさえ時間が足りないっていうのに、あと1か月でどうやって全部終わらせればいいんです?大きな声では言えないけれど、編集部の残業時間は、例の某広告代理店さんとほとんど同じくらいあるはずです。それが証拠に、ここ何年も、家でちゃんと寝た記憶がありません。それなのに、もう12月。本当に驚いてしまいます。読者の皆さんが冷ややかにまいど屋の絶望的な一人芝居を眺めているとしても。

で、まいど屋鬼十則(年末特別公開)
1、カタログをつかんだら放すな、殺されても放すな、画面が出来上がるまでは
2、画面は自ら創るべきで、与えられるべきでない
3、新商品をアップしろ、そしてそれを成し遂げるところに進歩がある
4、新カタログを恐れるな、商品追加は進歩の母だ、でないとまいど屋に未来はない
5、画面には一分の隙もあってはならぬ、ネットショップとはそのようなものだ
6、仕事が終わるまで帰るな、途中でやめると、翌日悲惨な朝を迎えることになる
7、約束した納期は何があっても守れ、たとえ佐川の集荷が夜10時を過ぎたとしても
8、メーカーを引きずり回せ、引きずり回せばそのうち無理を聞いてくれるようになる
9、サービス過剰を恐れるな、サービスは信頼の母、リピート訪問の肥料だ
10、スタッフは月刊まいど屋を読むな、読むとせっかくのやる気が失われる
*ホンモノの鬼十則は、ネットでググればすぐ出てきます。興味のある方はご自由にどうぞ。

今月のテーマは防寒服
最近の防寒着は、数年前とはかなり様子が違ってきています。主流だった「いかにも作業服」な昭和的テイストはもうすっかり影を潜め、現在は普通のカジュアルショップの店頭に飾ってあるのとほとんど見分けがつかないような、デザイン性を意識したウェアが主役になっているんです。変化が起きたのがはっきりといつとは覚えていないのですが、つい最近であることは間違いありません。そしてその断絶は、まるで有無を言わせずある日突然暴力的に引き裂かれてしまった活断層のように鮮やかで、昔を知る人間にとっては、ある種の恐れを抱かせるに十分なほど生々しい分裂のように映ります。
ただ、いくら見た目の雰囲気が変わってしまっても、やはり各社とも作業着としての本来の使い勝手には相当神経を使っているようで、そこは見慣れぬ顔立ちに居心地の悪さを感じている古い世代のワーカーであっても、最初の照れくささを我慢すれば、次第に安心して使っていけるような実力を備えていることが多いように思います。美しくあれ、そして機能的であれ。ジョブズがあの有名なスピーチでそう言ったかどうかは定かではないけれど、とにかく今、ワーキングの防寒服はそんな方向に向かって猛烈な勢いで突っ走っているんです。そしてその先頭ランナーと言っていいのが、今回ご紹介する3社です。ワークウェアのプロであるまいど屋でも油断すると振り落されるほどの暴れ馬ばかりですが、最旬であることは保証します。ぜひ、ウェア選びの参考にしてくださいね。

ところで、まいど君がゆくが連載100回を越えましたよ
そうです。100回です。苦節4年とちょっと。とうとうバックナンバーが3ケタに達しました。そして今月1日には、新たに101話がアップされています。昔流行った101回目のプロポーズじゃないけれど、トラックの前に飛び出してまいど屋は死にましぇんと読者の皆さんに向かって叫びたいくらいです。まいど屋は死にましぇん。マンガを楽しみにしてくれている皆さんが好きだから。まいど屋が皆さんを幸せにしますから。どれほど皆さんに邪険にされようとも、後ろ指を指されて笑われようとも、必死になってそう訴え続ければ、いつかは読者の皆さんがまいど屋の中でそっと暖められてきた真の誠意を読み取り、あの名作ドラマのようなハッピーエンドを迎える日が来ると信じて、これからもがんばって続けていこうと思います。
なお、今年の春先に読者の皆さんにご報告した通り、第一話からずっと連載を続けていた藤井先生が昨年暮れに突然お亡くなりになったため、今年からは藤井先生と親交のあった今木先生にマンガを引き継いでいただいています。まいど君がゆくも死にましぇん。天国の藤井先生、どうか見守っていてください。

今年もありがとうございました
なんだかんだと言いながら、今年も無事にゴールが見えてきました。ちょっと気が早いですが、お付き合いいただいた読者の皆さんに、心から御礼を申し上げたいと思います。某次期大統領並みの暴言の数々にも関わらず、まいど屋を炎上させることもせずにかくも寛大にすべてを受け入れ、もしくは博愛的な無関心を貫いて右翼の街宣車をやり過ごすようにただ無言で通り過ぎていただきました皆さんの懐の深さに対し、編集部は驚きと共にある種の感動すら覚え、ますます反社会的で挑発的な姿勢を強めていくことを自らの使命として改めて決意する次第なのであります。とりあえず次回正月号では、これまでの月刊まいど屋のテイストをさらに先鋭化させ、皆さんにかつてないほど痛烈な一撃を加えさせていただく所存でありますので、どうか、お楽しみにお待ちいただければと思います。
ところで来年はまいど屋が始まってちょうど10年目にあたります。年の瀬を迎えてそのことに思い至ると、今度は柄にもなく自責の念に駆られてきます。桃や栗はおろか、柿だって立派に育つ時間が流れたにもかかわらず、まいど屋はいまだ成長しきれていないという事実に、内心忸怩たる思いを抱かざるを得ないのです。開き直るわけではないのですがと前置きしてから何かをしゃべる人間は例外なく開き直っているという法則の通り、まいど屋もまた開き直っていると思われると困るのですが、開き直るわけではないけれど、とにかくステップアップするための時間がなさすぎるんです。年と共に忙しさが加速度的に増してゆき、過ぎていく時間が叶姉妹のメイク以上に濃密になった今では、物事を深くじっくりと考える暇は全くなく、ただ手足を忙しく動かしてその日を乗り切るしかなくなってしまっています。毎日が昔、底抜け脱線ゲームでやってた風船割りの機関車みたいなものなんです。先頭に針が付いているミニチュアの機関車が一周してくるまでに、とにかく目の前の仕事をやれるだけやって、針先が風船に触れそうになる間一髪のタイミングで風船を脇にどける。それを延々と繰り返してる状況では、成長なんて永遠にできっこないのです。
以上のことをご考慮いただき、来年になってもまいど屋が相変わらず同じようなロクでもない月刊まいど屋を連載し続けていたとしても、そこは皆さんもこれまでと変わることなく、仕方がないなと苦笑しながら見過ごしていただければと思います。来年も、骨身を削って元気に頑張ります。ではまた、お会いしましょうね。
*年末年始のお休みは、12月30日(金)~1月4日(水)です。