まいど通信


        

まいど!まいど通信編集長の田中です。新年早々、まいど屋にお越しいただきましてありがとうございます。こうして読者の皆さんに新春のご挨拶をするのも、もう10回目になりました。10回目。そうです、今年はまいど屋と皆さんの親密な関係が始まってから10年目。記念すべきアニバーサリーイヤーなのであります。正直に言うとお付き合いが始まった最初の頃、皆さんとの関係がこれほど長く続くとは思っていませんでした。いくつかの楽しい経験を共にしたあとは、世の中の大半の運命の出会いがそうであるように、適当なタイミングで自然消滅するものだとシニカルな予想を立てていました。ところがそうはならなかった。現実と慣れが初期の浮かされたような情熱を少しずつ損なっていき、遂には仮面をはがされた裸の人間同士だけが残った後でも、関係はやはり続いていった。それから恍惚感に包まれた気だるさが徐々に薄らぎ、相手からあの絶対的に思えた神秘性が消え去ってしまっても、辛抱強く想い出の歴史を積み重ねてきた。そして驚くことに、年月が経つにつれてその結びつきはネット空間を超越してリアルな身体的実感さえ伴いながら、より強まっているようにも思えるのです。よほど相性がよかったんだと思います。だからまいど屋は皆さんに対し、ここでよそよそしく新年おめでとうなどと紋切り型の口上を述べるより、もっとパーソナルに、我々の関係にふさわしい、こちらの生々しい息遣いや体温をもう一度皆さんに思い出してもらえるようなお祝いをしたいと考えています。それが今回皆さんにお届けする「裏まいど屋」です。よそ行きの化粧箱など捨て去って生身の体をさらし、まいど屋の正体を赤裸々にお見せする---まいど屋と皆さんの深い仲をこれからも密やかに、そしてずっと続けていくために。

ようこそ、トワイライトゾーンへ
本当に怖いものを見たくないか?カーラジオが壊れてしまった車内で、助手席にいる男がそう言ったとします。時刻は真夜中です。多分あなたはそれに答えられない。絶句したまま相手の横顔をチラチラと見やり、一体この男は何をしようとしているんだろうと考え始めるはずです。それに、ふと我に返ると、あなたはその男に全く見覚えがないんです。どうしてこうして二人並んで会話をしているのかも思い出せない。内心の混乱を悟られまいとし、あなたは黙ったまま男の様子をうかがっている。音楽が途絶えてしまって静まり返った空間が、二人の人間を乗せて闇に向かってただひたすら疾走していきます。あなたはどう返事をすればいいのかを考え続ける。そして結局は無言のまま、相手が再び口を開くのを待っている。
それでいいのかもしれません。相手は別にあなたの答えを期待して質問したんじゃないですから。あなたがその問いかけに一言も反応することがなくても、もう既にあなたの周囲に広がる空間は、不可思議な現象が起こる場所へと変質してしまっているんです。あなたの目に映る景色はさっきと全く同じようでも、何かが決定的に違います。あなたの皮膚はそれを敏感に感じ取り、あなたの目は怯えたように宙をさまよう。やがてあなたを映していたカメラが引いていき、そしてあの焦燥に駆られたようなピアノの旋律がどこからともなく聞こえてくるんです。そう、今月号の月刊まいど屋を開いてしまったあなたは今、トワイライトゾーンへと足を踏み入れました。三部作のオムニバスで構成された、世にも不思議な裏の世界に。隣の男が再びあなたに問いかけます。本当に怖いものを見たくないか?

で、今月のテーマは裏まいど屋
さて、皆さんは今、お節料理に適当に手を付けただけで自室に引きこもり、家族もほったらかして目の前のパソコンにかじりついていることと思います。そして友人には明日の午後に約束していた初詣を急用のためキャンセルするとメールし、欲望に流されるままこの月刊まいど屋をむさぼるように読み進めていることと思います。それでいいんです。一度しかない人生です。自分に正直に生きたいならば、ロクでもない世の中のしがらみなどに構っているヒマはありません。アルコール度数がアブサン並みに高まったデザイアの海に浸りきり、真っ逆さまに堕ちていけばいいんです。その先に何が待ち受けているのかなんていちいち考えていたら、やりたいことなど何一つできません。常識とモラルに飼いならされた末、これだってなかなかいい人生かもしれないと自分で自分に無理やり言い聞かせながら、そして自分の嘘に気付かぬふりを必死で続けながら、一生を終えることになるだけです。
幸い、今ここにいる読者の皆さんは、そんな抑圧に満ちた世間のルールにノーを突きつけ、自分自身の生を切り拓くために行動を起こしてまいど屋に来てくれました。そんな皆さんを前にすれば、まいど屋も生半可な気持ちで対応するわけにはいきません。よって今回のレポートでは、普段は皆さんにお見せすることのないまいど屋の裏の顔をあえて公開し、まいど屋もまた、皆さんと同じように自らの血を流す覚悟を示したのです。小説仕立てにしたためにリアリティーが若干損なわれたかもしれませんが、少なくともまいど屋が常に皆さんと共にあるという決意だけは伝わったのではないかと思っています。
なお、第1話の<笑ゥ営業まん>を既にチェックしたひとなら恐らく気になっているかと思いますが、月刊まいど屋の今後について、まいど屋の公式な見解をここで改めて表明しておこうと思います。月刊まいど屋は今後もまだまだ続きます(たぶん)。皆さんがこの月刊まいど屋を読んでいるということは、今回もどうにかこうにか原稿が書き上げられたということです。原稿が完成していなければこうして月刊まいど屋のコーナーがあるはずもなく、月刊まいど屋がなければまいど屋も同時に消滅し、そしてまいど屋がなくなると、読者の皆さんもまた、この世から消えてなくなってしまっていたはずなのです。来月も、再来月も、またその先もずっと、まいど屋は皆さんをこの世に生かし続けるために連載を続けていこうと思っています(たぶん)。皆さんの運命はまいど屋が握っているんです。皆さんのためにも、今後も気を引き締めて頑張るつもりです(たぶん)。

寅壱とまいどの初コラボ
きっかけは1本の電話だった。もう一年以上前のことだ。プライベートのパンツはどんな店で買うの、とその電話の相手は言った。僕は普段、デニムを愛用していて、大抵はデニム専門の通販を使っていると答えた。そりゃ、もったいないよね。まいど屋でこれだけ数多くのパンツを扱っているっていうのに。その中にはデニムパンツだってたくさんあるでしょう?一体どうして?僕はその問いにうまく答えられなかった。デニムにこだわっているんだよ。だから、どうしてもデニムの専門店で買わないと愛着がわかないんだ。それなら、と相手の声が一オクターブ高くなった。自分で作ればいいじゃない。自分でも使えて、まいど屋のお客さまにも販売できるものを、作ってしまえばいいじゃない。そのとき、僕としゃべっていたのが、寅壱の開発担当者のKさんだ。それから紆余曲折を経て、何度も打ち合わせを重ねながら、オリジナルのパンツを作り上げた。思った以上に時間はかかってしまったが、最後まで妥協せずに自分のこだわりだけは守り通したつもりだ。もともとはプライベート用に作ったため、初めはまいど屋の中で販売するつもりはなかったのだが、Kさんの強い説得でまいど屋のラインナップに加えることにした。デニムの持つ体馴染みのよさと独特の風合いが根っから好きなひとにだけ試してみてほしい、寅壱とまいど屋の初コラボアイテム。

<8230 迷彩ストレッチデニムカーゴ>

今年もよろしくお願いします
正月から調子に乗っていろいろふざけたことを書き散らしてしまいましたが、大人の読者の皆さんにおかれましては、くれぐれもそれらを真に受けてまいど屋を炎上させようなどとお思いにならないよう、また言葉尻を捉えて揚げ足を取るような真似などなさいませぬよう、心よりお願い申し上げます。皆さんがうすうす感づいている通り、月刊まいど屋は、ユングが言うところのいわゆるまいど屋のシャドウであり、皆さんのためにバカが付くほど真正直に奉仕し続けるまいど屋がそうした自分を守り抜く手段として、抑圧された正反対の自己イメージを解放してやるための放出弁であると理解していただければ幸いです。ガス抜きの装置ですから、周囲に多少異臭が立ち込めても仕方がないことなのです。皆さんはガスを吸い込み過ぎて頭が痛くならないよう、このコーナーの滞在時間は出来るだけ短めに切り上げるなりして健康管理をしてもらえればと思います。なお、ガスは個人の体質によっては重度の依存症を引き起こす場合もあります。どうか中毒になったりしてしまいませんように。
月刊まいど屋はほどほどに。それでは、今年もよろしくお願いします。