まいど通信


        

まいど! 編集長の奥野です。今回は、最新のワーキングスタイルを実践してみようという趣旨で「Uber Eats体験記」をお送りしました。一日中ガッツリ稼働しなくても、天気のいい日に1、2時間だけという働き方もできるので、興味のある人は登録だけでもしてみてはいかがでしょう? あっ、もちろん料理のご注文もお待ちしていますよ!

●元日の恒例行事

今年のお正月は静かでしたね。こちら大阪では緊急事態宣言が出る前だったものの、イベントも何もなし。もちろん帰省もしなかったので、本当に何もない正月でした。元日は、朝の散歩のついでに近所で初詣。例年なら露店が出て行列もできる神社なのですが、人影もまばらでした。家族で出かけるような場所もないので、公園のカモに餌をやったり、たまった本を読んだり……。

ただし、編集長には元旦に必ずやることがあります。それは新聞を全紙買ってくること。コンビニで朝日・読売・毎日・産経・日経の5大紙を買って、すべてに目を通します。ご存じの通り、1月1日の新聞というのは特集とか別刷だらけで、持って帰るだけでも大変なのです。

元旦紙面の読みどころは何か。まずは1面トップです。ここには新聞社自慢の独自ネタが「どうだ!」といわんばかりに載る。ここ数年は「多様性の時代がきた」みたいなゆるいトップ記事も増えてきているものの、今年は毎日新聞がやってくれました。富裕層の一部が中国製「闇ワクチン」を摂取している、とのスクープです。毎日らしい調査報道で、明らかに頭ひとつ抜けていました。日経は「脱炭素社会」がテーマ。コロナ禍をきっかけに化石燃料を頼りにしてきた社会構造が変わる、とぶち上げている。産経は「本格化する米中対立」。読売と朝日は、「岐路に立つ日本」みたいなタイトルで、ほとんど印象に残っていません。

トップ記事のあとは、広告を見ていきます。講談社や集英社、小学館と行った大手出版社はこの日のためにデザインした特別なものを出す。それに自動車メーカーや建設会社、商社などの大手もメッセージ性のある全面広告を出してきます。コロナという時代の転換点を迎えたわけで、さぞかしスゴイものが掲載されているはず……と思ったら、今年はここ数年でもっとも低調でした。そもそも広告そのものが少ない。おそらく不景気で出稿をやめた会社が多かったのでしょう。また、コロナがどうなるかは誰にも予想できないので、うかつに前向きなメッセージを出すのもためらわれたと推測します。

別刷も例年よりボリュームが少なめでした。普通なら「今年はいよいよ東京五輪!」という感じで、選手のインタビューや大会の見どころ、聖火のルートや会場の見取り図なんかがドッサリ載るはず。ところが、オリンピックの話は申しわけ程度。どうやら新聞社も開催を危ぶんでいるようです。

トップ記事はともかく、広告の少なさに五輪ムードの陰りなど、長年の元旦紙面ウォッチャーとしては「今年はかなりヤバいかも……」と言わざるを得ません。

●渋沢栄一の現代語訳

少しは明るい話を――。

実はこの2月5日、編集長がライティングを担当した本が出ます。タイトルは『抄訳 渋沢栄一「至誠と努力」 人生と仕事、そして富についての私の考え』。次の1万円札の顔に決まっている渋沢栄一の講演録を読みやすく現代語訳しました。

原書は700ページ以上ある大ボリュームの本です。普通に現代語にすると1000ページ超になってしまうので、今の人に響くいいところだけを抜粋して、文章を現代風に読みやすくしました。もちろん、今月からスタートする渋沢栄一の大河ドラマ『青天を衝け』を意識しての発売。「やってやろう」という気になる言葉が盛りだくさんです。

渋沢栄一という人は、気風がいいんですね。もともと尊皇攘夷運動に関わって外国人を焼き討ちしようとしていたくらいだから、血の気も多い。明治維新後、学校教育で作られたエリートとは一線を画しています。講演当時はすでに老人なのでだいぶ丸くなっているけれど、くよくよ悩むよりやれ! 真面目にやれ! 死ぬ気でやれ! みたいなノリが随所に出てくる。今時こんなことを書いても誰も読んでくれませんが、現代語訳ならイケる。これが役得というか、この仕事の楽しいところです。

「至誠」にしろ「努力」にしろ、もはや死語といっていいでしょう。正直な言動はバカにされ、必死に取り組んでいると笑われるのが現代です。こういう時代において「まっすぐに努力する」というメッセージは逆に貴重なのではないか、と原稿を書きながら思ったのでした。

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というわけで、今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。緊急事態宣言にともなう外出自粛や時短営業など、忍耐の日々が続きます。大変な時期ですが、次回も元気でお目にかかりましょう!