まいど通信


        

『月刊まいど屋』改めまして『月刊まいど屋的な新着レポート』の奥野です。今回は空調服をはじめ各社のEFウェア、ファン付き作業服のメーカー訪問記をお届けしました。いやー、すごいですね。ついに各社とも新デバイスのバッテリーは20ボルト前後に。これってインパクトドライバーとか丸ノコとか、電動工具のバッテリーでおなじみの電圧ですよ。数年前には7ボルト前後が主流だったことを思い出すと、隔世の感があります。今後、各社のデバイスはどんなふうに進化していくのか。少し気が早いですけど、来年以降も楽しみです。

●ウーバーウォーカーの真実

以前、当コーナーで「ウーバーの徒歩配達」に触れたのを覚えていますか? たしか2022年末、体力づくりと小遣い稼ぎのために始めてみた、と書いたはず。あれから半年ほど、いろんな場所で折に触れてウーバーの配達員アプリをONにしてきました。SNSなどで探してみた限り、これほど徒歩の経験を積んだ配達員はいません。そこで、今回は「ウーバーウォーカー」の実態を書いてみようと思います。

†その1:稼げない

まずいちばん大事なことを書くと、稼げません。

スマホに配達リクエストが届くことを「鳴る」と言って「今日は爆鳴りだー!」「昨日は鳴りが悪かった」というふうに使うのですが、徒歩配達はめちゃくちゃ鳴りが悪い。配達員アプリの設定を「自転車」から「ウォーカー」に変更すると、ピタリと鳴らなくなります。理由は書くまでもないのですが、近距離しかリクエストが来なくなるからです。

しかし、ものは考えようです。仮にたくさん鳴ったとしましょう。それで徒歩配達が稼げるかというと、そんなことはない。なぜかというと、自転車やバイクと比べて配達回数をこなせないからです。いくら近距離とはいっても、やはり人間の足では1配達あたりの所要時間は長くなる。その結果「クエスト」というインセンティブ、たとえば「10回配達ごとに+1000円」といったチャレンジをこなせないので、確実に自転車やバイクより実入りは少なくなる。

ただ、これで「徒歩配達はダメ」と結論するのはズレている気がします。身もフタもないことをいうと、そもそもウーバー配達員って稼げないんですよね、自転車だろうがバイクだろうが。今やほとんどの配達員は、出前館やWoltなどの他社フードデリバリーとの掛け持ちでなんとか売上を確保している。

どのみち稼げないんだから、自転車の前で「鳴りが悪い!」とイライラしているより、鳴りを期待せず「ウォーカー」にしてみましょう。そして、「もし2、3回鳴ればメシ代が浮く」と考えたほうがいいのかもしれません。

†その2:専用バッグは不要

誤解している人が多いんですけど、「ウバッグ」と呼ばれる専用のバッグは不要です。保温・保冷機能のあるバッグさえあれば、ウーバーウォーカーはできます。じつはこの「専用バッグ以外も可」というのは自転車やバイクでも同じなのですが、大量注文や長距離の配送を考えて、みんなウバッグを使っているのが実態のようです(お店の人がすぐ気づいてくれるといったメリットもあります)。

じゃあどんなバッグを使えばいいのか。私は百円ショップで買った大小の保温バッグを組み合わせて使っています。大バッグは500円、小バッグは100円。ともに小さく折り畳めるので、普通のカバンにも収納できる。つまり、「いつでもどこでもウーバーウォーク可能!」というわけです。少しかさばるのが難点ですけど。

500円のバッグはクーラーボックスのような箱型で、収納力があります。で、温かいものと冷たいものを分けるときは、小バッグを「仕切り」にする。マクドナルド1人前なら小バッグだけでOKのケースもありますが、やはり大バッグのほうがよく使います。

ただ、収容量は「ウバッグ」の3分の1程度。そんなバッグでリクエストを受けて、もし荷物が入り切らなかったらどうするのか。正直、私も不安です。しかし、一度もそんな事態は起こっていない。おそらく、ウーバーの配車AIには「徒歩配達員に大量の荷物はNG」というアルゴリズムがあるのでしょう。

あと、ウォーカーはコンビニ商品の配達もよくリクエストが来ます。ポテトチップス1袋をウーバーに頼む人もいるのです。こういう場合は、ふつうにレジで受け取った袋のまま持っていくだけ。めっちゃラクで笑いが止まりません。

†その3:歩けなくても大丈夫

足が痛くならないか心配、という人も多いでしょう。しかし、恐れることはありません。ウォーカーに届く配達リクエストの距離は1.5km程度。長くても徒歩15分ほどです。これを何十回も繰り返すならヤバいけれど、前述の通りウォーカーの鳴りは少ない。ピーク時に2、3件もあればいいほうです。

ただ、ピック(お店での商品の受け取り)の距離は、2、3kmほど歩く場合もたくさんあって、なかには4km先というケースもありました。こういうときはリクエストを拒否すればいいんですけど、ウォーカーにとって「鳴り」は希少なのでつい受けてしまう。すると累計距離はすぐ5、6kmくらいになります。

「そんなの無理!」と思うかもしれません。しかし、自転車のような安全配慮や駐輪作業などのストレスがないぶん気楽だし、料理ができるのを待つ時間やエレベーターなど、足を休ませるタイミングはけっこうあります。あと、いくら急いでもたかが知れているので、自転車配達のように焦りを感じないのがいいところです。

何度も書いているように「鳴り」はひじょうに少ない。むしろ疲れるほど歩ければラッキーでしょう。

†その4:決戦は「雨の土日」

最後に強調しておきたいのは、雨の日の重要性です。

雨の日はウォーカーでも鳴ります。それも朝からガッツリ降っているような土日は、鳴りっぱなしでトイレに行くヒマもないくらい。なぜそんなことになるかというと、配達員がいないからです。自転車とバイクの配達員が激減するのに、注文数は激増する。そこで、徒歩配達員の出番になるわけですね。

とくに雨の日曜はヤバいです。12月の寒い日にやってみたときは、朝から夕方まで30kmも歩く羽目になってしまいました。前述の通り、回数がこなせないので労働と考えれば割に合わないけれど、「小遣いをもらいながらウォーキングができた!」と考えると、かなりうれしい。どうせ雨でサイクリングや山歩きはできないわけだし。

雨だからといって配達に大きな変化はありません。カサと長靴、カッパなどの装備があれば、雨のストレスはさほど感じません。ただ、タイルや鉄板などが滑って転けそうになるので、そこだけは注意です。

雨のウーバーウォーカーのいいところは、移動を兼ねられることです。雨の場合、私は徒歩で仕事場(シェアオフィス)に行くのですが、帰宅時に配達員アプリをオンにすれば、歩きながら小遣い稼ぎができる。配達先が自宅の近所になったタイミングで終了にすれば、ちょっと得した気分です。

異端の配達員「ウーバーウォーカー」。みなさんも一度やってみませんか?