まいど通信
まいど! 編集長の奥野です。今回は、いや今年も恒例の「猛暑対策」特集号をお届けしました。この原稿を書いている5月も、すでに最高気温30℃以上の真夏日がちらほら出てきています。そのうち35℃以上の猛暑日になり、そして2026年、気象庁によって新たにネーミングされた最高気温40℃超えのカテゴリ--「酷暑日」を迎えるのも間違いないでしょう。いまからでも間に合う猛暑対策アイテムのお求めは、ぜひ、まいど屋で!
●「プルブイ」のすすめ
前回に続いてスイミングの話です。いよいよ暑くなってきて、おすすめしたい気持ちもアガってきました。さっそく始めましょう。
まず、プールでの過ごし方から。多くの人が思うのは「初心者がプールに行ったとして、いったい何をすればいいの?」でしょう。スイミング経験者なら泳法を織り交ぜながら何往復もすればいいけれど、そこまでの技術はない。そんな人は何から始めればいいのか。
私は「プルブイ」を強くお勧めします。
プルブイというのは足に挟んで浮力を得る補助具。真ん中の凹んだ独特の形をしています。スイミング教室ではビート板に次ぐ必須アイテムで、キッズクラスでも練習で必ず使用する。スポーツクラブならプールサイドに「ご自由にどうぞ」と置いてあるはずです。
まずはこれを使って、水平姿勢をキープしたまま水をかいてゆっくり前に進む。これをとことん練習しましょう。つまり、「バタ足なしクロール」。口で言うのは簡単だけれど、なかなか難易度の高いトレーニングです。
というのも、ほとんどの人はバタ足を姿勢の修正に使っているから。クロールというのは、足が沈んでいても、水がかけてなくても、キックを打ちまくってがむしゃら手を回せばけっこう進むもの。ただ、そのままだとプール通いの継続は厳しい。実際、プールでもクロールの姿勢がめちゃくちゃな人をけっこう見ます。たしかに泳げているけれど、息継ぎミスが多いので休憩が必要だし、なによりバタ足でバテるので「水泳=キツイ」になる。その結果、だんだんプールがイヤになってしまうのです。
そうではなく、散歩するように楽しく泳ぎたいなら、まず修正すべきは姿勢。速さなどは気にせず、プルブイで水平を保つことが第一歩です。
この「プルブイ修行」は、初心者にとって大きなメリットがあります。
バテないことです。バタ足が疲れるのはだれでもわかりますね。トレーニングの定番に「ビート板キック」があるけれど、あれはものすごく負荷が高い。その結果、「25mを1本やって息を整え、さぁ2本目を」という感じになってしまいます。結果的に、スタート位置に立ったまま息を整えている時間ばかりになる。要するにキツくて退屈。体も冷える。これでは続きません。
対して、プルブイ使用クロールは、腕と体幹だけを使います。もちろん多少は疲れるけれど、キックほど高速ではないので、腕はなかなかダルくならない。初心者でも、休憩なしで延々と続けられます。また、バタ足のごまかしが効かず、浮き方や水の掻き方に集中できるぶん、姿勢改善に加えて技術も身につきます。
というわけで、入門者に伝えたいことは次の一言です。
タイムは忘れろ。キックも後回しでOK。まずはプルブイで、笹舟のようにスーッと進む姿勢を身につけろ!
●無気力水泳
さて、プルブイで正しい姿勢を体に叩き込んだら、補助具なしのクロールを習得し、さらに、平泳ぎ、背泳ぎ、バタフライの4泳法を、というのが水泳指導の定石です。
しかし、私は、「フィットネス水泳はクロールだけでいい」と思っています。
もちろん好きな人はやればいいけれど、まったく出来ない人が練習して身につけるには、時間がかかりすぎるから。また、仮にコツをつかんでも、技術をキープできない。平泳ぎで広げすぎた足が人に当たったり、背泳ぎで斜めに進んだり(ビギナーが天井を見て直進するのは困難)、下手なバタフライで水しぶきを上げまくったりすると、常連のオバサマ方から陰口を言われるのは必然。結局、スポーツクラブでは使える場面がないのです。
よって、プルブイ修行を卒業したら、クロールだけ練習しましょう。こちらもバタ足が多いとすぐバテて嫌になるので、キック回数を絞るのがおすすめです。「2ビートクロール」と呼ばれる長距離向けの泳法があるので、YouTube動画を参考にコツコツ研究してください。きっとプルブイでの下積みが生きてくるでしょう。
私はどうかといえば、下手な2ビートクロールができるようになった程度です。いろいろやってみたい気持ちはあるものの、ここ1年ほどは、ずっとプルブイとクロールだけをやっています。タイムを短縮したり姿勢を研究したりすると精神的にも疲れるし、プール通いが億劫になるので、もうやめてしまいました。ただ、下手にならないようにストローク回数のキープだけは意識しています。
あと、上達を目指さなくなった理由には、混雑対策もあります。
スポーツクラブは毎日キッズ教室があるので、大人が使えるレーンは限られていて、ほとんど泳げない高齢者も多い。はっきり言って、「泳げる人」にとってはストレスフルで使えないのです。だから、競泳経験者(体を見ればわかる)は、子供と老人がいない夜を狙ってプールに来ている。彼らのように時間帯に縛られたくないなら、この程度のレベルのほうが都合がいいわけです。
最後に、継続のヒントを語っておきます。
まず、私はなにも考えずプールに行くことを心がけています。で、とにかく水に入る。すると、ぼーっと立ってるわけにもいかないので、クロールでのんびり泳ぐことになる。そのうち混雑してきたらプルブイに変更。さらにスピードを落として亀のように泳ぎつつ、息継ぎで時計をチラっと見て、「30分だけやるか……」と決める。で、時間になったらさっさと切り上げたり、「体調がいいから45分にしよう」と延長したりする。
名付けて「無気力水泳」です。
「今日は△キロ泳ぐぞ!」と気負っていくと、高齢者だらけでなにも出来なかったりするし、「イヤだけど会費がもったいないし」と義務的に行くと、スイミングは苦行になる。そこで、「とにかくプールに入ればOK」というルールを決めました。スイスイと気持ちよく泳げる日もあれば、調子が悪くてぜんぜん進まない日もあるけれど、べつに一喜一憂しない。最近は、そんな境地に達しています。
「プールは退屈さがキツイ」と前回書きましたが、こんなふうに無心で淡々と通えるようになったのも、水泳のおかげかもしれません。インターネットはもちろん、音楽や会話もないから頭をカラッポできる。水を掻き、体が進む、その感覚にただ集中する。これがいいリフレッシュになるのです。
スイミングの功徳は、健康づくりやダイエットではなく、案外このあたりにあるのかもしれません。
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というわけで、今シーズンも最後までお付き合いいただきありがとうございました。また次回もご期待ください!
