【イーブンリバー】確信犯的アウトサイダーのキケンな香りimage_maidoya3
上司にも平気で盾突くが、なぜかお咎めがなく、自分の主張を押し通してしまうヤツ。周りはハラハラしていても、本人はいたって平気。しまいには仕方がないか、と周囲に思わせ、結局は同期で一番の出世頭。そんな人間があなたの会社にいないだろうか。他人がマネしてみようったってできやしない。彼だけが許されるアクロバティックな綱渡り。中には反撥を感じるひともいるけど、彼を応援するファンもまた多いのはどうしてだろう。それは、彼が個性を強く出しながらも、仕事の能力が一級品だから。ラフにコミュニケーションしているように見えて、これ以上は危ないという最後の一線は決して越えない絶妙なバランス感覚があるから。
  イーブンリバーのワークウェアは、タイトなロープの上を平気で渡りきってしまう、アイツによく似てる。どこまでもカジュアルに近いが、ワークウェアとしての基本性能はしっかり押さえている。一般の仕事着に比べてかなりアカ抜けているが、常識はずれの不真面目に見えるほどではない。前衛的。革新的。あるいはキワモノ。イーブンリバーほど人によって評価が分かれるブランドはお目にかかれない。保守的なひと、新しいテイストに嫌悪感があるひとは、このレポートを読み飛ばしてもらって構わない。個性的であることに少しでも理解のあるひとは、以下をじっくりと読んでみてほしい。そして彼らの最新コレクションをたっぷり味わってみてほしい。

イーブンリバー
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イーブンリバーの世界観を伝える『R』シリーズ歴代カタログ。
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ワタリの広いゆったり感のあるパンツ。 シリーズ毎に異なる生地やカラー、ステッチワークも魅力。
「どうです?カッコイイでしょ」。開口一番、こう語るのは、イーブンリバー常務取締役の平川精基さん。トレーナーにジーンズというラフないでたちで、いかにもカジュアルワークウェアメーカーの常務さんらしい。「20代から40代まで幅広く支持いただいています。屋外で作業する方で、ひとと一緒はイヤ!というこだわりをお持ちの方。最近は鳶の方も多いですね」。
  イーブンリバー『R』シリーズは、2001年に誕生したブランドだ。カジュアル素材を使ったヘビーデューティーなワークウェアスタイルを確立し、以後、ワイドボトム、タイトトップをベースとしたワークウェアを毎年発表している。その大きな特徴は、綿100%(一部除く)の丈夫な生地とデザインのマッチング。どの製品も“高温洗い”にかけ、独特のユーズド感を醸し出している。
  『R』シリーズ誕生のきっかけは2000年に遡る。当時、ワークウェアでカジュアルなものといえは綿・ポリエステル混紡製品ばかり。一方、カジュアルウェアでは、綿100%はあるものの、シャツ、ブルゾン、パンツが同色で揃うものがなかった。それを補完するウェアとして誕生したのが、しっかりとした平織りの生地を使った『エンジニアオックス』シリーズ(型番:US-007ほか)で、若者をターゲットにアメリカンテイストで攻めるべく、ルーズスタイルのウェスタンデザインとした。
  「思った以上に反響があり、ワークの分野でもカジュアルテイストが好きなお客さまがいることがわかったんです。それで、『R』シリーズとしてブランド化しました」。以降、ヘリンボン(型番:US-207ほか)、ジャーマンクロス(型番:US-507ほか)、リップストップ(型番:US-807ほか)など、綿100%を中心としたタフな変わり織り生地を毎年チョイスしてシリーズ展開し、ファンを魅了していく。
  綿100%のウェアはポリエステル混紡に比べて重く、洗濯をしても乾きにくいため、作業服として敬遠されがち。それでも同社が綿100%にこだわる理由は何だろうか。「綿100%は暖かくて肌触りがよく、着心地がいい。着込んで洗濯を重ねるほどに、クタ感が出て身体に馴染み、色落ちして味が出てくる。そこが魅力であり、楽しみでもあり、愛着もわく。我々がこのように綿ばっかりやっているのは、好きだから。カッコイイから、渋いから、イケてるから。ウチは服が好きで入社した人がほとんど。自分たちが着たいものが作れるのは、メーカー冥利に尽きます」。
  そんな『R』シリーズの2011-2012新作は『アーミークロス』(型番:US-1207ほか)。USアーミー、つまりアメリカ陸軍の制服に使われていた生地での展開である。「非常に丈夫なのに軽くて柔らかく、年間を通して着られる。ベーシックなデザインですが、ステッチワークを効かせて味を出している」。新作カーゴパンツを手にして平川常務はこう続ける。「パッと見て気づかないような所にもこだわっているんですよ。ステッチ糸の太さとか、ステッチの幅とか、ミシン目の間隔とか。特にこのリベット(ポケット留めなどに付ける直径5ミリほどの小さな金属)、デザインがカッコイイでしょ。こんな小さなもの、誰が見るの?という感じですが、こだわってしまう(笑)。だから作っていて楽しいし、見た感じもカッコよくなる。ひとつの商品の中にマニアックなこだわりがたくさんあるので、ぜひ探してみてください」。
  生地にこだわり、シルエットにこだわり、ディテールの一つひとつにも徹底してこだわるイーブンリバーの製品づくり。熱狂的なファンがいるのも、商品からそんなメーカースピリットがひしひしと伝わってくるからに違いない。常務自ら「口で説明しても伝えきれないので、手に取って感じてほしい」という製品の数々。以下に紹介するので、じっくり見ていただきたい。そして、実際に着て、その深い味わいを感じてほしい。
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『R』シリーズの「R」はレボリューションの「R」。 ファンはこのマークを目指してやってくる。
 

    

◆ドイツ軍も採用のタフなジャーマンクロス! US-507シリーズ

本来軍用の生地として、ドイツ軍に正式採用の実績がある「ジャーマンクロス」を使用。中肉のしなやかな生地ながら、強度面では他の綿素材と格段の違いを見せつける。ステッチには極太の3番ステッチを使用し迫力ある存在感をアピール。


◆ヨーロッパの香り漂うフォルムと質感に感じ入る! US-907シリーズ

イーブンリバーのこだわりを満載したシリーズ10作目の記念モデル。生地の強度もさることながら、パンツに独特のシルエットで動きやすさを追求した「立体裁断」を採用。片側だけにカーゴポケットを配したシングルカーゴスタイルで、スタイリッシュさもマル。