明日は雨だって。だけど現場仕事は待ったなし。ホントは休みたいけど、仕方ない。近所の店でカッパでも買ってくるか。え?カッパにもいろいろあるって?そんなめんどくさいこと、聞きたくない。店員の能書きなんぞにつき合っているヒマはない。袖を通せば、雨がしのげる。それだけのことなら、どれでも一緒。シロウトだと思って、甘く見るな。オレをダマそうなんて、そうはいかない。おう、この一番安いの一つくれ。
で、数週間後。初めは調子がよかった新品のレインスーツも、最近じゃ、なんだか湿っぽくて、キモチ悪い。こりゃ、絶対、水漏れしてる。そうか、あの店員、オレに不良品をツカませやがったな。今日も仕事で忙しいから、このできそこない着てガマンするけど、時間ができたら店に乗り込んで、説教してやる。
今日も全国の作業服屋で繰り広げられる、いつもの風景。ガテンな皆さんとともに歩んできたまいど屋だから、この威勢のいいお兄さんの言い分はすごくわかる。カッパ着て体が濡れちゃってどうすんの。至極まっとうな意見だと思う。だが、同時に作業用品の業界に身を置くまいど屋としては、店員さんもやっぱり気の毒に思う。だって、どんなカッパだって繊維製品である限り、完全無欠の防水なんてありえないんだから。一口に防水といったって、生地が持つ耐水圧のグレードはいろいろある。簡単に言えば、通常の雨ならしのげるものから、台風のような豪雨でもしみ込んでこないもの、雨の中をバイクに乗って走っても大丈夫なものまで千差万別。生地のスペックの違いの他にも、縫い目から水が浸入してくる問題だってある。しっかりした商品なら目張りテープなどの対策が施してあるが、廉価品にはそこまで期待できないことが多い。
梅雨に向け、これからレインスーツを品定めしようとしているひとに、まいど屋からお願いがある。どうか、ほんの少しの時間を割いて、店員さんの説明に耳を傾けてほしい。運悪く、いつも行くお店のひとがあまり詳しくないのなら、以下のレポートを読んでみてほしい。冒頭の店員さんがお兄さんに説明したかったことが、きっと詳しく書いてある。それでもやっぱり人の話を聞くのが面倒だというのなら、本文をすっ飛ばし、レポートの後に続く商品紹介欄のアイテムをピックアップすれば間違いない。品質の高いレインスーツ作りで定評のあるジンナイのイチオシ商品が並んでいるから。
で、数週間後。初めは調子がよかった新品のレインスーツも、最近じゃ、なんだか湿っぽくて、キモチ悪い。こりゃ、絶対、水漏れしてる。そうか、あの店員、オレに不良品をツカませやがったな。今日も仕事で忙しいから、このできそこない着てガマンするけど、時間ができたら店に乗り込んで、説教してやる。
今日も全国の作業服屋で繰り広げられる、いつもの風景。ガテンな皆さんとともに歩んできたまいど屋だから、この威勢のいいお兄さんの言い分はすごくわかる。カッパ着て体が濡れちゃってどうすんの。至極まっとうな意見だと思う。だが、同時に作業用品の業界に身を置くまいど屋としては、店員さんもやっぱり気の毒に思う。だって、どんなカッパだって繊維製品である限り、完全無欠の防水なんてありえないんだから。一口に防水といったって、生地が持つ耐水圧のグレードはいろいろある。簡単に言えば、通常の雨ならしのげるものから、台風のような豪雨でもしみ込んでこないもの、雨の中をバイクに乗って走っても大丈夫なものまで千差万別。生地のスペックの違いの他にも、縫い目から水が浸入してくる問題だってある。しっかりした商品なら目張りテープなどの対策が施してあるが、廉価品にはそこまで期待できないことが多い。
梅雨に向け、これからレインスーツを品定めしようとしているひとに、まいど屋からお願いがある。どうか、ほんの少しの時間を割いて、店員さんの説明に耳を傾けてほしい。運悪く、いつも行くお店のひとがあまり詳しくないのなら、以下のレポートを読んでみてほしい。冒頭の店員さんがお兄さんに説明したかったことが、きっと詳しく書いてある。それでもやっぱり人の話を聞くのが面倒だというのなら、本文をすっ飛ばし、レポートの後に続く商品紹介欄のアイテムをピックアップすれば間違いない。品質の高いレインスーツ作りで定評のあるジンナイのイチオシ商品が並んでいるから。
ジンナイ
ウェルダー加工でどんな雨水もシャットアウトの6000タイプ
通常より太いナイロン糸で織られた8950は、三層構造で着心地も◎
最初に断わっておく。ジンナイのレインスーツは万人向きではない。日頃、街中のショップで買い物をしているひとなら、ボラれていると感じるかもしれない。雨の中で、どうしても仕事をしなくてはいけないひと。それが日常になるほどのヘビーユーザー。多少の出費は覚悟しても、ホンモノを使う安心感を大切にするなら、試してみる価値がある。そうでないなら、わざわざジンナイを選ぶ必要はない。廉価タイプで用が足りる程度の使い方なら、そっちを使ったほうがいい。万人向きでないと言ったのは、そんな意味だ。官庁はじめ多くの企業が自社ユニフォーム用にと選択するほど高品質なジンナイのカッパ。彼らはなぜ、ジンナイを選ぶのか。どうしてジンナイでなくちゃならないのか。今回、取材に応じてくれた杉本公太専務取締役と、営業部の長谷川貴久氏に、じっくりお話を伺った。
ジンナイの創業は昭和27年。昭和39年にカッパメーカーとして会社を設立してから、間もなく50年になる。老舗中の老舗かと思いきや、この業界では歴史が浅いほうだという。「逆にそこが、うちの強みでもあるんです。大きなシェアを持っているほかの会社がやりたくない、やろうとしてもやれないニッチな商品開発や小口対応、小ロットの生産にも対応が可能。今となっては後発組だからこそできる、ウチの特技と言えます。それに東京に本社があるということで、公官庁など中央の動きを常にタイムリーに見られるという強みもあります。最新の情報をもって、全国に製品を発信できる地の利がありますね」。
杉本専務が言うように、ジンナイが他メーカーと大きく違う点は、その納品先だ。公官庁を筆頭に、建築現場、ガス・水道・電気のメーター検針や工事、食品デリバリに宅配便・・・天候に関わらず作業をしなくてはならない、あらゆる業種の企業。それらが、社員のユニフォームとして支給するカッパや防雨製品がメイン商材で、いわゆる量販店やスーパーに、個人向けの商品を卸すことはほとんどないという。「ときどきね、会社で使っているカッパを、個人でも買いたいといって、裏のタグをみて、直接うちに問い合わせてくるお客さんがいるんですよ。『これ、どこで売ってるの?』って。だけど、どこにも売ってないんです(笑)」
ところで、このところの異常気象で、ひとたび雨が降ればゲリラ豪雨になることが多くなってきた。ハンパない勢いで降る雨の中で作業せざるを得ないお客さまとしては、カッパに対する要望も、少しずつ変わってきているのではないだろうか。「そうなんですよ。例えば、官庁や企業内でも、『危機管理課』とか『防災課』みたいなものが設置されるようになりました。ちょっと前までは、そこに備蓄されているカッパといえば、100円ショップで売っているような使い捨てのものがメインでした。だけど、安いものは1回着るだけでダメになっちゃう。下手すると、着るときに破れちゃったりね。そこでもっと、イイやつを揃えておかなきゃってことで、ウチの製品を使ってくれるところが増えています」
ジンナイのコレクションには、正直、他社のようにガンガン量がさばけて、出荷枚数業界NO.1!みたいな商品はない。作り手のこだわりが強く、最大公約数的な、「こなれた」仕様ではないからだ。だが、仕事の事情などで、雨対策を切実に考えるひとたちにとっては、希望通りの使い勝手に仕上がったアイテムが揃っている。今日はその中から、2シリーズほどをご紹介する。
まず、ナダレススーツ(型番:6000)。このシリーズの特徴は、縫製に糸を使わない「ウェルダー加工」、いわゆる「溶着」でパーツを組み合わせている点だ。布同士を縫い合わせていないので、縫目から水がしみ込むということがないカンペキな耐水性がウリ。素材の塩ビには、適度なハリと厚みがある。「生地がしっかりしていて強いので、屋外のどんな作業にも向いています。水がしみ込まないだけでなく、汚れも付きにくい。丈夫なのでタワシでゴシゴシやっても平気ですよ」。
カッパといえば、ここ数年、「ムレない」「軽い」という快適性を追求したものが主流となっていた。しかし雨具の本来の目的は「防水」。そこをおろそかにしたのでは、本末転倒だ。「快適性と防水性を完全に両立するのは難しいです。やろうとすると高額になっちゃいますから。どっちも中途半端になるくらいなら、まず防水を第一に考えようと。通気性を犠牲にする代わりに、どんな悪天候でもしみてこないカッパを作ろうと」。
長谷川さんは防水性を優先して開発したと説明したが、実際に着てみると、意外に着心地がいいことに驚く。素材自体にハリがあるので、肌へのまとわりつきがほとんどない。気になる重さも体感的には従来品と変わらない。「まとわりつきやベタつき感がない分、むしろ作業性も向上しているかもしれません」と長谷川さんは笑う。しかも、同じ素材で作られているものにはエアバッグや救命胴衣があるというから、丈夫さにおいても文句なし。一兎を追うと割り切ったら、結果的に二兎、いや三兎を得た。このシリーズがロングセラーを続けているのもうなずける。
続いて、同じく丈夫さを重視しながら、意図して着心地も追求したのが、ナイロン素材の8950。「耐久性と快適性のどちらも犠牲にせず、一切妥協しないレインスーツを作りたかったんです。ただ、それだけに値段が張りますから、誰にでもオススメできるわけではありません」。素材は従来の70デニールを大きく上回る210デニールのナイロン糸を使って織り上げている。糸が太くなった分、重量は増すが耐久性は大きく向上した。「雨の中で作業する人は、ただ立っているだけでなく、歩いたり、ものを担いだり、何かを作ったり、藪の中に入って行ったり、結構激しい動きをすることが多いんです。この商品は石、岩、枝などが引っかかったりしても破れにくく、なおかつゴワつき感がなくて、着ていてもまとわりつかない。力強いのに着心地快適。そんなコンセプト通りの出来栄えだと思います」。
さらに透湿素材だから余分な湿気は外部に逃げる。裏地には3層構造のナイロントリコットを使い、サラサラした肌触り。職員向けに良質なカッパを求める企業や省庁の眼鏡にもかなう、高度なスペックを備えている。同じナイロン製でも、街中の実店舗で売られているものの中には、ここまで性能の良いものはまず見当たらない。
「しっかりと中身があり、存在意義のある商品、『コレ、いいでしょ!?』と、自信をもってお客様におススメできる商品を、適正な価格で提供する。それがジンナイのミッションです」。杉本専務がアツクそう語る製品群からは、確かに彼らの哲学が香り立つ。量販店では決して扱うことのないワンランク上の実力を求め、事情通のお客様から今日もジンナイ商品の引き合いが多く来る。このレポートを読んでしまったあなたも、もう知らなかったで済ますことはできないだろう。もちろん、真実を知りながらいつものカッパで妥協するのもよい。本質を追究する考え方に賛同し、ジンナイを選ぶもよい。それはあなたの価値観だ。彼らのコレクションのラインナップからは、そんな突き放したような潔さが伝わってくる。
ジンナイの創業は昭和27年。昭和39年にカッパメーカーとして会社を設立してから、間もなく50年になる。老舗中の老舗かと思いきや、この業界では歴史が浅いほうだという。「逆にそこが、うちの強みでもあるんです。大きなシェアを持っているほかの会社がやりたくない、やろうとしてもやれないニッチな商品開発や小口対応、小ロットの生産にも対応が可能。今となっては後発組だからこそできる、ウチの特技と言えます。それに東京に本社があるということで、公官庁など中央の動きを常にタイムリーに見られるという強みもあります。最新の情報をもって、全国に製品を発信できる地の利がありますね」。
杉本専務が言うように、ジンナイが他メーカーと大きく違う点は、その納品先だ。公官庁を筆頭に、建築現場、ガス・水道・電気のメーター検針や工事、食品デリバリに宅配便・・・天候に関わらず作業をしなくてはならない、あらゆる業種の企業。それらが、社員のユニフォームとして支給するカッパや防雨製品がメイン商材で、いわゆる量販店やスーパーに、個人向けの商品を卸すことはほとんどないという。「ときどきね、会社で使っているカッパを、個人でも買いたいといって、裏のタグをみて、直接うちに問い合わせてくるお客さんがいるんですよ。『これ、どこで売ってるの?』って。だけど、どこにも売ってないんです(笑)」
ところで、このところの異常気象で、ひとたび雨が降ればゲリラ豪雨になることが多くなってきた。ハンパない勢いで降る雨の中で作業せざるを得ないお客さまとしては、カッパに対する要望も、少しずつ変わってきているのではないだろうか。「そうなんですよ。例えば、官庁や企業内でも、『危機管理課』とか『防災課』みたいなものが設置されるようになりました。ちょっと前までは、そこに備蓄されているカッパといえば、100円ショップで売っているような使い捨てのものがメインでした。だけど、安いものは1回着るだけでダメになっちゃう。下手すると、着るときに破れちゃったりね。そこでもっと、イイやつを揃えておかなきゃってことで、ウチの製品を使ってくれるところが増えています」
ジンナイのコレクションには、正直、他社のようにガンガン量がさばけて、出荷枚数業界NO.1!みたいな商品はない。作り手のこだわりが強く、最大公約数的な、「こなれた」仕様ではないからだ。だが、仕事の事情などで、雨対策を切実に考えるひとたちにとっては、希望通りの使い勝手に仕上がったアイテムが揃っている。今日はその中から、2シリーズほどをご紹介する。
まず、ナダレススーツ(型番:6000)。このシリーズの特徴は、縫製に糸を使わない「ウェルダー加工」、いわゆる「溶着」でパーツを組み合わせている点だ。布同士を縫い合わせていないので、縫目から水がしみ込むということがないカンペキな耐水性がウリ。素材の塩ビには、適度なハリと厚みがある。「生地がしっかりしていて強いので、屋外のどんな作業にも向いています。水がしみ込まないだけでなく、汚れも付きにくい。丈夫なのでタワシでゴシゴシやっても平気ですよ」。
カッパといえば、ここ数年、「ムレない」「軽い」という快適性を追求したものが主流となっていた。しかし雨具の本来の目的は「防水」。そこをおろそかにしたのでは、本末転倒だ。「快適性と防水性を完全に両立するのは難しいです。やろうとすると高額になっちゃいますから。どっちも中途半端になるくらいなら、まず防水を第一に考えようと。通気性を犠牲にする代わりに、どんな悪天候でもしみてこないカッパを作ろうと」。
長谷川さんは防水性を優先して開発したと説明したが、実際に着てみると、意外に着心地がいいことに驚く。素材自体にハリがあるので、肌へのまとわりつきがほとんどない。気になる重さも体感的には従来品と変わらない。「まとわりつきやベタつき感がない分、むしろ作業性も向上しているかもしれません」と長谷川さんは笑う。しかも、同じ素材で作られているものにはエアバッグや救命胴衣があるというから、丈夫さにおいても文句なし。一兎を追うと割り切ったら、結果的に二兎、いや三兎を得た。このシリーズがロングセラーを続けているのもうなずける。
続いて、同じく丈夫さを重視しながら、意図して着心地も追求したのが、ナイロン素材の8950。「耐久性と快適性のどちらも犠牲にせず、一切妥協しないレインスーツを作りたかったんです。ただ、それだけに値段が張りますから、誰にでもオススメできるわけではありません」。素材は従来の70デニールを大きく上回る210デニールのナイロン糸を使って織り上げている。糸が太くなった分、重量は増すが耐久性は大きく向上した。「雨の中で作業する人は、ただ立っているだけでなく、歩いたり、ものを担いだり、何かを作ったり、藪の中に入って行ったり、結構激しい動きをすることが多いんです。この商品は石、岩、枝などが引っかかったりしても破れにくく、なおかつゴワつき感がなくて、着ていてもまとわりつかない。力強いのに着心地快適。そんなコンセプト通りの出来栄えだと思います」。
さらに透湿素材だから余分な湿気は外部に逃げる。裏地には3層構造のナイロントリコットを使い、サラサラした肌触り。職員向けに良質なカッパを求める企業や省庁の眼鏡にもかなう、高度なスペックを備えている。同じナイロン製でも、街中の実店舗で売られているものの中には、ここまで性能の良いものはまず見当たらない。
「しっかりと中身があり、存在意義のある商品、『コレ、いいでしょ!?』と、自信をもってお客様におススメできる商品を、適正な価格で提供する。それがジンナイのミッションです」。杉本専務がアツクそう語る製品群からは、確かに彼らの哲学が香り立つ。量販店では決して扱うことのないワンランク上の実力を求め、事情通のお客様から今日もジンナイ商品の引き合いが多く来る。このレポートを読んでしまったあなたも、もう知らなかったで済ますことはできないだろう。もちろん、真実を知りながらいつものカッパで妥協するのもよい。本質を追究する考え方に賛同し、ジンナイを選ぶもよい。それはあなたの価値観だ。彼らのコレクションのラインナップからは、そんな突き放したような潔さが伝わってくる。
取材に応じてくれた、杉本専務(左)と、長谷川氏
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