重厚なラインナップである。カタログはさながら、クラシックで濃厚なソースを使った料理しか載っていないフレンチレストランのメニューのように見える。流行りのヌーベルキュイジーヌなんて見向きもせず、皿の上にひたすら持てる技の限りをぶちまける。こってりした味わいがうまく自分の好みに合えば、たちまちヘビーなファンになってしまうだろう。そうでなければ過剰な演出に胃もたれを起こすだろう。旭蝶の防寒コレクションについて説明しようとすると、そんな頑固なシェフのいる行きつけのお店がいつも頭に浮かぶ。
実際、旭蝶の防寒着には、その一つひとつに輪郭のはっきりした主張がある。マルチなシーンで活躍するなんていうあいまいな表現を許さない、明確な意図が仕組まれている。そして我々に対し、いつも賛否いずれかの踏み絵を迫る。イエスかノーか。その中間はない。
読者の皆さんに正直に告白するなら、旭蝶の防寒コレクションを特集することに、編集部としてはいささかのためらいがある。目的意識を持った人にはもろ手を挙げて迎え入れられるだろうが、そうでないひとには強く拒絶される恐れがあるからだ。幅広い層のお客さまに対して商品を販売しているまいど屋にとって、旭蝶の防寒着を提案することはリスクが高いと感じるのだ。さて、読者の皆さんはこのレポートをどんな風に受け取るだろう。旭蝶の防寒コレクションの真髄がうまく伝わってくれればいいのだが。
旭蝶の防寒着について書こう。
実際、旭蝶の防寒着には、その一つひとつに輪郭のはっきりした主張がある。マルチなシーンで活躍するなんていうあいまいな表現を許さない、明確な意図が仕組まれている。そして我々に対し、いつも賛否いずれかの踏み絵を迫る。イエスかノーか。その中間はない。
読者の皆さんに正直に告白するなら、旭蝶の防寒コレクションを特集することに、編集部としてはいささかのためらいがある。目的意識を持った人にはもろ手を挙げて迎え入れられるだろうが、そうでないひとには強く拒絶される恐れがあるからだ。幅広い層のお客さまに対して商品を販売しているまいど屋にとって、旭蝶の防寒着を提案することはリスクが高いと感じるのだ。さて、読者の皆さんはこのレポートをどんな風に受け取るだろう。旭蝶の防寒コレクションの真髄がうまく伝わってくれればいいのだが。
旭蝶の防寒着について書こう。
旭蝶繊維
左からセーフティコート『E79100』、高視認コート『E78100』、ゴアテックス防寒コート『51017』
通勤にもカッコいい、ゴアテックス3WAY防寒コート『51023』
実は旭蝶の防寒コレクションは、このブランドがまいど屋にデビューした三年前に一度特集したことがある。そのときは編集部もデビューしたての彼らの本質を深くは理解しておらず、当たり障りのないレポートでとりあえずのお披露目とさせていただいた。だが、二度目の今回はそうはいかない。あまり気の進む作業ではないが、もっと率直に、このブランドのありのままをきちんとお伝えしなければならない。
さて、当の取材だが、今回もお話は営業部の宮川英樹さん。前回よりももっと突っ込んだ解説をするということで、大量の商品を準備して待っていてくれた。テーブル上に所狭しと並べられたウェアを見やりながら、宮川さんがまず防寒に対する彼らのスタンスを改めて教えてくれる。「防寒は素材が全て。保温性にしろ防水性にしろ素材次第なので、ウチの商品づくりはまず素材から。商社からこんな生地があるんだけどと提案があれば、社内でしっかり企画を練る。昨今は温暖化や保温性のあるインナーの登場によって軽防寒が注目されていますが、やはり、それでは仕事にならないという方もいらっしゃいます。そういった高レベルの機能をお求めの方のために、いい生地、特にいい中綿を使って保温性の高いものを作るのが我々のポリシーです。必然的に価格は高めになってしまいますが、わかってくれるお客さまにだけわかっていただければいいと割り切って考えている」。
素材が全てで納得のいくものしか仕入れない。わかるひとだけがわかればいい。例のフレンチレストランのシェフが言ってたセリフにそっくりだ。頑固一徹で、自分が納得しなければテコでも動かない。人々が安さを求めていることをわかっていても、品質に妥協して時勢に迎合することがない。彼らを見ていると、お客様に選ばれることを目指しているというよりは、彼らがユーザーを選んでいるように思えてくるのだ。まいど屋が旭蝶の防寒着を紹介することを躊躇していた理由がわかってもらえるだろうか。。。
さて、前フリはもうこれくらいにして、そろそろ各アイテムの解説に移ろう。まずは旭蝶がこのところ力を入れているのが高視認の防寒ウェアシリーズから。今シーズンも本格的な新商品が登場し、ラインナップに厚みが増した。「昼夜の高視認性に対応したISO201471準拠の防水防寒コート『E78100』とパンツ『E78200』です。2013年3月に高視認性の国際規格ISO20471が日本で承認され、いずれJISで規格されるだろうということで本格仕様のものを商品化しました」。
このウェア、既に年間モノとして出ている『E780』シリーズの防寒バージョン。蛍光オレンジor蛍光イエローをベースにしたツートンで、胴、袖、太もも、ふくらはぎにぐるりと再帰反射テープ『Reflexite』(リフレクサイト)を施し、夜間における360度の高視認性を確保している。「規格では輝度、色のコントラスト、柄、意匠デザインが事細かに規定されています。再帰反射テープの幅、付ける位置、テープとテープとの間隔までね。また、蛍光色に関しては、海外の多くの国で規定され、義務化されているけど、日本のJISにはなかった。私の知っている限りでは、国内で蛍光素材のワークウェアを出しているメーカーは数社。ISO20471準拠の年間モノに至っては、当社を含めて2社だけです。特にウチは、社長がJAVISA(一般社団法人 日本高視認性安全服研究所)に入っていることもあって意欲的です」。
まだまだ語り足りなさそうな宮川さんだが、『E78100』の高視認性はこのくらいにして、ここらで肝心の防水防寒性能についてお話しいただこう。「生地は耐水圧10,000mm。裏側から縫い目にシームテープを圧着した完全防水で、どしゃ降りでもゲリラ豪雨でも浸み込んできません。透湿性は15,000g/㎡24hr。ウェア内の水蒸気を外へ放出するので、汗をかいてもムレることなく快適ですよ」。
また、いつものことながら、素材の良さを最大限に引き立てる熟練の技にも感心させられる。例えばイヤなパチパチやまとわりつきを防ぐ帯電防止機能。そしてファスナーやボタンの露出を抑えた傷つけ防止設計。コート内側下部には裾からの冷気の侵入を遮るストームガードも付いている。心憎いばかりに完成された理想のひと品。見事な出来栄えだという他ない。
防水機能は特に必要ない、視認性がISO準拠でなくても特に構わないというひとには、セーフティコート『E79100』とパンツ『E79200』がオススメだ。ボディーカラーが違うため、『E78100』ほど目立ちはしないが、50mm幅の再帰反射テープをふんだんに使い、夜間の視認性を全方向から高めている。「蛍光色に抵抗のある方にオススメです。ふだんベーシックな色を着ている方は“こんなハデな色、着られない!”となりますからね(笑)。まずは無難な色から着用いただこうと、オレンジの他にネイビーもご用意しました」。こちらも定番商品『E790』シリーズと連動。素材や作りは他の防寒ウェアと同レベルというから保温性や仕様のグレードは高い。
さらにもうひとつ、今冬の新商品ではないが、高視認の防水防寒といえば『ゴアテックス』を使った『51017』シリーズも見逃せない。ご存じのとおり、ゴアテックスはスキーウェアなどアウトドア用品でもお馴染みの素材である。「ISO20471:2013規格準拠で耐水圧35,000mm以上、透湿性に至っては14,400g/㎡24hr以上。シームテープを施し、外部からの水の浸入を完璧に遮断するにもかかわらず、内部の水蒸気は外へ放出する。汗をかいても全くムレませんし、どんなに厳しい寒風も遮断するので保温性もこれ以上のものはなかなかありません」。
防寒ワークの分野でゴアテックスを使っているのは旭蝶だけ。ウインドストッパーに始まり、防寒ブルゾン、コート、パンツ、レイン、高視認の防寒防水とゴアテックスアイテムを展開してきた。そんな実績がゴア社に認められ、旭蝶はゴアテックスを使ったオリジナル商品も出している。そのひとつがゴアテックス3WAY防寒コート『51023』、2WAY防寒パンツ『51024』である。「アウターとインナーで厳寒期の防寒に。インナーだけで軽防寒に。アウター1枚ならレインコートとしても着用できる3シーズン対応商品です。インナーの中綿は『アウトラスト』。これはNASAのために開発された温度調節素材で、極寒でも高温の環境下でも常に快適な温度が得られます」。
この商品、値段は高いが、熱心なファンが大勢いるのだとか。「旭蝶の営業マンは全員コレを着て出張に行きます」と言うように、スーツにも合うデザインなのでビジネスマンにもオススメ。今冬も宮川さんたちはこのウェアを着て、雪深い寒冷地での営業まわりに励むのだろう、きっと。そう思うとウェアの信頼性に俄然リアリティが出てくる。
このほかにも旭蝶には傷つけ防止設計の『E73000』、マイナス20℃~30℃の環境下に対応した極寒仕様の『69200』、マイナス50℃でもOKの超極寒ウェア『50000』などなど、プロフェッショナルが愛用する防寒ウェアがズラリ。このまま詳しく説明を続けたいところだが、思い直してレポートの後にある商品紹介欄に解説を譲ることにする。理由はあまりに高機能過ぎて、一般ユーザーが多い月刊まいど屋読者の興味を引くとは思えないからだ。
素人やビギナーから見れば過剰とも思えるスペックを提示して、旭蝶は我々一人ひとりの判断力を試している。わかる人だけにしか使ってほしくない。そんな突き放したような目で、じっとこちらの器量を測ろうとしている。不器用だが、真摯な姿勢を貫き通す旭蝶の防寒コレクション。多くの人にとっては価格と仕様の両面から縁遠い存在かもしれない。だが、一度ハマれば、熱烈な信奉者になるだろう。まいど屋はここでは論評を差し控える。判断は読者の皆さんにお任せしたい。
さて、当の取材だが、今回もお話は営業部の宮川英樹さん。前回よりももっと突っ込んだ解説をするということで、大量の商品を準備して待っていてくれた。テーブル上に所狭しと並べられたウェアを見やりながら、宮川さんがまず防寒に対する彼らのスタンスを改めて教えてくれる。「防寒は素材が全て。保温性にしろ防水性にしろ素材次第なので、ウチの商品づくりはまず素材から。商社からこんな生地があるんだけどと提案があれば、社内でしっかり企画を練る。昨今は温暖化や保温性のあるインナーの登場によって軽防寒が注目されていますが、やはり、それでは仕事にならないという方もいらっしゃいます。そういった高レベルの機能をお求めの方のために、いい生地、特にいい中綿を使って保温性の高いものを作るのが我々のポリシーです。必然的に価格は高めになってしまいますが、わかってくれるお客さまにだけわかっていただければいいと割り切って考えている」。
素材が全てで納得のいくものしか仕入れない。わかるひとだけがわかればいい。例のフレンチレストランのシェフが言ってたセリフにそっくりだ。頑固一徹で、自分が納得しなければテコでも動かない。人々が安さを求めていることをわかっていても、品質に妥協して時勢に迎合することがない。彼らを見ていると、お客様に選ばれることを目指しているというよりは、彼らがユーザーを選んでいるように思えてくるのだ。まいど屋が旭蝶の防寒着を紹介することを躊躇していた理由がわかってもらえるだろうか。。。
さて、前フリはもうこれくらいにして、そろそろ各アイテムの解説に移ろう。まずは旭蝶がこのところ力を入れているのが高視認の防寒ウェアシリーズから。今シーズンも本格的な新商品が登場し、ラインナップに厚みが増した。「昼夜の高視認性に対応したISO201471準拠の防水防寒コート『E78100』とパンツ『E78200』です。2013年3月に高視認性の国際規格ISO20471が日本で承認され、いずれJISで規格されるだろうということで本格仕様のものを商品化しました」。
このウェア、既に年間モノとして出ている『E780』シリーズの防寒バージョン。蛍光オレンジor蛍光イエローをベースにしたツートンで、胴、袖、太もも、ふくらはぎにぐるりと再帰反射テープ『Reflexite』(リフレクサイト)を施し、夜間における360度の高視認性を確保している。「規格では輝度、色のコントラスト、柄、意匠デザインが事細かに規定されています。再帰反射テープの幅、付ける位置、テープとテープとの間隔までね。また、蛍光色に関しては、海外の多くの国で規定され、義務化されているけど、日本のJISにはなかった。私の知っている限りでは、国内で蛍光素材のワークウェアを出しているメーカーは数社。ISO20471準拠の年間モノに至っては、当社を含めて2社だけです。特にウチは、社長がJAVISA(一般社団法人 日本高視認性安全服研究所)に入っていることもあって意欲的です」。
まだまだ語り足りなさそうな宮川さんだが、『E78100』の高視認性はこのくらいにして、ここらで肝心の防水防寒性能についてお話しいただこう。「生地は耐水圧10,000mm。裏側から縫い目にシームテープを圧着した完全防水で、どしゃ降りでもゲリラ豪雨でも浸み込んできません。透湿性は15,000g/㎡24hr。ウェア内の水蒸気を外へ放出するので、汗をかいてもムレることなく快適ですよ」。
また、いつものことながら、素材の良さを最大限に引き立てる熟練の技にも感心させられる。例えばイヤなパチパチやまとわりつきを防ぐ帯電防止機能。そしてファスナーやボタンの露出を抑えた傷つけ防止設計。コート内側下部には裾からの冷気の侵入を遮るストームガードも付いている。心憎いばかりに完成された理想のひと品。見事な出来栄えだという他ない。
防水機能は特に必要ない、視認性がISO準拠でなくても特に構わないというひとには、セーフティコート『E79100』とパンツ『E79200』がオススメだ。ボディーカラーが違うため、『E78100』ほど目立ちはしないが、50mm幅の再帰反射テープをふんだんに使い、夜間の視認性を全方向から高めている。「蛍光色に抵抗のある方にオススメです。ふだんベーシックな色を着ている方は“こんなハデな色、着られない!”となりますからね(笑)。まずは無難な色から着用いただこうと、オレンジの他にネイビーもご用意しました」。こちらも定番商品『E790』シリーズと連動。素材や作りは他の防寒ウェアと同レベルというから保温性や仕様のグレードは高い。
さらにもうひとつ、今冬の新商品ではないが、高視認の防水防寒といえば『ゴアテックス』を使った『51017』シリーズも見逃せない。ご存じのとおり、ゴアテックスはスキーウェアなどアウトドア用品でもお馴染みの素材である。「ISO20471:2013規格準拠で耐水圧35,000mm以上、透湿性に至っては14,400g/㎡24hr以上。シームテープを施し、外部からの水の浸入を完璧に遮断するにもかかわらず、内部の水蒸気は外へ放出する。汗をかいても全くムレませんし、どんなに厳しい寒風も遮断するので保温性もこれ以上のものはなかなかありません」。
防寒ワークの分野でゴアテックスを使っているのは旭蝶だけ。ウインドストッパーに始まり、防寒ブルゾン、コート、パンツ、レイン、高視認の防寒防水とゴアテックスアイテムを展開してきた。そんな実績がゴア社に認められ、旭蝶はゴアテックスを使ったオリジナル商品も出している。そのひとつがゴアテックス3WAY防寒コート『51023』、2WAY防寒パンツ『51024』である。「アウターとインナーで厳寒期の防寒に。インナーだけで軽防寒に。アウター1枚ならレインコートとしても着用できる3シーズン対応商品です。インナーの中綿は『アウトラスト』。これはNASAのために開発された温度調節素材で、極寒でも高温の環境下でも常に快適な温度が得られます」。
この商品、値段は高いが、熱心なファンが大勢いるのだとか。「旭蝶の営業マンは全員コレを着て出張に行きます」と言うように、スーツにも合うデザインなのでビジネスマンにもオススメ。今冬も宮川さんたちはこのウェアを着て、雪深い寒冷地での営業まわりに励むのだろう、きっと。そう思うとウェアの信頼性に俄然リアリティが出てくる。
このほかにも旭蝶には傷つけ防止設計の『E73000』、マイナス20℃~30℃の環境下に対応した極寒仕様の『69200』、マイナス50℃でもOKの超極寒ウェア『50000』などなど、プロフェッショナルが愛用する防寒ウェアがズラリ。このまま詳しく説明を続けたいところだが、思い直してレポートの後にある商品紹介欄に解説を譲ることにする。理由はあまりに高機能過ぎて、一般ユーザーが多い月刊まいど屋読者の興味を引くとは思えないからだ。
素人やビギナーから見れば過剰とも思えるスペックを提示して、旭蝶は我々一人ひとりの判断力を試している。わかる人だけにしか使ってほしくない。そんな突き放したような目で、じっとこちらの器量を測ろうとしている。不器用だが、真摯な姿勢を貫き通す旭蝶の防寒コレクション。多くの人にとっては価格と仕様の両面から縁遠い存在かもしれない。だが、一度ハマれば、熱烈な信奉者になるだろう。まいど屋はここでは論評を差し控える。判断は読者の皆さんにお任せしたい。
旭蝶繊維のこだわり防寒を語る営業の宮川さん
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寒冷地の悪天候に苦しんでいるひと必見!耐水性、透湿性、保温性、全てに妥協を許さず、丁寧に仕上げた極寒仕様の防寒ブルゾン 最新の極寒仕様に防水性をプラスした、冷凍庫もOKの実力派。表地は耐水圧10,000mm、透湿度4,000g/㎡24hrの『ネオゾイック』、中綿は軽量で保温性に優れ、雨風にも強いデュポン社の『コンフォマックス』、裏地はディンプルメッシュキルト。縫い目からの水の浸入を防ぐシームテープ加工。トップスは前立て切り替えし、二重前立て仕様、フード取り外し可。パンツはスルーポケット付き。反射材付き。 |
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雨が降っても怖くない!雪が降っても心配ない!耐水圧は10000mm、嵐の中でも快適に作業できるE61000シリーズ 耐水圧だけじゃない!透湿性だって4,000g/㎡24hrと高スペック。しかも、前立て切り替えし、縫い目からの水の浸入を防ぐシームテープで完全防水。表地は優れた防水・防風性とソフトな風合いを持つエコ制電ウェーブロン。ボタン、ファスナー隠し仕様の傷つけ防止設計。胸、袖、パンツ後ろポケット、ヒザ下サイドに再帰反射テープ。フード取り外し可。 |
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