【甘味処『相生』】ブルースを奏でる和スイーツimage_maidoya3
うだるように暑い夏の昼下がり。ある者は日傘をさし、また、ある者は扇子をパタパタさせながら、汗を拭き拭きひたすら待つ。強い日差しとアスファルトの照り返しに耐えてじっと待つ。そんなふうに暑さMAXにして待つのも味のうち。行列の先には、至福のかき氷タイムが待っているのだから。
  「炎天下に並んででも食べたい」「食べずにはいられない」と評判の店、それが名古屋市東区にある甘味処『相生(あいおい)』である。この店では一年を通してかき氷、ぜんざい、あんみつなどの和風スイーツをバリエーション豊富に供していて、特に夏はかき氷を求めるお客さんで連日行列ができる。
  中でも、ふっくら炊き上げたあずきの上にふわっふわのかき氷をこれでもかと盛り、手作りの抹茶シロップとミルクをかけた『宇治金時ミルク』(税込780円)は一番人気。これを目当てに遠方からわざわざ訪れるお客さんも多いという。
  『相生』は、1954年(昭和29年)に現店主のおじいさんが和菓子店を開業したのが始まり。その後、名古屋駅前に和菓子の実演販売とぜんざいなどが味わえるコーナーを併設した店を出し、やがて甘味処一本に。駅前の憩いの店として多くの人に愛されてきた。そんな『相生』がこの地に移転したのは14年前のこと。駅前の再開発に伴ってのことだ。
  わずか18席の小さな店だが、冬でもお客さんが途切れることがない人気店だけにグルメ取材は一切お断り。「そこを何とか。あくまでもユニフォームの記事ですから」とお願い倒して実現した取材である。営業の邪魔にならないようにと訪れた閉店間際。さてさて、どんな話が聞けるのだろうか。
 

甘味処『相生』
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3代目店主の伊佐治さん
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水だて抹茶+アイス&あずきの『相生』(税込630円)
迎えてくれたのは、三代目店主の伊佐治眞(いさじ・まこと)さん。袖まくりしたシャツにエプロンがけ、頭には派手めの日本手ぬぐいを巻き、後ろでキュッと結んで小ざっぱりまとめている。
  「今の時期は何がよく出るんです?やはり、あったかいぜんざいとか、おしるこですか?」
  「それが、このところのかき氷ブームの影響なのか、冬でもかき氷がよく出るんです。特に今冬は暖冬ということもあって例年以上です。今日も1人で2杯召し上がった方と3杯召し上がった方がいらっしゃいました(笑)」。
  夏にかき氷を出す店は多いが、冬でもかき氷が食べられる店となると、なかなかない。そんなことから、『相生』には自然と“かき氷好き”が集まってくるらしい。取材に伺ったのは1月中旬。暖冬とはいえ外はけっこう冷えているというのに。
  「かき氷が人気ですが、実をいうとウチの一番のウリはあんこ。小豆あんです。和菓子屋時代からお付き合いのある業者さんから十勝産(北標別産)のいい小豆を仕入れていて、夏は毎日3升、冬は1日おきに1升半炊いています」。アイスクリーム以外はすべて手作りするというご主人。夏は朝4時半から、冬は7時から仕込みにかかる。あずきを炊いて、白玉や寒天を作ると、あっという間に11時。その後、昼食をとって12時から営業となる。
  せっかくなので何か一品いただこうとメニューを見ると、あんみつ、おしるこ、ぜんざい、みつまめ・・・エトセトラ。冷やしバージョンもあるし、白玉の追加トッピングなんてのもある。夏だったら文句なしにトライしたいかき氷も、宇治金時からいちご、レモンまである。あれこれ迷った末、店と同名の『相生』(税込630円)を注文。抹茶のグリーンにバニラアイスクリームの白、あずきの茶紫が映えて、色彩的にも美しい一品である。
  水だての抹茶は、真冬でもOKのほどよい冷たさで、アイスクリームとの相性もバッチリ。ふっくら柔らかく炊き上げた小豆あんは、甘さ控えめで小豆そのものの味がよくわかる。抹茶、アイス、あずきをそれぞれ単独で、次は組み合わせてと、いろいろな味を楽しんだ。
  ごちそうさま!の後は、本題のユニフォームについて。
  「エプロンは、14年前、ここに移ってきた時にドーンとまとめ買いしたものです。とても気に入っているのに廃番になったようで、今はもう売っていないんです」。
  胸当て付きの黒いエプロンはひざ下までのロング丈で、ブランドは『kansaiユニフォーム』。ご主人のほか、ホール担当のスタッフも同じエプロンを着用している。
 
  ご主人がこのエプロンを気に入っている理由は4つ。
  ●前に深めのスリットが入っているので脚さばきが良く、動きやすい。
  ●背中でクロス掛けするタイプで、首掛けタイプのように首に負荷がかからない。
  ●黒なので氷のしぶきや抹茶、粉などを飛ばしても汚れが目立たない。
  ●生地に撥水性があり、少々水がかかっても浸みてこない。
 
  「表示の文字が消えちゃってわからないけど、素材はポリエステル100%かな?汚れにくいので防汚加工がしてあるかもしれません。実をいうと、その昔、ビニール製のエプロンを使ったことがあるんです。氷をかくと削った氷や水しぶきがガンガン飛ぶのでね。完全防水という点では良かったんだけど、通気性が全くないものだから、ムレるわ、暑いわで・・・(笑)」。お気に入りのエプロンも今や底をついてきて、次のを探し始めているというご主人。いろいろ見ても、最近はカフェタイプのものばかりで・・・と嘆く。
  最後に、ずっと気になっていたことを尋ねてみた。厨房の壁にアコーステックギターが掛けてあるが、何なのか?と。「あ、これね。あずきを蒸らしている時なんかに弾いているんです。昔、バンドをやっていたので」。
  厨房用にと7.980円で買ったギター。弾くのはもっぱらブルース系とのこと。よく見ると、カウンターには和風の店らしからぬ、洋楽のCDが並んでいる。少しだけだが、ご主人の人となりがわかったような気がした。
  後で知ったのだが、『相生』のホームページには、「店内は和風にもかかわらず、店主の好みで雰囲気を壊さない程度に80年代のロックを流させていただいております」と小さな文字で断り書きが添えられていた。あいにくこの日は閉店間際だったのでBGMは流れていなかったが、昔懐かしいロックを聞きながら味わう和風スイーツは、想像以上にオツなものかもしれない。
  なお、甘味処『相生』のホームページにはメニューもしっかり載っているので、一度ご覧になったうえで来店されることをオススメします。
 
  【店舗情報】
  甘味処 相生(あいおい)
  住所:〒461-0001 愛知県名古屋市東区泉3-1-6
  電話:052-937-0477
  HP: http://aioi.cc   
  営業時間:12:00~19:00 (L.O18:30)
  ※土曜・祝日 12:00~18:00 (L.O17:30)
  品切れ等、オーダーストップ前に終了する場合あり。
  定休日:水曜・日曜 
  ※駐車場なし
 
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抹茶色ののれんと大きな看板が目印
 

    

確かに足さばきがよくて動きやすい!伊佐治さんもお気に入りのフロントスリット入りエプロン

デリのホールスタッフなどに最適!しなやかな風合いと使いやすさで人気の胸付エプロン。動きやすいフロントスリット付きの『APK489』は肩ひもが落ちにくく、安定感のあるH型。鮮やかなカラーリングの『CA-1437』は、シャリ感のある交織ポプリン素材に超撥水加工で使い勝手もよし。『5-641』は着るほどに味わいが増すデニム素材。汚れをしっかりガードする撥水・撥油・防汚加工。適度なストレッチ性があって動きやすさもマル。


コーディネートにスパイスを!カジュアルに垢抜けたイメージを演出するバンダナ帽

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