月刊まいど屋の公式レポートにこんなことを書くと怒られそうだが、編集部はこのメーカーに対し、かなりの苦手意識がある。語るべき言葉が見つからないのだ。何時間デスクの前でうんうん唸っても、気分転換に煙草を何本も吸ってみても、決まって元のスタート地点に戻ってくる。そこでは足元でぽっかりと深い穴が口をあけ、まいど屋が投げかける言葉を音もなく飲みこんでしまう。メーカーとしての一番のウリは何ですか?今、自信を持って紹介できる商品は?---耳を澄ますが返事はない。何度繰り返してみても結果は同じだ。そのうち、そうした問い自体がまるで見当違いでバカげたものであるかのように思えてくる。そして、たばこの吸い過ぎで痛くなった肺のあたりをさすりながら、やっぱり特集するんじゃなかったと激しく後悔することになる。
今、そんな気分でこの原稿を書き始めている。いや、誤解しないでいただきたい。彼らの作る商品に見るべきものがないというのでは決してない。事実は全くその逆なのだ。見るべきものがありすぎて、どのトピックを選べばいいのか、途方に暮れてしまうのだ。自分の手の内を見せるようで本当はあまり言いたくはないのだが、こうしたレポートというのは、ある程度メーカーの特徴を掴み、そこを深く掘り下げていくことで成り立っている。デザインに特徴があるのなら、そこを強調してレポートする。機能性に一日の長があるのならそれを書く。着眼点がユニークならば、その発想を褒め称える。そして多くの場合、そうして誇張されたストーリーの裏では、その特徴以外の事項は意図的にカットされることになる。そうしなければ、話の焦点がぼやけて何を言いたいのかよくわからない文章になってしまうからだ。
さてコーコスだ。ほとんどすべてのワークシーンを網羅できるほど、コレクションに厚みがある。この時点で、何を取り上げればベストなのか、早くも迷いが生じてくるのだ。もちろん、それぞれの商品自体が大変優れている。機能性と着心地のよさは一流だ。デザインだってアカ抜けている。各シリーズのそこここにニヤリとさせられる仕掛けが仕込んであるから、それについても言及すべきなのだろう。<コーコスのワークウェアコレクションは、独自の視点で開発した優れたスペックを多数備え、しかもシャレた雰囲気に仕上げてある。だからまいど屋のお客さまからも絶大な人気がある。以上。>それしか書きようがない。それで読者の皆さんが許してくれるのなら、どんなにラクだろう。ああ、さっきから何度同じところをぐるぐると回り、何本の煙草を吸っているのだろう。肺がひどく痛んできた。本当に、何でコーコスの特集をしてしまったのだろう。まったく、本当に。
今、そんな気分でこの原稿を書き始めている。いや、誤解しないでいただきたい。彼らの作る商品に見るべきものがないというのでは決してない。事実は全くその逆なのだ。見るべきものがありすぎて、どのトピックを選べばいいのか、途方に暮れてしまうのだ。自分の手の内を見せるようで本当はあまり言いたくはないのだが、こうしたレポートというのは、ある程度メーカーの特徴を掴み、そこを深く掘り下げていくことで成り立っている。デザインに特徴があるのなら、そこを強調してレポートする。機能性に一日の長があるのならそれを書く。着眼点がユニークならば、その発想を褒め称える。そして多くの場合、そうして誇張されたストーリーの裏では、その特徴以外の事項は意図的にカットされることになる。そうしなければ、話の焦点がぼやけて何を言いたいのかよくわからない文章になってしまうからだ。
さてコーコスだ。ほとんどすべてのワークシーンを網羅できるほど、コレクションに厚みがある。この時点で、何を取り上げればベストなのか、早くも迷いが生じてくるのだ。もちろん、それぞれの商品自体が大変優れている。機能性と着心地のよさは一流だ。デザインだってアカ抜けている。各シリーズのそこここにニヤリとさせられる仕掛けが仕込んであるから、それについても言及すべきなのだろう。<コーコスのワークウェアコレクションは、独自の視点で開発した優れたスペックを多数備え、しかもシャレた雰囲気に仕上げてある。だからまいど屋のお客さまからも絶大な人気がある。以上。>それしか書きようがない。それで読者の皆さんが許してくれるのなら、どんなにラクだろう。ああ、さっきから何度同じところをぐるぐると回り、何本の煙草を吸っているのだろう。肺がひどく痛んできた。本当に、何でコーコスの特集をしてしまったのだろう。まったく、本当に。
コーコス信岡
フロントにプリントネームが入れられる『A-5180』
ヒップが深めのレディースカーゴ(手前)とメンズカーゴ(奥)
今回もお話は東京営業所の柴田さん。年に3~4回顔を見せてくれる、まいど屋担当の営業マンだ。会って早々、「まだ、ネタとなる商品チョイスに迷っている」と話すと、「なら、これは?今、コーコスで最も人気のある作業服ですけど」と、ハンガ-ラックから鮮やかなブルーのブルゾンを取り出し、羽織ってみせた。
肩からボディーサイドにかけてのラインづかいが疾走感のある雰囲気を醸し、非常にスポーティー。ツートンカラーが目に鮮やかな一着だ。柴田さんが試しに羽織ると、まるで家電量販店の販売員さんのようにエネルギーが溢れた印象になる。胸には加工見本として入れてみたという『CO-COS』の白いロゴプリントが「どうだ、これでもか」と存在感を主張し、ブルーとのコントラストを際立たせている。「ブルゾン『A-5180』です。最大の特徴は後加工でフロントに社名やロゴが入れられること。パッと見てすぐわかるし、プリントスペースがタテ配置なのでデザイン的なインパクトも出てきます」。
ネームスペースは幅10cm×縦50cmほど。これまで背にしか入れられなかったプリントが前面に大きく入れられるのは、確かにこれまでになかったアイデアで、導入した会社のオリジナル感がかなり出てくるのは確かだろう。「大手の企業では、“別注”といって生地からデザインからすべてオリジナルで注文するケースがあります。望みどおりのユニフォームができますが、既製品より割高になるし、細かな手違いなども発生しやすく、納期もかかる。そこで、別注で作りたいけど、問題もあるよね、というお客さまに向け、既成品で今までにないオリジナル対応ができるようにしたんです」。
生地はポリエステル90%、綿10%の交織ツイル。生地の織り密度が高く、保温性に優れているので秋冬にはうってつけ。付属品は樹脂ファスナー、樹脂ボタンを使用し、腕、肩に反射パイピング、衿には消臭テープが付いている。
なお、この『A-5180』は、昨年秋にデビューした『A-5170』シリーズの後発商品。先行発売したブルゾン『A-5170』は、サイドと袖下、前立て裏に配色を入れたツートンデザインで、ほかにもシャツ、スラックス、カーゴが揃っている。では、そもそも『A-5170』シリーズは何を意図して製品化したのか?「肌触りがよく、見た目も美しく見える裏綿素材のよさをもう一度見直してみようかと。また、着こなしの提案では、最近は上下別色で着るのがトレンドなので、同じシリーズ内でカラーコーデできるものをやりたかったんです」。
先に紹介した『A-5180』を含め、『A-5170』シリーズは上がカラー6色、パンツは5色。いろいろな組み合わせが可能だが、一番人気は上がブルー、下がシルバーだそうだ。そしてもちろん、そうしたシャレた着こなしを提案するだけあって、大人数のイメージユニフォームとして使われることを想定し、レディースのパンツも揃えている。「スラックス、カーゴともにレディースモデルを出しているのも特徴です。レディースは、単純にメンズを縮小すればいいわけではありません。当社ではパターンから女性用で起こしていますし、腰帯部分を曲線にして股上を深くしているので、しゃがんでもインナーが見えず、安心して着ていただけます」。
レディースを作るのは「ユニフォーム選びの決定権が女性にあるから」と柴田さんは言う。以前、ある型番でほぼ決まりかけていた大口の案件が、パンツが男女兼用だったため、受注を逃したことがあったそうだ。そして、二度とその轍を踏まないように、『A-5170』シリーズではしっかりと対応したのだという。
さて、着こなしの提案にコーコスらしいヒネリを加えた『A-5170』とは対照的に、機能性にフォーカスを当てて差別化を図った商品もたくさんある。柴田さんが次に紹介を始めた高視認作業服『A-3170』シリーズもその中の一つだ。「ターゲットは運送業など路上での作業を伴う職種です。本格的な高視認ウェアは必要ないけど、安全は確保したいという企業さんに、高視認のとっかかりとして提案しています」。
高視認といえば、ヨーロッパのEN規格があり、日本でも2015年10月にJIS T-8127 ができた。コーコスでも適合商品を出しているが、蛍光生地や反射材が高価なうえに縫製も難しいことから作業服にしては値段が高い。また、ベース地が蛍光イエローや蛍光オレンジになるので企業カラーが出しにくい。そんな事情から、見た目が洗練されていて視認性にも優れた『A-3170』シリーズの登場となった。「これまで申し訳程度に入っていた反射材を、背中に太いのを1本、袖の外側に2本、パンツのサイドに2本入れています。好評をいただいているのが反射材に施した保護メッシュ。反射材はガラスの粒の集まりなので、むき出しだと手の脂が付いたり、何かに擦れて脱落してしまう恐れがありますから。保護メッシュがあることで、そうした不具合を防げるんです」。
見本の赤黒ブルゾンは、黒の切り替えが表情を引き締め、精悍なイメージ。よく見ると、切り替えが裾にまで及び、凝ったデザインになっている。「ウチの企画担当が研修でドイツに行った時に、現地の運送業者のウェアにひと目惚れ。で、そのテイストを取り入れたようです。お客さまの中には“デザインが気に入って選ぶんだから反射材はいらん!”っていう方までいらっしゃいます(笑)」。
以上が柴田さんが本日紹介してくれたオススメの2シリーズ。冒頭で述べたとおり、苦手意識を持ちながら、何とか頑張ってレポートしてきた。レポートすべき点はひととおり書いたつもりだが、言及することが多すぎて、やっぱり何だか焦点が定まらないような、ぼやけた印象の出来上がりになっているかもしれない。そう感じる読者の皆さんがいるとすれば、それはひとえに編集部の力量不足に原因があることを、ここでもう一度強調して、ひと先ず今回のレポートを終わりにしようと思う。ここまで読んでいただいて無責任な言い方はしたくないのだけれど、コーコスのよさを理解するのなら、こんなレポートを読むよりも、実際に手に取って、そして使ってみるのが一番なんですよね、やっぱり。え?とうとう開き直ったのかって?別にそんなつもりはありません。だから言ったじゃないですか、本当に、まいど屋には荷が重いんです、コーコス・コレクションの素晴らしさを余すことなく伝え切ることって。
肩からボディーサイドにかけてのラインづかいが疾走感のある雰囲気を醸し、非常にスポーティー。ツートンカラーが目に鮮やかな一着だ。柴田さんが試しに羽織ると、まるで家電量販店の販売員さんのようにエネルギーが溢れた印象になる。胸には加工見本として入れてみたという『CO-COS』の白いロゴプリントが「どうだ、これでもか」と存在感を主張し、ブルーとのコントラストを際立たせている。「ブルゾン『A-5180』です。最大の特徴は後加工でフロントに社名やロゴが入れられること。パッと見てすぐわかるし、プリントスペースがタテ配置なのでデザイン的なインパクトも出てきます」。
ネームスペースは幅10cm×縦50cmほど。これまで背にしか入れられなかったプリントが前面に大きく入れられるのは、確かにこれまでになかったアイデアで、導入した会社のオリジナル感がかなり出てくるのは確かだろう。「大手の企業では、“別注”といって生地からデザインからすべてオリジナルで注文するケースがあります。望みどおりのユニフォームができますが、既製品より割高になるし、細かな手違いなども発生しやすく、納期もかかる。そこで、別注で作りたいけど、問題もあるよね、というお客さまに向け、既成品で今までにないオリジナル対応ができるようにしたんです」。
生地はポリエステル90%、綿10%の交織ツイル。生地の織り密度が高く、保温性に優れているので秋冬にはうってつけ。付属品は樹脂ファスナー、樹脂ボタンを使用し、腕、肩に反射パイピング、衿には消臭テープが付いている。
なお、この『A-5180』は、昨年秋にデビューした『A-5170』シリーズの後発商品。先行発売したブルゾン『A-5170』は、サイドと袖下、前立て裏に配色を入れたツートンデザインで、ほかにもシャツ、スラックス、カーゴが揃っている。では、そもそも『A-5170』シリーズは何を意図して製品化したのか?「肌触りがよく、見た目も美しく見える裏綿素材のよさをもう一度見直してみようかと。また、着こなしの提案では、最近は上下別色で着るのがトレンドなので、同じシリーズ内でカラーコーデできるものをやりたかったんです」。
先に紹介した『A-5180』を含め、『A-5170』シリーズは上がカラー6色、パンツは5色。いろいろな組み合わせが可能だが、一番人気は上がブルー、下がシルバーだそうだ。そしてもちろん、そうしたシャレた着こなしを提案するだけあって、大人数のイメージユニフォームとして使われることを想定し、レディースのパンツも揃えている。「スラックス、カーゴともにレディースモデルを出しているのも特徴です。レディースは、単純にメンズを縮小すればいいわけではありません。当社ではパターンから女性用で起こしていますし、腰帯部分を曲線にして股上を深くしているので、しゃがんでもインナーが見えず、安心して着ていただけます」。
レディースを作るのは「ユニフォーム選びの決定権が女性にあるから」と柴田さんは言う。以前、ある型番でほぼ決まりかけていた大口の案件が、パンツが男女兼用だったため、受注を逃したことがあったそうだ。そして、二度とその轍を踏まないように、『A-5170』シリーズではしっかりと対応したのだという。
さて、着こなしの提案にコーコスらしいヒネリを加えた『A-5170』とは対照的に、機能性にフォーカスを当てて差別化を図った商品もたくさんある。柴田さんが次に紹介を始めた高視認作業服『A-3170』シリーズもその中の一つだ。「ターゲットは運送業など路上での作業を伴う職種です。本格的な高視認ウェアは必要ないけど、安全は確保したいという企業さんに、高視認のとっかかりとして提案しています」。
高視認といえば、ヨーロッパのEN規格があり、日本でも2015年10月にJIS T-8127 ができた。コーコスでも適合商品を出しているが、蛍光生地や反射材が高価なうえに縫製も難しいことから作業服にしては値段が高い。また、ベース地が蛍光イエローや蛍光オレンジになるので企業カラーが出しにくい。そんな事情から、見た目が洗練されていて視認性にも優れた『A-3170』シリーズの登場となった。「これまで申し訳程度に入っていた反射材を、背中に太いのを1本、袖の外側に2本、パンツのサイドに2本入れています。好評をいただいているのが反射材に施した保護メッシュ。反射材はガラスの粒の集まりなので、むき出しだと手の脂が付いたり、何かに擦れて脱落してしまう恐れがありますから。保護メッシュがあることで、そうした不具合を防げるんです」。
見本の赤黒ブルゾンは、黒の切り替えが表情を引き締め、精悍なイメージ。よく見ると、切り替えが裾にまで及び、凝ったデザインになっている。「ウチの企画担当が研修でドイツに行った時に、現地の運送業者のウェアにひと目惚れ。で、そのテイストを取り入れたようです。お客さまの中には“デザインが気に入って選ぶんだから反射材はいらん!”っていう方までいらっしゃいます(笑)」。
以上が柴田さんが本日紹介してくれたオススメの2シリーズ。冒頭で述べたとおり、苦手意識を持ちながら、何とか頑張ってレポートしてきた。レポートすべき点はひととおり書いたつもりだが、言及することが多すぎて、やっぱり何だか焦点が定まらないような、ぼやけた印象の出来上がりになっているかもしれない。そう感じる読者の皆さんがいるとすれば、それはひとえに編集部の力量不足に原因があることを、ここでもう一度強調して、ひと先ず今回のレポートを終わりにしようと思う。ここまで読んでいただいて無責任な言い方はしたくないのだけれど、コーコスのよさを理解するのなら、こんなレポートを読むよりも、実際に手に取って、そして使ってみるのが一番なんですよね、やっぱり。え?とうとう開き直ったのかって?別にそんなつもりはありません。だから言ったじゃないですか、本当に、まいど屋には荷が重いんです、コーコス・コレクションの素晴らしさを余すことなく伝え切ることって。
視認性に優れた『A-3170』
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背中にも太い再帰反射テープで視認性アップ!
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使い勝手がすこぶるいい!仕事に便利な機能を目いっぱい詰め込んだA-5170シリーズ 『A-5170』は立体裁断で腕を上げてもツッパリ感なく動きラクラク。ラグラン袖の『A-5180』 はフロントにタテ使いのプリントスペース入り。どちらも保温性に優れた綿10%混の交織ツイル素材で、樹脂ファスナー、樹脂ボタンのJIS帯電防止規格適合品。反射パイピング、衿消臭テープ付き。トップスはカラー6色、パンツは5色。上下色違いでのコーデも可。 |
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夜間の安全対策はコイツでキマり!モード的洗練で高視認性安全ウェアの概念を打ち破ったA-3170シリーズ ブルゾンは背中と袖に、パンツはサイドに太い再帰反射テープを付けた高視認ユニフォーム。反射材にはメッシュを施し、汚れや摺れから守って再帰反射の耐久性をアップ。生地はポリエステル65%、綿35%のソフトツイル。表面突起物のない安心仕様で樹脂ボタン、樹脂ファスナーによりJIS帯電防止規格にも適合。ブルゾン、パンツとも全7色。ポロはポリエステル100%、反射材付きで全8色。 |
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