【ビッグボーン商事】去年よりずっと、キレイになったimage_maidoya3
ほんの少し目を離した隙に、彼女は見違えるほどの変貌を遂げていた。まるで思春期の女性がひと夏で全くの別人になってしまったみたいに、あるいは辣腕のGMがいるメジャーリーグのチームが、蛍光灯を取り換えるような気軽さで選手を総入れ替えしてしまったみたいに、その変わりようには目を見張るものがあった。
  不意を突かれた僕は遠慮することも忘れ、相手の頭のてっぺんからつま先までしげしげと眺めまわした。それからようやく微かな彼女の面影を認めて安堵した。その風貌は記憶の底にあったイメージとはかけ離れていたけれど、瞳の奥に彼女が持っていたあの実直さの欠片がしっかりと残っているのがわかったのだ。
  お帰り、と僕は言った。彼女はただ黙ってうなずいた。落ち着いた物腰からは、彼女が備えている人間的な温かみのようなものがにじみ出ていた。僕の目の前にいるのは、やはり紛れもなく、僕がよく知っているあの彼女だった。
  「しばらく見ないうちに」と言いかけてから、僕はそうでもないなと思い直して頭を掻いた。「いや、つい数か月前に会ったばかりだったかな」。
  そう、実際、僕はついこの間彼女と対面したばかりだったのだ。いや、それどころか毎日のように電話で連絡は取り合っていた。距離は離れていても、心理的な一体感は何の疑いもなくそこにあるのだと思っていた。だが、彼女は電話越しの僕とのやり取りをいつものように続けながら、僕の知らないところで、彼女が見つけた新しい世界をひとりこつこつと作り上げていたようだった。そしてそれが今、僕の目の前に突然突きつけられている。僕が彼女のことをどう思っているのか、彼女はとても知りたそうだった。普段は慎み深いひとだから、自分から「どう?」とは決して訊かなかったが、僕には彼女が僕の温かい言葉を求めていることがよくわかった。
  「お帰りってなによ」と彼女は珍しくふくれた顔をした。「久しぶりに会って、それだけ?」。伏し目がちな目から時折送られる、僕を覗き込むような視線には、彼女の強い意志がはっきりと感じられた。僕は何かを言うべきだった。だが、何も言葉が浮かんでこなかった。僕はただ、彼女から伝わってくる熱の熱さにたじろぎ、喉が固まって一言も発することができず、情けなくその場に立ち尽くしたままだった。そして肝心な時に肝心なセリフを思いつけない自分自身を呪った。
  素敵だよ、とその時僕が言えたなら、このレポートはおそらく書かれることはなかっただろう。僕が今、これについて語っているのは、言ってみればある種のリベンジなのだ。彼女の名は、ビッグボーンという。そして僕とは、もちろんまいど屋だ。今シーズンのコレクションから受けた編集部の衝撃ととまどいを読者の皆さんに何とかうまく伝えようと、両者を擬人化して書いてみたのだ。「僕」と「彼女」のおとぎ話よろしく、確かにまいど屋はビッグボーンのあまりの変わりように絶句してしまい、新商品の山を前にして気の利いたビジネストークを交わすこともできなかった。まいど屋の公式レポートのイントロでこんな小細工をしなければならなくなるほど、それは非常識とほとんど紙一重の鮮やかさだったからだ。あまりの変わりよう---これからそれを読者の皆さんに伝えよう。ビッグボーンの中で、何かが生まれた。そしてこれから何かが始まろうとしている。読者の皆さんも以下のレポートを読めば、きっと何も言えなくなるだろう。皆さんの予想をはるかに超える、あまりに素敵な変身を前にすれば。
 

ビッグボーン商事
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防風防水ジャケット『4890』を着る杉田さん
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ブラックラダーの高視認トレーナーとTシャツ
「素敵な変身・・・。いい響きですね。今年2016年は当社にとって攻めの年。ガンガン攻めています」と話すのは、営業部の杉田さん。ビッグボーンの本気の攻めがいかなるものか、さっそく語ってもらおう。「話題性でいえば、この11月から販売する『BLAKLADER(ブラックラダー)』でしょうね。スウェーデン最大級のワークウェアブランドで日本初上陸。ちなみにアジア初でもあります。これまでは、ずっと欧州と北米で展開してきたブランドなんです」。
  『BLAKLADER』の「BLA」は英語でいうところのBlue(青)、「KLADER」は服。つまり、“ブルーカラーの服”というガテン系ズバリのネーミング。名前の通り、メチャ実用的な本格仕様で、なおかつデザインもアカ抜けている。
  ところで、海外ブランドはいろいろあるのに、なぜ、スウェーデンブランドなのか?「3~4年前、当社社長が全く新しいものをやりたい!と言い出しまして、どうせやるならヨーロッパの匂いのするものにしよう!となったんです。それで、当社の主力取引先である東レさんからブラックラダーを紹介していただきました」。
  当初、ブラックラダー側は、アジア=コピー商品というイメージを持っていて、アジアで販売する気は全くなかったそうだ。「我々がヨーロッパの事情を知らないように、向こうもアジアの事情を知らない。3年かけて交渉を重ねていく中で信用をいただき、ようやく販売にこぎつけました」。
  アイテムは防寒ジャケットからインナー、ソックスまで多岐にわたるが、ここではその中でも目を引いたものを紹介しよう。
  まずは、雨、雪、冷たい風にも負けない防風防水の代表格、黒ベースにアクセントカラーを効かせたヘヴィーなジャケット『4890』。「高い撥水性を備えたオックスフォードの表地とラミネートで雨風をシャットアウトし、キルト裏地で保温する三層構造のジャケットです。袖口内側には親指通し穴のある手首ウォーマー、胸部とフードには反射材が付いています。スウェーデンは1年のうち8ヶ月ぐらい寒い季節なので、防寒性能はさすがに飛び抜けて確かです」。
  『4890』ではちょっとハードすぎるという向きには、軽防寒の防風防水ジャケット『4949』がいいだろう。こちらも黒地にカラーファスナーを使い、デザインはシンプル。「軽くてゴツくないので、通勤や営業回りに着たいという声もいただいています。これも三層構造で、透湿性とストレッチ性に優れています」。
  このほか、軽くてソフトな防風防水ジャケット『4952』もあり、作業環境に合わせてチョイスできそうだ。なお、ブラックラダーのシリーズはヨーロッパ規格の輸入品なので、サイズには注意してほしいとのこと。日本のサイズより1~2サイズ小さめでちょうどいい。杉田さん自身は普段はLかLLを着るが、ブラックラダーではMだという。
  せっかくの機会なので、ブラックラダーの中でも主力のジャンルである本場ヨーロッパの高視認ウェアについても説明してもらおう。今回発表したコレクションにはジャケットも揃っているが、杉田さんは汎用性の高そうなトレーナーとTシャツに特に注目してほしいという。「高視認のトレーナー『3359』とTシャツ『3337』はアウターを着なくても遠くから視認できるのでオススメです。胴と袖に5cm幅の反射材がプリントされていて、EN ISO20471クラス1適合です」。
  トレーナーは綿100%の裏起毛。Tシャツは吸汗速乾のポリエステル100%。黒ベースに蛍光色と反射材のシルバーが映えてデザインもカッコいい。このほかにも機能的なインナーや小物など、コレクションはいろいろ。興味のある方は本レポート下の商品紹介コーナーでチェックしてみてほしい。
  さて、攻めのビッグボーン。次なる素敵は、ガテン系のブラックラダーとは真逆のコレクション、その名もSMART WORK WEAR(スマート・ワーク・ウェア)、略して『SWW』。ワークシーンの常識を覆すようなお洒落感がたまらないシリーズで、発表以来「ものすごい反響」なのだとか。「女性デザイナーを起用して作った、女性目線でカッコイイと思えるユニフォームです。ウリはスマートなデザイン、豊富なカラー、そしてストレッチ。生地と縫製は東レグループ。ポロと一部のシャツを除き、ほとんどを男女ペアで揃えています」。
  2015年に試験的な先行発売。今秋冬からカタログに載せての本格販売となったが、すでに製造業、フラワーショップ、ゴルフ場のキャディーさん、運送・物流、介護施設、フードデリバリー、ホテルメンテナンス、青果市場、ガソリンスタンド、牛乳配達など、幅広い業種で続々と採用されており、ワーカーたちをお洒落に変身させている。
  『フィールドジャケット』(SW105、109)は、街着として着ても違和感がないモードなデザイン。マットな色感、しっとりした風合いで、デパートのショーウインドーに並んでいてもおかしくないクオリティーを備えている。立体裁断&ストレッチで動きやすさを重視してつくったという同素材のパンツと組み合わせれば、洗練された雰囲気のユニフォームになりそうだ。「ジャケットもパンツもカラー7色。上はビビッドな色、下は落ち着いた色というように上下違う色で着るのもオススメです」。
  なお、同シリーズには爽やかな綿混ギンガムジャケットやチノパン、デニムパンツなども揃っており、コーディネートの幅が非常に広い。また、ポロシャツ(SW528)には、着替え時にメイクが付いたり、髪が乱れたりしないように大きく開く前立てや、衿がきちんと見える衿裏隠しボタンなどの工夫を盛り込むなど、ユニフォームとしての使い勝手の向上にも気を配っているようだ。
  以上、硬軟2シリーズを紹介してきたが、ビッグボーンの素敵な変身はこれだけにとどまらない。なんと、今秋冬は新商品が18シリーズにも及び、「例年の3倍以上の新作ラッシュです!」と激しい恋に落ちたラテン女のような積極ぶり。なごり雪に出てくる清楚で透明感のある女性を想像していた編集部としては、いささか戸惑ってしまうほどなのだ。言い訳をするわけではないけれど、さすがに本レポートですべてを紹介することは無理なので、以下の商品コーナーでは、厳選した新商品のみに留めておきます。悪しからずご了承ください。
 
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お洒落でスマートなSWWシリーズ『フィールドジャケット』
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工夫がいっぱいのポロシャツ(SW528)

    

雨が降ってもへこたれない!風が吹いてもびくともしない!ワールドクラスのハイスペックで悪天候に立ち向かう防風防水シリーズ

防寒にも優れたヘヴィータイプの『4890』と、軽くてストレッチ性がある軽防寒『4949』は、撥水性の高い表地とラミネート、裏地の三層構造に縫い目からの水の浸入を防ぐシムテープ仕様。どちらもフード付き。軽くて手触りのいいソフトシェルの『4952』は首周りもあったかいハイネックタイプ。こちらもシムテープ仕様の本格派。


これが世界基準の安全服!視認性を高めたセーフティーウェアシリーズ

黒地に蛍光イエローの切り替えと、さりげなく配した反射テープがクールな防寒ジャケットは首周りもあったかいハイネック仕様。軽くてあったかなマイクロフリースジャケットはポリエステル100%。上着を着ていちゃ、仕事になんねえ!という向きにはEN ISO20471クラス1適合のトレーナー、Tシャツがオススメ。トレーナーは綿100%の裏起毛。Tシャツは吸汗速乾で防臭加工もされたポリエステル100%。どちらも幅5cmの反射材が袖と胴体にぐるりと施され、ワーカーの安全をサポート。