【カジメイク】レインウェアが退屈だなんて誰が言った?image_maidoya3
それで、今度は問題の雨合羽。いや、最近じゃ、レインスーツなんてシャレた言葉を使うのかな。まあ、どっちでもいいけど、要は昔からある雨粒を防ぐためのウェアだよ。こっちはさっきの長靴よりさらにやっかいで、記事になりそうな新味なんてほとんどないんだよね。合羽についてレポートするのは、ほとんど---拷問だよ。
  にもかかわらず、結局はやっちゃったんだけどさ。だからこそ、こうしてさっきから合羽に対する自分の感想をまくし立てているんだし、読者のみんなは今現実にそれを読み始めているってわけだ。それはそれでめでたいことなんだろうけど、こっちとしては、すんなりと情報を渡したくないってのが本音だね。割と真剣に苦労したんだからさ。本題に入る前にひとつくらい脱線話に付き合ってもらってもいいじゃない。で、話すけど、どうしてこうした難行苦行をやっているのかというと、編集部がドM体質であるからという理由の他に、雨合羽について語らなきゃ、梅雨対策特集として間が抜けてしまうっていう実際的な問題があるからなんだよね。だって、そうでしょ?雨に打たれるに任せて体はずぶ濡れになりながら、長靴だけ履いて歩いているひとを見かけたら、それはかなりの確率で変質者だと思って間違いないんだから。特にそいつがバスローブみたいなコートを羽織っていて、前から歩いてきたりしたら、女のひとならまず後ずさりするね。だから梅雨対策特集には雨合羽の取材が欠かせない。書くことがなくても、何とかして体裁を整えて、こうして読者の皆さんに提示して見せなきゃならない。月刊まいど屋を続けるのも、皆さんが思っている以上に大変なんだよ。それが仕事だろと言われてしまえば、編集部としては返す言葉もないんだけどさ。
  まあ、とにかく、そうした事情で今回まいど屋が取材先にチョイスしたのが、これから話を聞きに行くカジメイク。ちなみにこのメーカーも取材はこれで3回目。合羽業界最大手だから、まいど屋もついつい頼っちゃうんだよね。苦しいときには親でも使う。メーカーならなおさら徹底的にこき使う。もちろん表向きは下手に出るけどさ。月刊まいど屋を長いこと続けてると、その辺の腹芸は磨かれてくるんだよね。ねえ、教えてくださいよぉなんて言わなくても、相手が勝手にしゃべり出すんだよ。まいど屋と、これを読んでるみんなのためにさ。
 

カジメイク
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アウトドアシーンにも活躍するKJレインパーカー『7710』
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お手頃価格の視認性レインスーツ『3810』
カジメイクの本社は富山県高岡市。確か、前回の訪問は北陸新幹線が開業して間もない頃だった。あれから2年。3度目の訪問となる今回は、どんなレインウェアを推してくるのだろうか。今回話をしてくれるのは、営業担当の森田譲さんだ。「前の特集を読み返してみると、あのときはウチの商品企画が主にウェアの機能性について説明しましたね。カジメイクがどれほどスペックを重視しているか、うまくまとめていただけたと思います。でもね、営業サイドから見ると、ウチの特徴はもう一つあるんじゃないかと。それは数値で測るようなはっきりしたものよりも、もっと感覚的な部分です。今日は最初にその話をしましょうか。ウェアはどれほど高機能であっても、実際に店頭でモノを言うのはデザインなんです。機能性というのは、まいど屋さんの特集記事みたいなものに載らない限り、なかなかユーザーには伝わらない。買った後使ってみて、なかなかいいじゃないかと気付くくらいで。実際、カジメイクの商品を選んだお客さまに訊いてみると、見た目という答えがかなり多い。そういうわけで、最近ではデザイン性をさらに強化して、従来よりもカジュアル化した商品を多く出しています。特に2015年秋に出したKJシリーズあたりからね」。
  確かに、森田さんがエポックとなったと指摘したKJレインパーカー『7710』とパンツ『7720』『7730』を見てみると、カジメイクの路線修正の痕跡がはっきりと表れている。「それまでのウチの商品とは違う切り口でしょ。より自由な感覚で、アウトドアシーンでも着ていただこうと企画しました。ジャケットだけでも着られるように上下別売にし、パッケージも箱型にして特徴をわかりやすく伝えています」。
  ただ、カジュアル志向とはいえ、そこはカジメイク。レインウェアとしての性能は相変わらずハイレベルだ。「東レコーテックスの透湿防水素材『ブリザテック』という軽くて動きやすい素材を使っています。耐水圧10,000mm、透湿度10,000g/㎡・24hrで、水は通さないけど水蒸気は通すので不快なムレ感がなく、ゴアテックスとまではいきませんが、かなりいい」。
  森田さんによると、着用してムレにくさが体感できるのは、透湿度8,000g/㎡・24hrぐらいから。10,000あれば、ほぼ100パーセント、ムレ防止性能を実感できるという。また、KJシリーズは撥水加工も優れていて、初期で5段階ある撥水等級の上から2番目。「洗濯を30回しても1ランク落ちるだけで、撥水性が劣化しにくい」と森田さんは胸を張る。
  うーん、なるほど。でも、洗濯30回と言うけど、レインウェアって洗濯機で洗ってもいいの?洗うと性能が落ちるんじゃ?「洗濯機で洗うとダメになるのは、シームテープ(縫い目から水が入るのを防ぐテープ)が剥がれてしまうから。お手入れは、水拭きして陰干しするのが基本です。この素材はビニール製品に比べて紫外線に弱いので、必ず陰干しで」。
  パンツはEX『7730』が前ファスナー開きで、靴を履いたまま着脱できる裾ファスナー仕様。前ファスナーのないシンプルな作りの『7720』は、スナップボタンで裾幅調節可。「EX『7730』と『7720』は500円ほどしか違いません。上下別売なので、サイズ、カラーパンツのタイプを好きなように組み合わせられます。ちなみにカラーは上が6色。パンツは2色です」。
  さて、このKJシリーズが一般向けであるのに対し、次に紹介するのはプロフェッショナル向け。雨の日でも夜間の安全を守る高視認レインスーツ『3850』である。「2016年10月に発売しました。最近注目されるようになってきた高視認性レインウェアですが、他メーカーさんと違う点は、高視認性の国際基準ISO 20471をクリアしていること。レインスーツでISOを取っている所は少ないです。しかもISOを取っているものにしてはリーズナブルで、ユーザー価格で25000円ぐらい(編集部注:まいど屋では23100円)。高速道路、空港、ガス会社さんなどから多く引き合いが来ています」。なお、念のために補足説明すると、このウェアはISOだけでなく、高視認安全服JIS T 8127規格にも適合している。再帰反射材には、3M社のプリズムタイプとビーズタイプの2種類が使われており、輝度の水準もハイレベルだ。
  もちろん、肝心の使い勝手についても、カジメイクならではの満足度に仕上がっている。先程のレインパーカーと同じように、こちらも耐水圧10,000mm、透湿度10,000g/㎡・24hr。素材が持つ優れた透湿性に加え、背面にベンチレーションを設けてさらにムレ防止策を強化している。また、臀部をしっかりと覆うロングテールカットを採用したり、用途に応じて使い分けられるよう、通常タイプとヘルメット用の2種類のフードを用意したりするなど、作業性を向上させるための仕掛けがあちこちに見られることも付け加えておこう。ちなみにパンツは、サスペンダーを取り外して一般的なズボンとしても着用できる2WAYタイプ。擦れやすい裾部分はゴム素材で補強されているという手の込みようだ。
  一方、そこまで本格的なものは必要ないという向きには、基本性能だけをしっかり残して手頃な価格に抑えた視認性レインスーツ『3810』がオススメだ。「上下でユーザー価格6000円ぐらい(編集部注:まいど屋では5860円)。消防団の方などに人気があります。最近は女性の消防団員も増えているので、レディースモデルも出しました」。
  背中にはムレを逃すベンチレーション。着脱自在のフードは、ヘルメットにも対応できる調節機能付き。パンツは靴を履いたまま着脱OKの裾ファスナー仕様、擦れやすい裾部分はゴム素材で補強と、普及版ながらも至れり尽くせり。
  森田さんが言ったように、団員のチームウェアとしての需要が多いことから、ちょっと変わった工夫もしてある。「ネームプリントしなくてもいいように、左胸と背中に透明のネーム入れを付けています。好きなようにネームを作って中に入れるだけ。中に入れるのは紙製でもなんでもいいんです。背中のネーム入れは不要ならば外して着用いただけます」。
  以上が本日の取材のメインテーマだった最近のカジメイクの代表作。でも、せっかくなので、最後にもう一つ、まいど屋でも特に評判のいいヤッケについてもついでに話を聞いてみよう。「ああ、『2271』のことですよね。名前がAir-one快適ヤッケ。レインウェアとまではいきませんが、撥水性があるので少々の雨ならしのげます。また、屋外でのちょっとした作業に風よけとしても重宝しますよね。その上低価格でファッショナブルだから、人気があるんです。そんなわけで、近々新色を出しますよ。新色はこれまでの無地のツートンカラーとは一味違う柄物を予定しています。デジタルカモフラ、雲間に躍る龍や鳳凰をプリントした龍鳳凰カモフラ、富山の山岳地帯の地図から起こした等高線カモフラの3種類です」。無理を言ってサンプル品を持ってきてもらったが(写真3)、今までにないとがった雰囲気で、とても新鮮に映る。
  素材は破れに強いリップストップ。写真には写っていないが、脇下と背中にベンチレーションがあり、胸には大き目のファスナーポケットが付いている。なお、Air-oneシリーズには無地のパンツ『2272』もあり、本格的な作業に使うつもりなら、上下でそろえるのがオススメだ。本欄で紹介しきれなかったその他の注目アイテムと併せ、以下の商品紹介の中でも詳しく説明しておくから、興味のあるひとは是非チェックしてみてほしい。
 
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人気のAir-one快適ヤッケ『2271』
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ショールームで紹介商品を選ぶ森田さん

    

このレインスーツは呼吸する!ムレた空気を外に吐き出す透湿性能がハンパないKJシリーズ

通勤・通学、アウトドアシーンに!カジュアルなスタイリングながらも耐水圧10,000mm、透湿度はハイレベルな10,000g/㎡・24hr。微多孔質の膜が雨を通さず、湿気を外に逃がすのでムレ感が少なく、メチャ快適。レインパンツEX『7730』は、前ファスナー開き、裾ファスナー付き。『7720』はシンプルな作り。カラー、サイズ組み合わせ自在の上下別売り。


遠くからでもハッキリ見える!働く現場じゃ今や常識の高視認性レインウェアシリーズ

360度どこからでも視認可能な反射材使いで夜間も存在をアピール!ムレを逃す背面ベンチレーションやヘルメットにも対応できるフード、ゴム素材で裾補強したパンツなど、こだわりのディテールも要チェック。ISO 20471、JIS T 8127をクリアした高視認の『3850』は、耐水圧10,000mm、透湿度10,000g/㎡・24hrのプロ仕様。手頃な価格の『3810』シリーズは、レインコートやレディース専用モデルも揃った普及版。