【新春企画2】徹底調査! 月刊まいど屋はどう読まれているのか?image_maidoya3
さて、インタビューで田中氏も語ったように、今月号から「月刊まいど屋」は新体制で再スタートすることになった。しかし、このリニューアルには最初から大きな問題が横たわっている。
  「そもそも、月刊まいど屋はどんなふうに読まれているのか?」
   という疑問である。
  「反響ですか? ぜんぜんわかんない!」
   という田中氏の声を手がかりに再出発するのは、海図も羅針盤も持たずに航海に……いや、ジャージにサンダル履きで冬の富士山に登ろうとするような暴挙だろう。遭難確実どころか、ほとんど自殺行為である。
   二度目はない再出発のタイミング。ここは少しでも読者の声をつかんでおきたい――。
   そこで、新編集部では「月刊まいど屋」の主な読者として考えられるワークウェアのメーカーに電話アンケートを試みた。

新春企画2
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電話アンケートでメーカーに直撃!
まず最初の疑問は、
  「月刊まいど屋」は、そもそも読まれれいるのか?
   ということである。
   近年のネットコンテンツはすべてPV(ページビュー)、つまりパソコンやスマートフォンからの閲覧数をできるだけ多くすることにしのぎを削っている。そのPV実績が、広告収入に反映されるというビジネスモデルだからだ。
   しかし「月刊まいど屋」は広告媒体ではない。オンラインショップが自分の店で扱っている商品を載せているだけだ(だから、こんな「編集長にインタビュー」という内輪ネタだって平気の顔でやってのけるのである)。専門的なジャンルなので、ネットニュースサイトのように何十万PVというのは望むべくもない。
   とはいうものの、やはり読まれないよりは読まれた方がいい。願わくは日々忙しく過ごす業界関係者にとって一時の清涼剤、あるいは出張帰りの新幹線で呑むビール、またはタバコ休憩のようなものであってほしい。
 
  ●意外にもあいつぐ応援の声
 
   というわけで、質問その1「月刊まいど屋を読んでいますか?」の回答から紹介していこう。
  「何度か見ていましたよ。うちも出てますから」
   と温かいメッセージをくれたのはアタックベース(広島県福山市)の田頭氏。
   先月号をはじめ、何度も登場しているメーカーだ。
  「うちは値段の方でも勝負してるし、クオリティにも自信ありますよ。低価格で品ぞろえも豊富! なかでもHUMMER(ハマー)ブランドの新商品には注目です。誰が見てもハマーだなとわかる、ハマーの名に恥じない商品ですから、これはヒット間違いなしです!」(同)
  「月刊まいど屋」の感想を聞いているうちに、いつしか話は新商品PRに。さすがの営業トークだ!
   ほかにも、この「読んでますか?」の質問に対しては以下のような回答があった。
  「うちが出たときはちょろっと読んでましたよ。インタビューとか」(住商モンブラン・本橋氏)
  「ちょこちょこ読んでましたよ。特集みて参考にしたり」(ジョア・中井氏)
  「読んでましたよ。時間あるときに。あんまり覚えてないけど」(寅壱・川脇氏)
   ちょろっと・ちょこちょこ・時間あるとき、などの言葉に妙なリアリティーがある。
   さて、これらの回答を踏まえると、
  「月刊まいど屋は想像以上に読まれている」
   とまとめていいのではないだろうか?
   少なくとも取材先のメーカーはほぼ確実に目を通しているようだ。よく考えてみれば、自社の新商品が紹介されるだけでなく、競合商品を作っている他社の話も読めるのだから、ビジネスパーソンとしては読まない手はないだろう(そうですよね?)。
   意外にも「月刊まいど屋」は多くのファンを獲得している。
   そんなことがわかる極め付きは、次の村上被服・村上社長のメッセージ。
  「月刊まいど屋? おお! すみからすみまで、舐めるように読んでたよ!」
   社長は立て続けに語る。
  「田中さん、執筆やめるって? やめてもらっちゃあ困るよ。毎号楽しみにしてたのに残念だなー。いや、まだまだやれるだろう!」
   最後に、このように熱烈なラブコールもあった一方で、
  「ムカつくから読みません!」(匿名希望)
   という回答もあったことを付け加えておこう。
 
  ●「めちゃくちゃな内容」に熱い支持
 
   続いては、質問その2「内容はどうでしたか?」に対する回答を見ていこう。印象に残っている特集や企画があれば、その感想を聞きたいという趣旨の質問である。
   これに対して、いちばん多かったのは、
  「内容ですか、あんまり覚えてないけど……」
   といった反応。
   これはまあ、10年も前からやっていれば仕方ないか、という気もする。定期刊行物というのは、そもそもどんどん忘れ去られていくのが宿命なんで……。
   内容について「印象がない」が連発される一方で、独特の企画記事には、たくさんの声が寄せられた。
  「会社のホームページに載せてるのに、堅苦しくないのがいいですよね」(コーコス・柴田氏)
   たしかに「月刊まいど屋」は普通の企業であれば、まず掲載されないような特殊コンテンツである。「ありきたりの商品紹介なんかしても、つまらない」という田中編集長のスピリットが、想像以上に奏功していたといえるだろう。そう、会社だっておもしろいことをしていいし、おもしろいものが望まれているのだ。
   年間を通しての特集やオリジナル企画についても、コーコス・柴田氏は高評価だった。
  「シーズンごとの作業着だけじゃなくて、白衣とかいろんなネタをやっていたのがよかったです。飽きが来なくて。(最新号公開日の)1日が待ち遠しかった」
   毎回苦労していた甲斐あって、「月刊まいど屋」の企画は予想以上に評価が高かった。
   では一方で、あの文章スタイルはどう受け止められていたのだろう?
   あのー、誰か怒ってる人とかいませんでした? と水を向けてみると、
  「むちゃくちゃで、ひどい言葉も使っているけど、そこがおもしろかった」(クロダルマ・新田氏)
  「おもしろおかしく書いているのもアリじゃないですか? メーカー批判なんかも味かな、と。個人的にはね」(寅壱・川脇氏)
   との支持する声が!
  「月刊まいど屋」の自由すぎるスタイルは、意外と多くのファンを得ていた。……と、きれいにまとめておきたいところだが、こんな声もあったことをここに紹介しておく。
  「勝手にウソ書かないで!」(匿名希望)
 
  ●これからも「攻めた内容」を!
 
   さて、いよいよ最後。質問その3「月刊まいど屋に期待することは何ですか?」である。
   これに対して、
  「やはり、当社の製品がもっと売れるようなものを書いてほしいですね」
   とストレートな回答をくれたのはアイトスの菊池氏。そりゃそうですよね。
  「うちは作業服メーカーですけど、ディアプレックスやカラーブルゾンなどの商品もありますし、白衣やシューズ、レインウェアなど、いろいろ扱っていますから。作業服というよりユニフォーム商材として取り上げてくれれば、と」(同)
   はい、これから勉強して、さまざまな切り口から語れるようにします。
   ほかにも、この問いに対しては次のように、各メーカーからユニークで熱いメッセージが続いた。
  「うちの自慢は『かわいい』をベースとした商品づくり。ジョアのかわいらしさをアピールしていただければ。互いにもっと売れていくように頑張りましょう!」(ジョア・中井氏)
  「もっと営業マンの声を聞いてくれるとうれしいですね。毎回シーズンごとに新商品があるわけですけど、その中でも営業として『特に推したい!』『注目してほしい!』というのがあるわけですよ。そんな目玉商品を大きく取り上げてほしい」(寅壱・川脇氏)
   メーカーからの期待の声の中には、今後の特集や企画のヒントになりそうなものもあった。
  「一度うちのデザイナーを取材してみたらどうですか? うちでは20代、30代の若手デザイナーを起用して、かわいいオフィスウェアを開発してます。開発の裏側に密着してみたらきっとおもしろいですよ」(ジョア・中井氏)
   たしかにユニークな企画になるかもしれない。女性のオフィスウェアは男にとって縁がない世界なので、話についていけるかちょっと心配だけど……。
   続いて、特集のネタを提案してくれたのは住商モンブランの本橋氏だ。
  「食品工場系の白衣を取り上げてみてはいかがでしょう? あいつぐ食中毒事件など、危機管理のニーズが高まるなかで、ウェアに求められること、みたいな話で。うちはお買い上げいただいた後のアフターフォローもしっかりしてますよ~」
   これも今の時流に乗ったテーマだ。やるなら食中毒シーズンの梅雨ごろにぶつけるべきだろうか。
   そのほか、とくにやってほしい企画はなくても、
  「まいどブラなど、これからも攻めた内容でやってほしい」(コーコス・柴田氏)
   といった声も聞かれた。
   ただし、「攻めた内容」には功罪もあるようだ。個人的なことを想像でいろいろ書かれた、と訴えるメーカー担当者からは、
  「何も期待しないし応援もしないけど、うちの商品はしっかり売ってね」(匿名希望)
   としっかりクギを刺されたのだった。
 
   ☆
 
   アンケートにご協力いただいたみなさん、お忙しいところありがとうございました。今回の声を受け止めて、おもしろくてかつ販売につながる「月刊まいど屋」を作っていきます。