【(株)クラフト】新ユニフォームで「イケメン社員」宣言image_maidoya3
カッコいいユニフォームを採り入れて建設業のイメージを変える――。
   よくある話のような気もするが、いざ実現させようとすると多くの困難を伴うものだ。部署によって業務が違えば、ユニフォームに求められる機能も違ってくる。さらに職人というのはそれぞれ自分のスタイルを持っているもの。少なくとも、トップが「ハイ、今日からこれを着てください」と支給して、うまくいくものではない。長年の習慣を変えるというのは、意外とエネルギーがいるものなのである。
   では、どうすればスムーズに新しいワークウェアを現場に取り入れることができるのか?
   沖縄で住宅設備・機器の取り付け工事、リフォーム、リノベーションなどを手がける株式会社クラフト(沖縄県浦添市)の事例が、ひとつのヒントになりそうだ。
   2017年、同社はほぼ一年をかけて職員のユニフォームを切り替えた。
  「職人ってダサいイメージがあるけれど、イケてる作業服をカッコよく着こなしているのを見れば、若い人の見る目も変わるはず。私は、この仕事をみんなが憧れるものにしたいんです」
   と、新ユニフォーム導入のきっかけを語るのは、仲村智(さとる)社長。
   作業服を選ぶときには「機能性だけじゃなく、見た目も大事」(同)とくり返し強調する。
   こんな思い入れがあるからには、きっと社長自らカタログを見たり、サンプルを取り寄せたりして、強いリーダーシップでぐいぐい導入を進めたのだろう……と思ったら、じつはウェアの選定はすべて社員任せだという。部署ごとに自分たちの気に入ったユニフォームを選んでもらい、年2回、夏と冬に会社から支給している。
  「何を着るか」は、会社ではなく現場が決める――。
   そこには、社員の力を引き出そうという仲村社長の狙いがあった。
 

(株)クラフト
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岸本さん(左)と山城さん(右)
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「Jawin(52100)」鋭角なポケット配置がカッコいい
●2チームで新ユニフォーム導入
 
   株式会社クラフトは1990年設立。28年目となる現在、35人のスタッフが働いている。
   主な業務は、キッチン・システムバス・トイレユニットなどの設備機器を取り付ける水回りの工事。Panasonic・TOTO・LIXIL・クリナップなどのメーカーから依頼を受けて施工する。沖縄本島のほか、石垣島などの離島を含めた県内全域を営業エリアとし、戸建て住宅・アパート・マンションといった住宅だけでなく、ホテルや病院なども担当している。
   そんな同社の大きな変化は、近年になってリフォームやリノベーションの一式を手がけるようになったことだ。
   施工管理部門「リノベートチーム」部長の岸本さんは次のように語る。
  「住宅設備・機器のメーカーはお客さまからリフォームの依頼を受けることもあるんです。そんな事情で、当社も2016年から改築などの工事をちょこちょこ手掛けていましたが、17年からは『本格的にリノベーション事業をやろう!』ということになったわけです」
   リフォーム・リノベーションの工事は、キッチンや浴室などの水回りだけでなく、内装・外装などにもおよぶ。そのため、住宅設備の取り付けよりスケールが大きくなる。
   そんな中、岸本氏のリノベートチームの5人が担当するのは施工管理。現場に指示を出したり職人とコミュニケーションを取ったりしながら工事を円滑に進める。
   一方、現場で施工に当たる「現場チーム」は、20代~40代の職人を25人抱えている。そんな大所帯のチームの中で入社5年目の山城さんは3番目の若手。空港職員からまったく畑違いとなるこの業界に飛び込んだ。
  「直接お客さまに会えることに加えて、一戸建ての工事などでは家主さんから直接、感謝の言葉をかけてもらえる。そんな点にやりがいを感じています」(山城さん)
   ユニフォームを着るのは施工管理と現場作業の2チーム。それぞれの部門で「イケメン社員」(仲村社長)が日々、汗を流している。
 
  ●管理職はネームを目立たせる
 
   では、この2チームがそれぞれ選んだユニフォームを見ていこう。
   岸本さんのリノベートチームは白い上下の作業服を採用した。自重堂の人気ブランド「Jawin(ジャウィン)」のジャンパー(52100)にノータックカーゴパンツ(52102)を合わせている。ジャンパーは独特な織柄のドビークロス素材(規則的な模様を持っているのが特徴)。ライダースジャケットを思わせる鋭角デザインに赤いファスナーが映えている。
   このユニフォームに決定したのは2017年の1月のこと。リノベートチームでは、それ以前にも新しい作業服を検討したことがあったが、結局、意見がまとまらず流れてしまっていたという。
  「私以外の4人には、強いこだわりがあるので(笑)」(岸本さん)
   結局、岸本さんは他の4人だけで先に話し合ってもらい、ほぼ固まった時点で選定に加わることにした。
   岸本さんは作業服に特別な機能は求めていない。デザインや色味も好みであればよかった。ただひとつだけ譲れなかったのは「ネーム入れ」である。
  「社名と名前がハッキリわかるように、文字色は黒にしたかった。そのためベースとなる上着の色は反対色の白にしました。カラーは会社のロゴを含めて3色までに抑えています」
   長年、住宅設備メーカーの名前を背負って仕事をしてきたこともあり、ユニフォームも「きちんとした恰好」に見えることを意識しているという。
   施工管理というと現場では「監督」に当たる立場。「ハッキリわかること」を目指した名前の刺繍に、管理職としての強い責任感が表れている。
 
  ●社外から「カッコいい!」の声
 
   リノベートチームの白いユニフォームに対して、山城さんが所属する現場チームが選んだのは、ピンストライプの作業服。2017年の秋に採用したばかりだ。
   デザインも色も、岸本さんらリノベートチームの作業服とはまったく違うが、今風のファッション性の高いデザインであることは共通している。
  「どうせ変えるならガラッと変えよう、という声がありました」(山城さん)
   その結果、選ばれたのが、タフな作りとカジュアルな見た目で人気を集める桑和「G.GROUND」のブルゾン(8773)とカーゴパンツ(8778)。生地はピンストライプのストレッチ素材、シルエットは細身で、そのまま街に遊びに行っても違和感のないデザインだ。胸のネームと背中に入ったロゴが、「イケメン社員がいるクラフト」の宣伝にもなっている。
   ウェアの見た目だけではなく機能性にも満足しているという。
  「僕たちは現場に出て作業するので、なにより機能性を重視しています。このストレッチの作業服に変えて、現場でもすごく動きやすくなりました」(山城さん)
   ただ、前述のように現場チームは年齢や世代もバラバラの25人の職人でつくる大所帯。それぞれの好みやこだわりを聞いて意見をまとめていくのは、なかなか大変だったのではないだろうか?
  「基本的には、カタログやサンプルを取り寄せて、みんなで話し合ったり試着したりの繰り返しでした。最終的に、いくつか挙げた候補のなかから決めたのは先輩方です。僕たち若手も一応は意見を言ったのですが、折れてばかり(笑)」(同)
   ユニフォームが決まって数カ月、現場チームの職人、それに社外の人たちからはどんな感想が出てきているのだろう。
  「従来の作業服と違った細身のシルエットなので、熟練の先輩方はちょっと気恥ずかしいみたいです。反対に若い職人には好評ですね。なにより仕事で出会う人たちが『カジュアルでカッコいい!』と言ってくれるのがうれしい。前の作業服は地元の友達から『だっせーなぁ』と言われてましたから(笑)」(同)
   新しいユニフォームは職人としての誇りを育てることにも一役買っているようだ。
 
  ●「イケメン」が会社を強くする
 
   クラフトでは、こうして社員たちが自分で選んだユニフォームが年2回支給される。
   仲村社長は、新しい作業服でそろえた社員を見て、
  「このユニフォーム、すごく評判がいいんです」
   と笑みをこぼす。
   作業服から会社のイメージを変えようという今回の試み。このアイデアをスムーズに実現することができた大きな要因は「自分たちで選ばせたこと」にある。
   作業服は自分たちが毎日着るもの。だから自分たちの目で選ぶべきだ。自分で着るものを自分で選ぶとなれば、社員たちも真剣になってカッコよくて作業がしやすいものを選ぶ。さらに、自分で決めたウェアだからこそ、愛着を持って大切に扱うようになる――。
   このような社長の「ユニフォーム観」が社員に伝わった結果と言える。
   同社は一般の住宅で施工するケースも多い。有名な設備メーカーの工事とはいえ、女性や老人が見知らぬ作業員を家の中に入れるのは、それなりの不安を伴うもの。しかし、そんな場合でもドアを開けた瞬間、「爽やかな人が来た」と思わせれば勝ちだ。お客さんもリラックスできるし、作業もやりやすくなる。
   さらに、仲村社長の「イケメン社員」計画は、カッコいい作業服を支給して終わり、ではない。
  「社長は見た目の第一印象や清潔感を大事にしています。汚れた服や靴で朝礼に出ると怒られますよ」(山城さん)
   作業服を自分たちで選ばせるのも、身だしなみに対するスタッフひとりひとりの意識を高めるための手段なのだ。
   リノベーション事業は今年で二年目。長年培った技術力というベースの上に「イケメン社員」という要素が加われば、お客さんの信頼はより厚くなるだろう。会社のイメージもよくなり、そこに憧れた若者が入ってくるはずだ。
   新しいユニフォームによって、このような良いサイクルが回り始めようとしている。
 
  株式会社 クラフト
  〒901-2101 沖縄県浦添市字西原5丁目45-20
  TEL(098)873-0206
 
  ホームページ
  http://craft-okinawa.com/
 
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「G.GROUND」ピンストライプが粋だ
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社屋の前で

    

ヨーロピアンテイストのシャープなデザインが超クール! ワーカーのプライドに響く、自重堂ハイエンドモデルJawin52100シリーズ

ファスナーの配色や斜めの胸ポケットなど、シャープなデザインが印象的なプロワーカー向けのスタイリッシュ作業服。独特な織柄の生地は、ソフトな風合いを持つ綿60%混紡のダイヤドビーで帯電防止機能付き。両脇の内側には消臭・抗菌テープが付いてニオイ対策もマル。カラー4色。男女兼用モデル。


凹凸感あるタフな素材使いが男前!スリムなシルエットがセクシー! ハードな現場で真骨頂を発揮する、ストレッチ素材の洗練ウェア8773シリーズ

細身のシルエットながらもバツグンの動きやすさでハードワークに対応する、桑和G.GROUNDのスタイリッシュモデル。二浴染めによる染め分けと凹凸のある表情が粋な生地は、安心品質のメイド・イン・ジャパン。ブルゾンには野帳が入る胸ファスナーポケットのほか、胸、袖、内側の計4ヶ所にペン差しが付いて便利。脇にはデオドラントテープを施し、ニオイ対策もバッチリ。カラー3色。