【コーコス信岡】「ありそうでない」ありますimage_maidoya3
大阪から山陽新幹線に乗って福山駅ホームに降り立ち、コンコースへと続くエスカレーターを下っていくと、柱を覆いつくす巨大広告が目に入ってくる。「妥協なきワークスタイルの創造」のコピーを掲げるコーコス信岡だ。
   カラフルな作業服に身を包み、工具を構えるモデルたちの写真の前を、スーツ姿の乗客が次々と通り過ぎる。この人たちは福山が作業服の街だと知っているのだろうか? いや地元の人ならそんなの常識なんだろうな、などといつも考えてしまう。
   ところが今回、話を聞き行くのは福山の本社ではなく東京の浅草橋にあるコーコスの東京営業所。まだ4月だというのに、昼過ぎの東京の街は汗ばむ陽気である。
   上着なんか着てくるんじゃなかった……。桜も早かったし、今年の夏はかなり暑くなるんじゃないか? 「まいど屋」としては、コーコスの春夏用ウェアの話をしっかり聞いておかなければ……。
   珍しく使命感に燃える編集部を、営業二課の柴田伯識・係長と占部達也さんが迎えてくれた。
 

コーコス信岡
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東京営業所の柴田さんと占部さん
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「着るカバン」がコンセプトのブルゾン「A-2071」
●別注品ニーズに「定番」で答える
 
   まずコーコスの基本情報から近年の商品の傾向について整理しておこう。柴田さんが丁寧にレクチャーしてくれた。
   コーコスは、作業服から鳶服、安全器具、さらには靴や帽子まで手がける総合ユニフォームメーカー。要は「現場系ウェアならなんでもある」わけだが、あえて特徴を挙げるなら、その販路だろう。
   同社の商品は、店舗販売より「納入」がメイン。つまり、作業服のショップで1着ずつ売るより、建設会社や工場などの制服として「おそろいの作業服」を提案し、売り込むのが主な仕事である。
   ただそんな状況の中でも、近年は「別注品」を求める声にどう対応するかが焦点になってきているという。別注品というのは、カタログに載っている既製ウェアではなく『うちの会社用に、こういうのを作ってくれない?』といった声に応じて作って納入するユニフォームのことである。
   なぜ、そういうニーズが増えてきているのだろうか。
  「簡単にいえば、他の会社や事業所とカブリたくないわけです。たとえばコーポレートカラーを青系にしている会社は多いので、青を選ぶと他社と同じになってしまったりする。だから。お客さんはカタログにない色を希望したり、反射材などの追加を求めたりするわけです。ところが、この別注品という選択は双方にとって厳しい。まず、何度も打ち合わせを重ねる必要があるし、当然ながら完成したウェアの価格は既製品より高くなる。うちもうちで、わざわざデザインに変更を加えて野暮ったくなったら、どうかな? と思うし、納期の心配も大きい。と、そんな事情もあって、当社では3年ほど前から、別注品をやりたい会社に『別注っぽい定番品』というのを提案しています」
   その「別注っぽい定番」の代表が、ブルゾンなどのA-2070シリーズ。作業服テイストを控えめにし、さらに黒と組み合わせたツートンカラーにすることで、色カブリが気になりにくいようにしている。別注を受けるときの希望で多い「胸に反射材を」の声にもあらかじめ応えている。
  「最近はお客さんも賢くなったというか、ユニフォームのコストにも敏感ですから、安価にオリジナル感が出せるこの路線は歓迎されています」
   ひと昔前とは違って、会社のユニフォーム選びにも「こだわり」が出てきている事情がうかがえる。
 
  ●ターゲットは「現場の女性」
 
   今シーズンの新作、型番A-2071「消臭・ストレッチ 長袖ブルゾン」も、この「別注っぽい定番」路線の代表だ。
   この商品のコンセプトは「着るカバン」。11カ所の収納スペースで、長財布やスマホはもちろん、ペットボトル、タブレット端末まで上着ひとつで携帯できる。ポケットは安全帯を付けた場合にも殺されないように配置している。ストレッチ素材と立体カットで動きやすく、イヤな臭いも発生しにくい。カバンを持って入れない建設現場などでの使用をイメージしている。
   デザイン面では、作業服テイストを残しつつカッコよさを追求したという。
  「建設業界では40代くらいの若いリーダーが増えてきて『カッコいいウェアを着てみよう』という機運が高まっています。そこで、カッコいいヨーロッパの作業服のイメージを採り入れて開発しました。ステッチを多用してオシャレにしつつも機能性は失わず、という路線です。その上で、全体の印象としては『作業服らしさ』を残し、ヤンチャな感じになりすぎないように。カッコよさは大事だけれど、やはりちょっと保守的なイメージの方が、いろんな世代の人がいる大きい会社には納品しやすいからです」
   さらに注目したいのは、このモデルのサイズ展開だ。8サイズのうち、SS・Sのふたつは女性向けシルエット。じつに4分の1が女性モデルなのだ。
  「これは、もちろん女性の現場進出に対応しての展開です。うちとして女性向け作業服は大チャンス。女性に気に入ってもらえるように、より踏み込んだ商品を作っていきます」
   その「踏み込んだ商品」のひとつとして柴田さんが見せてくれたのが、新作の型番A-2074「消臭・ストレッチ レディーススラックス(後ろシャーリング)」と、このカーゴパンツタイプ(A-2076)だ。一見、ただの女性向けシルエットのパンツにしか見えないが、実は「女性のための機能」が満載のモデルなのだ。
   ひとつ目は、腰の後ろ側に取り付けられた滑り止めテープとゴム。これでしゃがんだときに地肌や下着が見えるのを防げる。また、腰の部分の裏面には布が付いており、インナーの形が透けて見えたり形が浮き出るのを防ぐ仕組みになっている。
   極め付きは、左側サイドポケットの「シークレットポケット」だ。強力マジックテープで密閉されるこのポケットの中は、撥水素材で消臭テープ付き。他人に見られたくない生理用品などを入れられるようにデザインしたという。
  「建設会社にアンケートしたとき、女性職員から『女はいろいろとあるんですよ』という声や要望がありまして、ひとつ女性に特化した商品を作ってみよう、と。ドライバーをはじめ、倉庫、ビルメンテナンスなど、女性の多い現場でのユニフォームとして提案していきます」
  「女性向け商品の強化」の理由は、第一に時代のニーズに応えるため。ただ、柴田さんによると狙いはそれだけではないという。
  「会社でユニフォームを採用するとき、最終ジャッジをするのは意外と職場のベテラン女性だったりするんですよ。この商売において、女性の声はすごく大事なんです」
   作業服は男が選んで男が着るというイメージがあるが、女心をつかむことも大事なのである。
 
  ●夏は「TC+メッシュ」で勝負
 
   さて、次は夏を見越して熱中症対策のウェアを見ていこう。
   筆頭に上がるのは、新作の型番512「長袖ブルゾン」と518「長袖シャツ」。ポリエステル100%で、メッシュ多用。着心地より涼感を求める人向けのウェアだ。ショップでの小売りがメインという。
   占部さんは、このウェアの魅力を熱っぽく語る。
  「これはもう、とにかく通気性! 熱中症対策を最優先に考えたウェアです。これだけメッシュを使っていれば、さすがに涼しいだろう、と。空調服とかじゃない普通の服で『とにかく薄くて涼しいヤツないの?』というお客さんがいたら『ぜひ、これを!』というイメージですね。去年はシャツとカーゴパンツだけでしたが、今年はブルゾン、ツナギも加わって、上下のコーディネイトがしやすくなってます」
   一方、納入向けモデルでの夏の本命は、型番A-4070「半袖ブルゾン」、A-4071「長袖ブルゾン」、A-4077「半袖シャツ」、A-4078「長袖シャツ」と、これら「上」に対応する「下」のスラックス、カーゴパンツなど。単色なので先ほどのツートンカラーと比べれば作業着テイストは強めながら、やや絞ったシルエットのおかげで今風のカジュアル感がある。
  「この4000番台のブルゾンとシャツの特徴は、カラーの豊富さ。今シーズンはさらに新色を追加し、最大11色から選べるようになりました。先ほど別注の話で出た『色カブリ』を避けるのが狙いです。たとえば青でもスカイブルーとブルーがあり、このシリーズだけで部署やチームごとのユニフォームを上から下までトータルで提案できるわけです」
   すべてポリエステル65%・綿35%の「T/C素材」を採用。綿より水切れがよくストレッチ性もあるこの素材にメッシュをあしらい、過酷な夏の現場ニーズに応える。
  「この『TC+メッシュ』の夏用ウェアって、ありふれたもののようで意外と他社でやってないんですよ。実際、去年A-4070『半袖ブルゾン』を発売したとき、他社はみんな空調服に力を入れていて、『空調以外の涼しい作業服』というのがほとんどなかった。だから今年もこの路線で勝負、というわけです。他社が綿100%に強いなら、コーコスはTCに強い。トータル提案のためにも、色・サイズの展開をガッチリやって『TCと言えばコーコス』というポジションを確立したいと思っています」
   新機軸を打ち出した商品が売れはじめ、やがて業界全体がブームに包まれる。すると、かえって「定番」を求める声がじわじわ出始め、次第に高まってくる。ありふれた素材や既存のテクノロジーにも、やり方次第で新たなチャンスが生まれてくるのだ。
   オリジナルを求める声には「別注っぽい定番」を、「空調」が席捲する市場では「TC素材+メッシュ」を。
   ニーズやブームにそのまま答えるのではなく、必ず「練られた回答」を出すコーコス。これは簡単そうで、なかなかできることではない。
 
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足の内側にメッシュがある「515カーゴパンツ」
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現場の女性のために考案した「シークレットポケット」

    

多収納ブルゾンから"現場女子"向けパンツまで!洗練のスタイル+カラバリが人気の2070シリーズ

ブルゾンとシャツは色カブリしにくいツートンカラーを採用。ヨーロッパを意識したデザインのおかげでスタイリッシュな印象に。ペットボトルからタブレット端末までポケットに入る収納力もポイント。現場で働く女性の声から生まれたスラックス(A-2074)とカーゴパンツ(A-2076)は、透け防止、消臭機能付きシークレットポケットなど、女性にとってうれしい機能が満載。


メッシュ×メッシュ×メッシュ=超涼しい!真夏の蒸れを忘れる通気性MAXのウェア

肩メッシュに脇メッシュに背中メッシュ……「さずがにこれだけメッシュを付けておけば涼しいだろう」とメーカーも語る「通気性特化タイプ」の真夏用ウェア。ポリエステル100%のため汗も乾きやすい。袋布メッシュと内股メッシュの付いたカーゴパンツ(515)を合わせて上下セットにすれば全身クールに。カラーはいずれもシルバー・チャコール・スカイブルーの3色。