【イーブンリバー】持ち味は「クールなカッコよさ」image_maidoya3
山陽新幹線・福山駅から単線のJR福塩線に乗り変えて20分。万能倉(まなぐら)の駅に着いた。福山市といえば、駅前の福山城に加えて、朝鮮通信使も褒めたたえたという瀬戸内海の景勝地「鞆(とも)の浦」が有名だが、今回はそんな海側(南方向)とは反対方向、つまり山側(北方向)に7キロほど進んだことになる。
  「内陸」をイメージしつつ、列車を降りて驚いた。明るいのだ。何年か前、瀬戸内海で観光船に乗ったときを思い出すリゾート感のある日差しが駅前一帯を包んでいる。
   イーブンリバーの本社に向かうタクシーは、田んぼを抜けて、国道486号線を横切る。このときだけは家電量販店や回転寿司チェーンが並ぶ典型的な「郊外ロードサイド」となるが、抜けるとまたすぐ明るい田舎道に変わる。そんなのどかな田園風景の中で、ひときわ目立つ建物。これがイーブンリバーの本社である。
   創業から40年以上。作業服の加工業者「平川繊維」からスタートし、今や海外生産した自社製品を全国で販売。ファッション性の高いデザインで固定ファンの心をつかむ人気メーカーだ。
 

イーブンリバー
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ストレッチ性能を語る服部さん
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ダンス動画公開中のストレッチブラストブルゾン(型番USD607)
●流行を追いつつ「芯を通す」
 
   イーブンリバー製品の特徴をひとことで言うなら「カジュアルなワークウェア」である。
   近年は男らしさを強調するような「ギラギラ系」が流行っているけれど、同社のウェアはやや方向性が違って「普段着」寄り。ワークウェアと言われれば確かにそうだな、というくらいの印象だ。仕事を終えて、着替えずそのまま街に繰り出しても違和感がない。そんな普通っぽさが持ち味となっている。
  「うちでは昔から作業服にデニム素材を使ったりしていましたが、近年はさらにカジュアル寄りになってきました。さらにここ2、3年は、細身で動きやすいストレッチ素材のウェアに力を入れています」
   そう語るのは営業部の服部隆志さん。同社の商品は、ショップでの「個人買い」がメインのため、流行ファッションの影響を受けやすい。そんな商品開発の難しさについて、服部さんは落ち着いた口調で説明する。
  「同じ商品を長く作り続け、長く売る、というのが作業服メーカーのやり方だったのですが、カジュアル化の影響で、このサイクルがどんどん速くなってきました。かつては5年同じものを売り続けていたのが、今では3年で新商品に入れ替わるという具合です。とくに企業ユニフォームと違って個人買い向けの作業服は、売り場での競争が激しいので、商品開発は年々難しくなってきている印象ですね。いまやユニクロを着て働く人もいるわけで、カジュアルとワークの垣根はなくなってきている。そんな中、うちは『みんなで開発』をモットーに営業マンも全員参加で商品開発をしています。まずは、自分たちでも着たいような商品をつくること。そして、流行は意識しつつも、作業服メーカーとしての芯はしっかり通して『ブレないでいきたい』という思いがあります」
   そんな「イーブンリバーらしさ」が、もっともよく表れているのが、2018年8月末まで同社youtubeチャンネルで公開しているプロモーション動画「EVENRIER2018SS 最新PV」だ。ダンサーのFISHBOYさんが、デニムの上下をはじめとする同社の春夏ウェア姿で、キレのあるストリートダンスを披露している。
   モデルのFISHBOYさんが細身で涼し気な印象のためか、シンプルなデニム素材の上下がよく引き立つ。また、ダンスからは手を曲げたまま挙げたり、しゃがんだりするときの突っ張りが少ないストレッチ性能も伝わってくる。ワークウェアにありがちなマッチョな味が抑えられていて、非常にクールなムービーだ。
  「うちのカタログはショップでもよく持って帰られるそうで、なぜか人気があるんです」
   と、服部さんはそっけなく語るが、要は固定ファンをつかんでいるということなのだろう。ギラギラしたイメージになりがちなカジュアル系ワークウェアにおいて「クールでカッコいい」という方向性を求める人は意外と多いのかもしれない。
 
  ●街にも行けるワークウェアを
 
   さて、いよいよ同社の春夏モデルを見ていこう。
   まず、先ほどのダンス動画でもメインに使われていた。ストレッチブラストブルゾン(型番USD607)とストレッチブラストカーゴ(型番USD602)である。ストレッチ性のあるデニム素材を採用した細身のシルエット。ブルゾンは丈の短いライダースジャケット風で、カーゴパンツは動きやすい立体裁断。同社の"ワークウェア観"を物語る代表作、との位置づけだ。
   このUSDシリーズには、ほかにも同型モデルとしてブラック系(USD507と502)・ブルー系(USD307と302)・インディゴ系(USD407と402)の4色の上下セットがあるが、イチオシはこのスノーブルー。一般的なジーンズと比べるとかなり白っぽいが、この色にも機能的な意味があるという。
  「ワンウォッシュのデニムはちょっとゴワゴワするので、動きやすさを求めるならブラスト加工で色落ちしたもの方がいいんです。ストレッチ性を持たせるため、素材は綿99%・ウレタン1%となっていますが、このウレタンの品質の高さには自信があります。悪いウレタンを使うと、すぐヘタってしまいますから」
   実際に袖を通してみると、まず見た目を裏切る軽さに驚く。生地の厚みは10オンスと、通常のジーンズの70%程度。これだけ薄ければ、夏場にジーンズを履いた時のようなムワッとした暑苦しさはない。
   開発時には「現場だけでなく、街にも遊びに行けるような服がほしい」という声を意識したという。上下そろえても「いかにも作業服」なテイストが出ないのは、すっきりしたシルエットとデニムの風合いのおかげだろう。
 
  ●ストレッチは一度着たらやめられない
 
   春夏モデルでは、このUSDシリーズに対し、もうひとつの選択肢としてERXシリーズを提案している。細身でストレッチの効いたカジュアルワークウェア、という方向性は同じだが、こちらはデニムではなく、綿98%・ポリウレタン2%の高密度ヘリボーン織り生地。ストレッチブルゾン(型番EXR207)・3Dストレッチカーゴ(ERX202)の上下で合わせることができる。
   こちらも見た目はカジュアルながら、先ほどのUSDシリーズに比べると作業服テイストをしっかり感じる。この「塩梅」にはどういう意図が込められているのだろうか。
  「このEXRシリーズは『作業服っぽいけれどデザインはカジュアル』、というのがミソです。ずばり作業服な感じはダサい。だからといってカジュアルに寄せすぎると『ユニクロでいいじゃん』となってしまう。そんなわけでデニム以外のストレッチの提案として、こちらを用意しました」
   同社がこれほどストレッチに注力するのは、やはり時代のニーズだ。カジュアルウェアでおなじみのストレッチの流行が、ここ2、3年で作業服にも波及している。
   このブームについて平川精基常務はこう語る。
  「動きやすくてラク、というのはやはり強い。クルマの運転もしやすいし。プライベートでたまたま着たストレッチ系ウェアが気に入って、職場用のウェアでもストレッチ機能が欲しくなった、という人も多いようですね。つまり、『一度着たらやめられない』というわけです」
   そんなストレッチのニーズに応えて、インナーでもレギンス(ロングGTA-03・ハーフGTA-13)、キャップ(GTA-01、02)、アームカバー(GTA-00)などのコンプレッション系ウェアを揃えた。
   ブルゾンにカーゴパンツ、さらにはインナーと、あらゆるウェアにストレッチの機能が求められる時代に。デザイン面だけでなく、ストレッチなどの機能の面でもカジュアルウェアの影響は強くなっていく。
   このようなカジュアル化の流れの中で、イーブンリバーはどのようなうねりを作り出していくのか。これからも注目だ。
 
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デニム以外の選択しとして「ERXシリーズ」を用意
 

    

「動けて涼しい」夏のストレッチデニム誕生!ゴワつき抑えた薄手生地が超クール!

薄手のデニム素材を使った「そのまま街に遊びに行ける」カジュアル系ワークウェア。デザインはライダースジャケット風。生地には上質なポリウレタンを使用しストレッチ機能と耐久性を両立させた。立体裁断のカーゴパンツは膝を曲げる作業に最適。内側のペン差し、小物ポケットなどワークを意識した仕様もありがたい。カラーはスノーブルー・ブラストブラック・ブラスト・インディゴの4色。


これがワーク&カジュアルの融合だ!「現場で使える機能」と「街に行けるデザイン」を実現

カジュアルなウェアがいいけれど、デニム系はちょっと……という人にオススメのストレッチ素材のワークウェア。高密度なヘリボーン織り、上質なポリウレタンを使っており、耐久性には自信アリ。カーゴパンツはストレッチ+独自の3Dカッティングでしゃがんでもラク。このヨーロピアンテイストのデザインなら、仕事帰りのデートもOKだ。カラーは4色。