【クレヒフク】目指すは「総合つなぎカンパニー」image_maidoya3
老舗である。会社概要によると創業は1927年(昭和2年)。クレヒフクは92年以上の歴史を持つ作業服メーカーだ。しかし、営業部の江草宏明さんは、「じつはツナギに特化したのは20年くらい前からなんです」と、ツナギメーカーとしては後発であることをあっさりと語る。かつて上下モノの作業服がメインにしていた同社は現在、得意分野のツナギにターゲットを絞り、”ツナギ屋”としての地歩を固めようとしている。「C.A.T」「LIBERTY ROAD」「KR-CIRCUIT」などのブランドで、カジュアルテイストからプロ仕様まで幅広く商品を展開。型番ごとのカラーバリエーションも「こんなにいる?」と言いたくなるほど豊富だ。「お客さんに『こんなツナギないの?』と聞かれたとき、ありませんとは言いたくない。当社が目指しているのは、『なんでもそろう総合つなぎカンパニー』ですから」。おっとりした雰囲気の江草さんだが、内面には熱気がみなぎっている。

クレヒフク
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江草さんイチオシの新作「K510」
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腕を動かしやすい立体裁断
●「プロ仕様」も「マジ仕様」も
 
   現在、クレヒフクが展開するツナギは「C.A.T」「LIBERTY ROAD」「KR-CIRCUIT」の3ブランドがメイン。カジュアル寄りでファッションの流行も意識した「C.A.T」に対して、「LIBERTY ROAD」のコンセプトは「プロ仕様」。メカニックの専門家のための仕事着という。
 
  「LIBERTY ROADはとにかく高機能。ハイスペックな生地を使って補強もたくさん入れてあるプロフェッショナルのためのツナギです。いわば整備士向けのバリバリプロ仕様モデルですね」
 
   一方、「KR-CIRCUIT」のデザインは、モータースポーツのピットスーツをイメージしている。シリアスな雰囲気が持ち味だ。
 
  「KR-CIRCUITのコンセプトは、レースのピットクルーみたいな”マジな雰囲気”です。見た目だけじゃなく、国内産の生地を使っているから品質もいい。プロだけじゃなくて、自動車整備の専門学校にも納入しています」
 
   なるほど、レースを思わせるマジな雰囲気のツナギは、「モチベーションを上げるための制服」としてもピッタリ、というわけだ。
 
   それにしても、同社のブランド展開は幅広い。カジュアル系とプロ系とピット系、さらにはスポーツ系までカバー。カラーバリエーションもたくさんでモデルによっては9色もあったりする。それにしても、なぜこんなにも手を広げているのだろう?
 
  「あらゆるツナギを網羅したい、というのはありますね。お客さんの要望に対して『そんなのありません』とは言いたくない。ツナギをメインにしているからには『クレヒフクならどんなツナギでもそろう』という状態にしたいんです。ユーザーの選択肢はたくさん用意したいし、多色展開は特にweb販売において重要。派手なカラーを入れておくことで、ツナギの地味なイメージを刷新する効果もあります。そんなふうにいろんなことをやって、最終的には、『なんでも揃う総合つなぎカンパニー』を目指してます」
 
  ●新機軸「Kシリーズ」登場!
 
   さらに、これらのブランドに加えて、同社は新たなツナギの方向性を模索しはじめている。今年で2年目となる「Kシリーズ」だ。まだブランドとしては確立していないが、たしかな手ごたえを感じているという。
 
  「このKシリーズはとにかくデザイン重視。もともとは流行りのカジュアル作業服を見て『うちでも徹底的にカッコいいやつをやってみよう!』と企画したもので、上下モノ作業服に加えて同テイストのツナギ(K510)も開発しました。ストレッチ素材で細身シルエット、さらに赤いステッチも独特なので、見た目からしてこれまでのツナギとぜんぜん違うのがわかると思います」
 
   ツナギとは思えないシュッとしたルックスは、たしかに革新的。カーキやチャコールグレーといったカラー選びもいかにもイマドキの売れ線だ。
 
  「昨年発表して、ショップを中心に反響が予想以上に大きかったので追加生産を決めました。従来とはまるで違う雰囲気ですけれど、整備系のユニフォームとしても受け入れられているようです。ツナギの世界でも2、3年前からカジュアル化の波が来ているし、他社でもデザイン重視のものが増えてきています。そういう背景もあってKシリーズにかける期待は大きい。将来的なブランド化も視野に入れつつ、現在は次のモデルを考えているところです」
 
   あまりトレンドの影響を受けないと言われているツナギの世界だが、ユーザーは意外と「これまでとは違うもの」を求めているのかもしれない。Kシリーズのツナギを眺めているとそんな気がしてくる。
 
  ●ユーザー本位の夏用ツナギ
 
   さて、続いて江草さんイチオシの春夏用ツナギを見ていこう。
 
   新作の「長袖メッシュツナギ(型番:829)」は、通気性のよさに特化したモデル。モータースポーツをイメージした「KR-SPORTS」ブランドの商品で、いかにもクルマ好きにウケそうなルックスだ。
 
  「これはカジュアル色を抑えた企業への納入向け商品。海外を意識したデザインで、整備工場などでのユニフォームにもおすすめです」
 
   見た目はハードな「プロ仕様」だが、背中やわきの下などにメッシュを多用しており、着心地は快適。とことんユーザー本位の夏用ツナギ、と言えそうだ。
 
   さらに、動きやすさの面で江草さんは「ストレッチツナギ(659)」を推す。カジュアルテイストが売りの「C.A.T」ブランドらしく、ファッションアイテムとしても使えそうな雰囲気だ。
 
  「これ、じつはさっき紹介したKシリーズ(K510)の原形なんですよ。あっちはかなり斬新なデザインなのに対して、こちらは定番感のある見た目。それでいてストレッチ素材を使っているから動きやすくて着心地もいい。もう発売から3年くらいになるモデルですが、評判は上々です」
 
   写真ではなかなかわからないが、ヘリンボーン織の生地はちょっと高級感があり、上下一貫したツナギだと品の良さすら感じる。リニューアルしたKシリーズが発表されてはいるものの、今後もラインナップに残り続けそうな「新定番」だ。
 
  ●「生地の良さが自慢です」
 
   新作が好調な一方、古いモデルもロングセラーとして今もよく売れるという。作業服は寿命が長いというけれど、いったい何がそこまで長く愛される要因なのだろう?
 
   江草さんは、発売から10年以上になる同社の主力商品「長袖ピットスーツ(KR904)」について、次のように語る。
 
  「お客さんからは『生地がいい!』とよく言われます。たしかにハイエンドな国内産の生地を贅沢に使って長期間の使用に耐えるように作っていますから、そう言ってもらえるのはうれしいですね。普通、ツナギって2、3年でボロボロになって買い替えるものなんですが、この商品を愛用している整備士さんの中には、10年前に買ったのを今でも着ている人もいるそうです。買い替え需要のことを考えると、ちょっと長寿命過ぎかな? と思ったりもするんですけど(笑)」
 
   ツナギというジャンルは一度売れたら売れ続ける、ロングセラーになりやすいとのことだが、ユーザーの期待を裏切るようではここまで売れ続けることはない。10年以上におよぶ販売実績は、同社がプロフェッショナルから勝ち得た高い評価に裏打ちされているのだ。
 
   デザイン重視の最新モデルから、プロを唸らせるピットスーツまで。「総合つなぎカンパニー」を目指す挑戦は続く。
 
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「829」はスポーティーなラインが特徴
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ビスロンファスナー採用の「6605」

    

多機能&多色でロングセラー! 軽量な「ビスロンファスナー」採用シリーズ

軽くて丈夫な「ビスロンファスナー」を使用したモデル。カジュアル感を抑えた”本職向け”デザインで、カラーバリエーションも豊富なのでユニフォームとしても使いやすい。プロ仕様の機能を持ちつつも、襟部分のツートンカラー、ステッチ使いなど、デザイン上のアクセントが効いていて意外とファッショナブル。


ナチュラルに、気取らずに――。生地の素材感を活かしたストレッチツナギ

生地の自然な雰囲気を残してハイセンスに仕上げたデザイン重視のツナギ。やや細身のデザインながらストレッチ素材を使っているので、着心地も動きやすさも高レベル。ポケットの配置にステッチワークまで、考え抜かれたルックスがカジュアルシーンからワーキングまで幅広く効果を発揮する。