「おたふく手袋」と聞いてピンときた――。そんなあなたの趣味はサイクリングではないだろうか? もしくはランニングとかトレッキングとか、何かアウトドアをかじっているに違いない。マジで自転車ロードレースや冬山登山をやっている人は、迷わず専門メーカーの商品で完全武装するのに対して、ライト系の人はワーク系の商品の中からウェアやインナーをお手頃価格で買いそろえるのだ。そんなわけで「××は高すぎるから、おたふく手袋のインナーを買った。コスパいいわ!」といったレビューはネット上にあふれている。なかでも同社の「ボディタフネス」シリーズは、2008年の登場から10年以上を経て、アウトドア系インナーのブランドとして確かな地位を築いた。今やスポーツウェアメーカーと呼べるほどの同社だが、最大のウリはやはり「防寒」である。はたして今シーズンはどんなラインナップを用意しているのか? 編集部は大阪・箕面市の本社を訪ねた。
おたふく手袋
大阪府箕面市のおたふく手袋本社
汗冷え対策の仕組みを実演
●スポーツ用で高評価!
案内されたショールームは例えるなら「世田谷ベース」な雰囲気。コンプレッションインナーを着たマネキンや安全靴の展示の中に、自動車整備の工具やケミカル類などがガレージさながらに並べられ、使用感のある軍手や皮手袋がポンと配置されている。なんというか、たまらなく男心をくすぐる空間だ。
「基本的には軍手や軍足といった『手足モノ』の老舗メーカーですから。僕が入社した2000年ごろはまだ扱っているのは手袋や靴下ばかりで、インナーは始めたばかりでした。高性能インナー『BODY TOUGHNESS(ボディタフネス)』がスタートしたのは2008年と、まだ10年ちょっと。ごぞんじの通りサイクリストを中心としたネット上の口コミが広がった結果、スポーツ用インナーとして熱い支持を得ています」(営業部・河西大輔さん)
おたふく手袋公式ツイッターのフォロワーはなんと1万人以上。まいど屋公式アカウントのほぼ倍である。その人気の秘密はユーザーとの細やかなコミュニケーションだという。「おたふくのインナーで××を走ってきたよー」といったネット上のレビューに、公式アカウントがちゃんと反応してコメントを返す。商品開発に加えて、SNSマーケティングも成功を収めているのだ。
ユーザーとのつながりはSNS上だけではない。今年9月に開催されたサイクリングイベント「淡路島ロングライド150」では、大会協賛とともにブースも出展。ボディタフネスのインナーはヘルメットやジャージ・レーサーパンツなどと同様のサイクリング用装備として定着しつつある。おたふく手袋は今やワークウェアメーカーの中でもっとも自転車と関わりが深い会社だ。
河西さんによれば、さらに最近は自転車だけでなくバイク乗りや釣り愛好家などの間でも評価が高まっているという。当然、そういった野外の趣味ではインナーだけでなく作業や防寒用にもさまざまな手袋が要るわけで……。つまりインナーと手袋が互いをPRし合うような関係になっているのだ。
●汗冷え知らずのインナー
このように拡大し続けるボディタフネスだが、気になるのはその種類の多さだ。特にシャツやタイツといった同型インナーはパッと見ただけではなかなか違いが分からない。いったいどうやって選べばいいのだろう。河西さんによれば、まずは次の3つの分類を押さえておくのが肝心という。
①デュアル……異素材を組み合わせた二層構造シリーズ
②アウトラスト……自動で温度を調節するすハイテク繊維シリーズ
③コンプレッション……ベーシックなシリーズ
この3種にそれぞれオールシーズン向けや春夏向け・秋冬向けの商品があり、防寒モデルだと保温や防風といった性能に特化したモデルがあるわけだ。たとえば、ただ暖かくて動きやすいインナーを求める人は、③に入る「JW-170」のような通常モデルを着ればいいけれど、そこに何らかの機能性をプラスしたい場合は①②から選ぶことになる。
と、このようなケースで同社がイチオシするのが、汗冷え対策モデル「JW-180」である。ウェアの外部に汗を排出するインナー、と聞いたときは首をかしげたものの、河西さんがサンプル生地にスポイトの水を垂らすと思わず「おおっ」と声を上げてしまった。ちゃんと水分だけが外側の生地に移っている!
「水分を含まない裏地と水をよく吸う表地を貼り合わせているんです。体から出た汗は、裏地をスッと通り抜けて表の吸汗速乾生地に移動する。汗をかくような作業でも肌はサラッとした状態をキープできますから、汗をかいたあと風にさらされても、極端に体が冷えることがありません」
防寒インナーは着たいけれど、汗をかくと不快だから……と、薄手のインナーで我慢している人は多いだろう。また高所作業では、風でお腹が冷えるのが心配といった声もある。汗冷え対策モデル「JW-180」はそんな不安を吹き飛ばす最新鋭の防寒インナーなのだ。
●時代は機能性インナーへ
このように動いて汗をかく人のためのインナーがあるかと思えば、あまり動かない人のための防寒インナーもある。防風コンプレッションウェアの「ウインドスマッシュ」シリーズだ。裏地は暖かくて肌触りもいい起毛を使い、外側生地の表面はポリウレタンでコーティング。そのためストレッチ性を損なわずに風をしっかりブロックできる。
「これは警備員やバイク乗りなど、あまり激しい動きをしない人向けの防寒インナーです。風を完全にシャットアウトするのですごく暖かい。反面、汗をかくと蒸れやすいので用途をよく考えて選んでください。防風コーティング面が腕まであるタイプから、胴体だけのもの、さらにはベスト型もあるので、さまざまなニーズに対応できますよ」
河西さんは、さらに発熱素材のインナー「JW-169」を取り出しながら、インナーの機能性について次のように語った。
「単に防寒用だったら厚手のインナーやソックスでいいと思うかもしれません。しかし、実際に使ってみると発熱素材だったり、汗冷え防止だったりといった機能性インナーの方がずっと快適に過ごせる。だから、今後はベーシックなものだけでなく高機能なモデルにも力を入れていきます。暖かさはもはやあたりまえで、+αの機能がないとダメだと思うんです。売り場での見せ方もしっかり機能性をアピールしていきたいですね」
たしかにボディタフネスといえば、ベーシックなコンプレッションウェアといったイメージがある。また冒頭にも上げた通り、ネット上ではサイクリストやランナーによる「コスパがいい」というレビューが目立つ。
「安いだけじゃダメなんです。安くて品質がいい、じゃないと。その品質のカギこそが機能性なんじゃないでしょうか?」
ウチの商品はただ「コスパがいい」だけじゃない――。そんなワーク系メーカーの意地がほの見えた。
案内されたショールームは例えるなら「世田谷ベース」な雰囲気。コンプレッションインナーを着たマネキンや安全靴の展示の中に、自動車整備の工具やケミカル類などがガレージさながらに並べられ、使用感のある軍手や皮手袋がポンと配置されている。なんというか、たまらなく男心をくすぐる空間だ。
「基本的には軍手や軍足といった『手足モノ』の老舗メーカーですから。僕が入社した2000年ごろはまだ扱っているのは手袋や靴下ばかりで、インナーは始めたばかりでした。高性能インナー『BODY TOUGHNESS(ボディタフネス)』がスタートしたのは2008年と、まだ10年ちょっと。ごぞんじの通りサイクリストを中心としたネット上の口コミが広がった結果、スポーツ用インナーとして熱い支持を得ています」(営業部・河西大輔さん)
おたふく手袋公式ツイッターのフォロワーはなんと1万人以上。まいど屋公式アカウントのほぼ倍である。その人気の秘密はユーザーとの細やかなコミュニケーションだという。「おたふくのインナーで××を走ってきたよー」といったネット上のレビューに、公式アカウントがちゃんと反応してコメントを返す。商品開発に加えて、SNSマーケティングも成功を収めているのだ。
ユーザーとのつながりはSNS上だけではない。今年9月に開催されたサイクリングイベント「淡路島ロングライド150」では、大会協賛とともにブースも出展。ボディタフネスのインナーはヘルメットやジャージ・レーサーパンツなどと同様のサイクリング用装備として定着しつつある。おたふく手袋は今やワークウェアメーカーの中でもっとも自転車と関わりが深い会社だ。
河西さんによれば、さらに最近は自転車だけでなくバイク乗りや釣り愛好家などの間でも評価が高まっているという。当然、そういった野外の趣味ではインナーだけでなく作業や防寒用にもさまざまな手袋が要るわけで……。つまりインナーと手袋が互いをPRし合うような関係になっているのだ。
●汗冷え知らずのインナー
このように拡大し続けるボディタフネスだが、気になるのはその種類の多さだ。特にシャツやタイツといった同型インナーはパッと見ただけではなかなか違いが分からない。いったいどうやって選べばいいのだろう。河西さんによれば、まずは次の3つの分類を押さえておくのが肝心という。
①デュアル……異素材を組み合わせた二層構造シリーズ
②アウトラスト……自動で温度を調節するすハイテク繊維シリーズ
③コンプレッション……ベーシックなシリーズ
この3種にそれぞれオールシーズン向けや春夏向け・秋冬向けの商品があり、防寒モデルだと保温や防風といった性能に特化したモデルがあるわけだ。たとえば、ただ暖かくて動きやすいインナーを求める人は、③に入る「JW-170」のような通常モデルを着ればいいけれど、そこに何らかの機能性をプラスしたい場合は①②から選ぶことになる。
と、このようなケースで同社がイチオシするのが、汗冷え対策モデル「JW-180」である。ウェアの外部に汗を排出するインナー、と聞いたときは首をかしげたものの、河西さんがサンプル生地にスポイトの水を垂らすと思わず「おおっ」と声を上げてしまった。ちゃんと水分だけが外側の生地に移っている!
「水分を含まない裏地と水をよく吸う表地を貼り合わせているんです。体から出た汗は、裏地をスッと通り抜けて表の吸汗速乾生地に移動する。汗をかくような作業でも肌はサラッとした状態をキープできますから、汗をかいたあと風にさらされても、極端に体が冷えることがありません」
防寒インナーは着たいけれど、汗をかくと不快だから……と、薄手のインナーで我慢している人は多いだろう。また高所作業では、風でお腹が冷えるのが心配といった声もある。汗冷え対策モデル「JW-180」はそんな不安を吹き飛ばす最新鋭の防寒インナーなのだ。
●時代は機能性インナーへ
このように動いて汗をかく人のためのインナーがあるかと思えば、あまり動かない人のための防寒インナーもある。防風コンプレッションウェアの「ウインドスマッシュ」シリーズだ。裏地は暖かくて肌触りもいい起毛を使い、外側生地の表面はポリウレタンでコーティング。そのためストレッチ性を損なわずに風をしっかりブロックできる。
「これは警備員やバイク乗りなど、あまり激しい動きをしない人向けの防寒インナーです。風を完全にシャットアウトするのですごく暖かい。反面、汗をかくと蒸れやすいので用途をよく考えて選んでください。防風コーティング面が腕まであるタイプから、胴体だけのもの、さらにはベスト型もあるので、さまざまなニーズに対応できますよ」
河西さんは、さらに発熱素材のインナー「JW-169」を取り出しながら、インナーの機能性について次のように語った。
「単に防寒用だったら厚手のインナーやソックスでいいと思うかもしれません。しかし、実際に使ってみると発熱素材だったり、汗冷え防止だったりといった機能性インナーの方がずっと快適に過ごせる。だから、今後はベーシックなものだけでなく高機能なモデルにも力を入れていきます。暖かさはもはやあたりまえで、+αの機能がないとダメだと思うんです。売り場での見せ方もしっかり機能性をアピールしていきたいですね」
たしかにボディタフネスといえば、ベーシックなコンプレッションウェアといったイメージがある。また冒頭にも上げた通り、ネット上ではサイクリストやランナーによる「コスパがいい」というレビューが目立つ。
「安いだけじゃダメなんです。安くて品質がいい、じゃないと。その品質のカギこそが機能性なんじゃないでしょうか?」
ウチの商品はただ「コスパがいい」だけじゃない――。そんなワーク系メーカーの意地がほの見えた。
定番の防寒コンプレッション
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「高機能インナーを試してほしい」と河西さん
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イヤな汗冷えはこれで解決! 「デュアルブラッシュド」防寒インナーシリーズ ただ暖かいだけでなく、汗による体の冷えまで予防するハイテク防寒インナー。外側には吸汗性の高いポリエステル素材、肌側には水分を含まないポリプロピレン素材と、異なる生地を組み合わせることで、汗をすばやく外部に移動させ、肌はいつもサラサラ。汗をかいた後、高所で冷たい風にさらされても安心。シャツ・パンツともに消臭機能付き。 |
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忘れちゃいけない部分防寒! 意外と大事な防風アイテムシリーズ 耳・首元・顔面などをカバーする防寒アイテム類。保温力はもちろんのこと「防風」を重視するのは、さすがワーキング系メーカー。冷たい風が堪える現場も部分防寒をうまく使えば快適に。街で身に着けてもOKなファッション性に加えて、持ち歩きや着脱の利便性を考えたデザインも技アリ。 |
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