【クロダルマ】未来の防寒、始めます♪image_maidoya3
クロダルマはカッコいい――。まずはそう言い切ってしまいたい。えっ、どっちかっていうと老舗イメージの会社だよね? 他社のほうがもっとデザイン性が高くてスタイリッシュなカジュアルワークウェア出しまくってるじゃん! そう思った人は今すぐ広島県府中市の方角に「・」を書いた紙を貼り付け、点から目をそらさず30分ほど正座することをおすすめする。そうすれば、きっと気付くだろう。やみくもに都会的センスや一般受けを目指すだけでは決して到達できない、作業服メーカーのカッコよさというものがあることに。巷の「ワークマン女子」がもてはやすような商品に比べれば、クロダルマのカジュアル感は弱い。イカツイと感じるかもしれない。カタログで「キャンプやアウトドアにも!」とうたっていても、ガテン系の空気が色濃く漂っている。だがそれがいい。いや、むしろそこにこそ、スポーツブランドやアウトドアメーカーの商品がひしめく中で、作業着メーカーの存在意義があるのだ。

クロダルマ
image_maidoya4
府中市(広島県)のクロダルマ本社
image_maidoya5
腕を曲げやすいギャザー入りの袖
●ユーチューバー化!?
 
  取材に答えてくれたのは企画課の杉原剛志さん。「月刊まいど屋」の読者にはファン付きウェア「エアセンサー1」でおなじみだろう。ファンに取り付けて見た目を変えるキラキラのカバーを発売したり、気化熱効果を高める保水インナーを開発したりと、ユニークな視点とアイデアでクロダルマを引っ張っている。新型コロナのせいで前回は電話取材だったが、今回はナマ取材。まずは再会を喜び合う。
 
  「うちも大変だったよ~。展示会はなくなったし出張もできない。営業の話だけじゃなく、商品開発のためには生地の商社さんともいろいろ打ち合わせしなきゃいけないんだけど、それもずっとオンラインでやってたわけ。画面の中で『この生地を見てください』とか言われてもわかりにくいし、オンライン化もなかなか難しいね」
 
  しかし、外出自粛は一方で大きな成果につながった。YouTube公式の「クロダルマチャンネル」での商品PR動画だ。さっそくスマホで見せてもらうと、おおっ、本格的! 営業マンが普通にしゃべっているだけの動画かと思ったら大間違いで、トークも抑揚があってわかりやすく、しかも面白い。ひとことで言えばユーチューバーの動画みたいなのだ。
 
  「自粛中でも『何かできることをやろうぜ!』と。幸いにも若手社員の中に動画が作れる人がいたので、みんな協力してひたすら動画を作りました。秋冬ものの新商品、8、9アイテムごとにそれぞれムービーを作って、現時点で公式チャンネルには5分から7分くらいの動画が18本くらいあるかな。私も出ているので、ぜひ再生してみてください」
 
  それにしても驚くべきクオリティーだ。サムネイル画像もいい引きになっているし、トークの間の取り方も非常に聞きやすい。効果音やテロップのタイミングも完璧で、写真のカットインなどの演出もまったく違和感がない。これを業者は使わず社員だけで作ったというのだから恐ろしい。ひょっとしたらコロナ禍を経て、クロダルマは時代の最先端を行くワークウェアメーカーになったのかもしれない。
 
  「こういう機会でもないと、なかなか本気で動画を作ろうって話にはならないからね」
 
  PR動画で進行役を務める「豆知識ダルマ先生」を抱き上げて、満足げな笑みを浮かべる杉原さんである。
 
  ●ストレッチ極まれり
 
  では秋冬の新商品を見ていこう。まず杉原さんが今回の目玉として挙げるのが「637」シリーズ。縦・横・斜めに伸びる全方向ストレッチがウリの上下モノ作業着だ。シルエットはややスリムで青やネイビーといったカラーリングも洗練された雰囲気。「まあ着てみて」と言われるままに袖を通してみると……、軽い! そして体に吸いつくようにフィットする。長袖のジャケットを着ているのにコンプレッションウェアのような動きやすさだから、なんだか脳が混乱してくる。
 
  「開発者としてこれはめちゃくちゃ攻めたよねぇ……。今やワークウェアはストレッチ仕様じゃないと受け入れられない。じゃあ、中途半端なことはしないで徹底的にストレッチを追究してやろう、と。最近はポリウレタンも長持ちするようになってきたから、耐久性のあるナイロン素材と組み合わせることで、丈夫で着心地のいいウェアを作ることができた。まるでゴムに身を包んでいるような感じでしょう」
 
  もう今回の取材はコレだけでいいんじゃない? と決め打ちする杉原さん。たしかに、動きやすさは文句の付けようがない。ストレッチ作業着も来るところまで来てしまったな、という印象だ。もうスポーツウェアと同じような着用感になっているのだから、着心地や可動性の点でさらに上を目指すのはナンセンスかもしれない。ということは、今後、追い求めていくべきテーマはデザインやファッション性ということになるのだろうか?
 
  「一般ウケはものすごく大事。ワークマンのブームでワークウェアがカジュアル衣料に流れ込んでいった。じゃあメーカーとしては次のステップを見ていかないと。要は、ワーキング分野が普通の人に認知されてきたわけだけど、以前からアウトドアなんかでは作業服を愛用している人もが多かったし、僕も釣りが趣味だから、他の人が何を着ているか長年チェックしてきた。ウチのショップ向けブランド『D.GROW』も、以前からそういう人を強く意識した商品を心がけていた。つまり、デザインだけじゃなく機能を含めてこだわりがめちゃくちゃ強いユーザーだね。一部の人かもしれないけれど、そういった層にガッチリ受け止めてもらえるウェアを作っていこう、と」
 
  ●電熱ウェアが登場!
 
  「というわけで、超オススメの『637』シリーズでした。じゃあ、次はオススメのオススメにいっちゃおうかな~」
 
  と、上機嫌の杉原さんが続いて取り出したのは薄手のインナーベスト……と思ったら、ヒーター付きの電熱ウェアだった。その名は「BODY THERMO(ボディサーモ)」。専用バッテリーにつなぐことで、ベスト背面のシートが発熱する。といっても北海道や冷凍庫内などのための専用アイテムではない。日常でも極寒地でもイケる便利な防寒アイテムなのだ。
 
  「これはインナーだから、アウターはお好きなものをどうぞ! というわけ。薄くて暖かいからいろんな場面で使える。たとえばビジネスマンがジャケットの中に来てもいいしね。」
 
  そしてなんと、バッテリーの規格も来年発売のファン付きウェアと共通というのだから驚きだ。
 
  「この冬ボディサーモをお買い上げのお客さんは来年発売予定の「エアセンサー1」の小型バッテリーとしてもお使いいただけるんです。夏はエアセンサーで冬はボディサーモ。バッテリーひとつで暑さも寒さも防げます!」
 
 
  電熱ウェアはキャンプ用やバイク用として昔からあるけれど、ハッキリ言って使い勝手の悪い商品だった。毎日使うものでもないし、暑すぎても困るからなかなか手を出しづらい。ところが、インナーベストなら話は変わってくる。木枯らしの吹く時期が来たら、普段着にこれをプラスすればOK。で、早朝や夜間に寒ければ「強」にして、室内やぽかぽか陽気の昼間には「弱」かOFFにしておけばよい。もちろん脱いでもコンパクトに収納できるし、もっと寒くなってきたらアウターを替えればいいわけだ。
 
  そうそう♪ と言いながら杉原さんはスマホを操作する。そんな近未来のSFみたいな……と思ったら、そのまさかの「スマホ操作」だ。ボディサーモは、Bluetoothの無線接続でスマホとつながっており、エアセンサーの公式アプリでオン・オフ・強弱の切り替えができるのだ。
 
  「いいでしょ? 通勤電車の中でごそごそバッテリーを探さなくていいわけ。移動中スマホをチェックしながら、ウェアの温度も細かく調節できちゃう。いちいち上着を脱いで持ち歩いたりしなくてOKと」
 
  バッテリーだけでなく、無線操作までスマホアプリで共通化されてしまった。これからはスマホひとつで暑さも寒さも制御できる――。まるでアップルの新商品発表会のようなクロダルマの取材だった。
 
image_maidoya6
電熱ベストはスマホで操作可能
image_maidoya7
「豆知識ダルマ先生」と杉原さん

    

全方向ストレッチが動きをサポート! お手入れもラクチンな「673」シリーズ

タテにもヨコにも伸びる全方向ストレッチ仕様の作業服。上下とも3Dカッティングのため動きやすくて着用ストレスもなし。生地はノーアイロンで着られる防シワ素材で、すぐに乾くのでハードワークにもってこい。ジャンパーの右袖は反射材付きで安全性もバツグン。パンツはスラックス、カーゴ、レディースカーゴの3タイプ。


超ストレッチのデニムとギャザー加工で動きやすさ抜群!「D.GROW」の最新デニムシリーズ

製品洗い加工によるヴィンテージ感が印象的なデニム作業服。ウレタン混のストレッチ生地と各部のギャザー縫製で、新感覚の動きやすさを実現。オンからオフまで幅広く使える、「D.GROW」ならではのカジュアルデザインが魅力的。深みのあるインディゴと、よりカジュアル感の高まるブルーの2色展開。