【住商モンブラン】「真打スクラブ」登場!image_maidoya3
人間やペット以外にも寿命というものがあって「会社の寿命は30年」とか「国家の寿命は70年」とか、さまざまな説がある。これらの数値が長いのか短いのか素人にはよくわからないけれど、「あるブランドが来年で50年になる」と聞けば誰でも「すごい」というのではないか。ごぞんじ住商モンブランの白衣ブランド「MONTBLANC」である。峻厳な氷河からなる4810.9mの山体は、ヨーロッパアルプス最高峰。「気品と美しさを兼ね備えたこの名山のように、商品を通じて感動を届ける存在でありたい」との願いを込めて1972年に誕生した。そんなMONTBLANCの登場から49年目の今年、世界中の医療機関は新型コロナウイルスとの闘いの渦中にある。このような状況をいったい誰が予想しただろう? いや、そんなことを言っている場合ではない。いまも東京や関西は緊急事態宣言が発令中で、日本の命運は医療体制の維持にかかっているのだ。メーカーは白衣を作り、ショップはそれを届けることで医療機関を支える。そして本誌『月刊まいど屋』の使命は、メーカーの声を読者に届けることだ。

住商モンブラン
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新商品の「ハイパースクラブ」
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腕を上げても突っ張らないasics
●復活した予防衣
 
  「2020年は展示会も病院に出入りすることもできなくなって私たちも戸惑っていたのですが、医療ユニフォームの出荷は大幅にアップしました。洗濯の頻度が上がったことで洗い替えを求める医療機関が増えたのが大きい。あと、ほとんど過去の商品だった感染予防ガウンの需要がものすごかった。コロナ禍になる前は、予防衣はいずれすべてディスポーザブル(使い捨て)になっていくと見られていたんですけど、ごそんじの通り世界的なガウン不足で、洗って使える予防衣の注文が殺到しました。ガウンがないならエプロンをくれ、と。生産ラインを増強しても作ったそばからなくなっていく。こんなことになるなんて誰も予想してなかったです」
 
  こう語るのは企画開発部の高垣卓馬さん。昨年よくニュースになっていた「使い捨てガウンの不足」は、ユニフォームメーカーにとっては「洗って使えるガウンの復活」と呼べる事件だった。もちろん、無菌状態で行うような医療行為ではこれからもディスポが中心になるが、コロナ対策のような何年も続く感染対策の場面では、消毒液に漬けたり工業洗濯に回したりできる旧来の予防衣が必要になるわけだ。ディスポだと使用後は感染性の産業廃棄物となって高額の処理費用がかかるので、病院経営の面でもリユーザブルのほうが有利だ。
 
  さらにコロナで変わったのは商品の動きだけではないという。
 
  「まずはオンライン商談ですね。事前に代理店や病院にサンプルを送って、ショールームからZOOMで通話して『次はこのスクラブを取り出してください。ほら、こんなに伸びるんですよ』とやる。もちろん目の前で商品を広げてやるほうがいいのは言うまでもないんですけど、私自身20回以上やった感想としては、意外と伝わるもんだな、と。あとは、以前から細々とやっていたYouTubeチャンネルに商品説明を積極的にアップしています。新たに企画広報課というセクションもできたし、これからWebでの広報に本腰を入れていきますよ」
 
  現在、住商モンブランの公式YouTubeチャンネルでは26本の動画が公開中。うち9本は3カ月以内にアップされた新作の医療用ユニフォーム動画だ。メーカーの営業マンがユーチューバーになる日も近いのかもしれない。
 
  ●新作「ハイパースクラブ」
 
  では、2021年のイチオシについて聞いていこう。高垣さんが0.1秒も迷わずに机に広げたのは、新商品の「ハイパースクラブ」。よくあるジップアップのスクラブにしか見えないけれど、従来とは比較にならないストレッチ性だという。「さあ、ひっぱってみてください」と迫る高垣さん。いやいや、今時ぐいぐい伸びるなんてフツーでしょ、大げさだなぁ……、と思いつつ強めに伸ばしてみると思わず声を上げてしまった。うわマジで伸びるッ!
 
  「すっごいでしょ……。新開発の生地を使うことで、従来のストレッチ仕様のスクラブと比べて3倍伸びるようになりました。じつはただストレッチ性能を強化して伸びるようにするだけなら前からできたんです。でも医療機関の場合、精密機械が多いので静電気対策が必要になる。かといって生地に制電糸を織り込むと伸ばせなくなる。こういうジレンマがあったわけですけど、この問題を特殊技術によって克服したのがこのハイパースクラブというわけです。おかげさまで、発売してまだ数カ月なのにさっそく追加生産です」
 
  確かに。これだけストレッチするとほかの選択肢がかすんでしまう。従来モデルに多少惹かれるデザインのものがあったとしても「これしかない」となるだろう。言い換えれば「今までのストレッチ素材はなんだったんだ」という気分だ。こんなにぐいぐい伸びるからには耐久性などを少しは犠牲にしたかと思いきや、そうではない。
 
  「耐久性は従来品と同レベル。工業洗濯でガンガン洗えます。カジュアル医療のようにポリウレタンを混ぜてストレッチを高めたのではなく、素材は従来モデルと同じポリエステル100%ですから。耐久性だけでなく、制菌加工、透け防止(白のみ)・吸汗速乾・制電・防汚と、ストレッチ性を増すことで犠牲にしたスペックは何もないんです」
 
  ストレッチ性能でダントツな上、ほかの機能も抜かりなし。デザインも現代的でソツがない。スポーツ万能で勉強もできる小学生、いやミュージシャンとしても成功している人気俳優というべきか、思わず嫉妬してしまいそうになる。
 
  ●「チーム医療」をサポート!
 
  ハイパースクラブはレディス7色、メンズ4色という多色展開。ほかの新作ジャケットやパンツも多カラーや男女で同デザインのものが多い。実際には左右の開きやシルエットなど男女でデザインの違いはあるけれど、パッとみたところ男女兼用のユニフォームをみんな自分に合うサイズで着ているような印象を受ける。これにはどんな意図があるのだろう。
 
  「制服のジェンダーフリー化という流れもあるのですが、『チーム医療』における必要性も大きいです」
 
  チーム医療とは、一人ひとりの患者に対して関係する専門職がチームを作ってケアにあたること。従来は、主治医が患者に行う医療行為を決めて、看護師や薬剤師などに指示するシステムが一般的だったのに対し、近年はこのチーム医療が普及しつつある。背景には、医療の高度化により、一人の医者がすべてを判断するのが難しくなってきたことがあるという。
 
  「そこで、ユニフォームを活用して機能的なチーム医療をやりませんか、というのが弊社の提案です。男女の医師や看護師、それに理学療法士・作業療法士・放射線技師・管理栄養士といった専門職が同じユニフォームで患者さんのケアに当たる。また、チーム医療とは少し違いますが、勤務形態によってユニフォームを分けることで、超過勤務を予防するといった活用法もあります。夜勤の看護師はネイビーのスクラブを着るといった具合に判別できるようにすれば、もうすぐ退勤の看護師に医師が用事を頼むといったケースを避けられます。過酷で長時間勤務になりがちな医療業界の『働き方改革』のお役にも立てるかな、と」
 
  とはいうものの、いま医療従事者はコロナ対策の最前線で骨身を削っている最中だ。「医療崩壊」とも言われる大阪に本社を構える白衣メーカーの一員として、高垣さんは次のように医療従事者への気持ちを語る。
 
  「本当にすごい人たちだと思いました。以前から出入り業者としてリスペクトはしてましたけど、今回のことで医者や看護師のありがたさがよくわかった。命懸けでコロナに立ち向かう医療従事者のみなさんが、ユニフォームで少しでもモチベーションを上げてもらえるならうれしいし、自分自身、間接的にでも医療の仕事に関わることができてよかったと感じています」
 
  白衣メーカーとともに「月刊まいど屋」も医療従事者にエールを送りたい。
 
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医療従事者の感謝を語る高垣さん
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本社ショールームで

    

まさに異次元のストレッチ性! すべてを超越した「ハイパースクラブ」

従来モデルと比べて3倍のストレッチ性を誇る「ハイパースクラブ」の上下。ポリエステル100%の生地は制電仕様で耐久性も文句なし。腕を上げたときのズレ上がり防止など、女性にやさしい仕様。男女混成でのチーム医療に使える男女同型デザインと多色展開もうれしい。


稲妻のごとく現場を駆けろ! 運動性最強のasicsスクラブ

asicsとコラボ開発した動きやすく着心地の良いスクラブ。脇から裾にかけての「ライトニングシェイプ」が腕の上げ下げをサポート。吸汗速乾の生地が肌のベタつきを軽減する。ネックストラップのずれを防ぐ固定具やポケット内ループなど、とことん気の利く仕様