【KAZEN】「抗ウイルス」の安心感image_maidoya3
「カゼン」の名前にピンとこなくても、「アンパンマンの白衣」や「adidasのスクラブ」と聞けば、ああアレか! となるに違いない。そう、会社としてのカゼンは目立たない。だが、その商品はこれ以上ないほど”キャラ立ち”している。その関係性は、ユニフォームが働く人を支えるのに似ている。制服はあくまで脇役であって、主役は人間。極端なことを言えば、ウェアが外部から来た人の意識に上るようではダメなのだ。制服などまったく覚えていないのに「あの店はいい雰囲気だった」「あの病院は明るくて好き」と言われるのが理想。このように影の存在である一方で、自分の仕事に誇りをもつ着用者からは、「これを着るとやる気が出る」「このウェアだと作業が捗る」と思ってもらえる特別なものでなくてはならない。いわば、見る側と着る側でまるっきり違うものを求められるわけだ。しかも、医療従事者はみんな専門職で使命感も強いから、白衣に求める注文も多い。はっきりいって大変だけれど、カゼン開発チームの声を聞いているとこうも思えてくるのだ。だから白衣はおもしろい、と。

KAZEN
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コロナ禍で必要とされる予防衣
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ジョガーパンツの看護衣も登場
●コロナ禍のユニフォーム
 
  編集部が訪れたのは埼玉県久喜市の「久喜工場・東日本物流センター」。2013年竣工。地上4階建、延べ床面積1万1000平米を誇るカゼンの流通加工施設だ。アパレル企業の拠点というより、家電や機械の工場を思わせる大きさである。
 
  「本社も建て替え中ですし、一度ここを見てもらいたいと思いまして」
 
  出迎えてくれたのは営業部の加藤裕章さん。春の制服シーズンというわけで、加工場では女性たちが手際良くミシンを走らせ、倉庫では「××病院行き」と書かれた段ボールが出荷を目前に控えていた。施設見学が終わると、高橋和也さん・植田まりなさん・吉田竜太朗さんの商品企画チームが、近況と新商品についての話を聞かせてくれた。
 
  「1月に新商品を出したところですけど、コロナ禍の2020年は企画の上でも厳しい時期でした。採寸どころか部外者は医療機関に入れず、先方の状況もよくわからない。私たちメーカーも時短勤務やテレワーク対応に追われました。それでもWeb上でお客さんにプレゼンしたり感染対策用のガウンを増産したりと、混乱しつつもできることをやってきました」(高橋さん)
 
  カゼンでは、医療白衣のほかにも食品系などのユニフォームも展開している。2020年は飲食店の休業や自粛の影響で、サービス系ユニフォームが落ち込んだ一方、お弁当や惣菜、パンなどのフードファクトリー用は好調だったという。ユニフォームは、医療機関だけでなくステイホームに不可欠となった「中食」の現場も支えているのだ。
 
  ●衛生機能に注目集まる
 
  洗い替えなどの需要もあって今年も医療白衣はよく動いている。動きやすくて快適なウェアなど、数年前から続くトレンドに加えて、いまユーザーが注目しているのは生地の性能。やはり、ユニフォームも「感染予防の効果」が焦点になっているという。
 
  「『クレンゼ』という技術を使った抗ウイルス加工のウェアは、毎年コンスタントに売れる定番商品なのですが、2020年は非常によく出ました。とくにガウンタイプの予防衣(型番:KZN-931)は、コロナを受け入れている病院で必要なアイテム。マスクと同じで使い捨てガウンも不足しているので、洗濯して繰り返し使えるものが求められていました。弊社の抗菌・抗ウイルス加工は、家庭洗濯を50回してもまだ繊維上のウイルスの数を99%以上減少させる効果があります。色も白だけじゃなく、ピンクやサックス(淡い水色)もあるので、診察や処置だけでなく病院給食の現場なんかでも使える商品です」(高橋さん)
 
  カゼンの衛生加工には、制菌加工・抗菌防臭加工・抗ウイルス加工という3タイプがあり、高機能なウェアは3タイプすべての加工が施されている。ウェアに付着したウイルスを減少させるのに加えて、繊維上での菌の増殖も防ぐためニオイも防げる。つまり「クレンゼ」シリーズは感染予防だけでなく汗や生乾きの臭いも心配しなくていいイージーケア白衣でもあるわけだ。さらに商品によってはストレッチや透湿素材を使ったストレスフリー仕様となっている。
 
  コロナ病棟では、予防用ガウンの中にスクラブを着るケースが多く、こちらも高機能のものが人気という。男女兼用スクラブ(型番:REP136)は、シンプルな見た目ながらじつは抗ウイルス加工という商品。多色展開の男女兼用スクラブ(型番:983)も制菌加工モデルと、今や衛生機能はスタンダードになりつつある。
 
  「ディスポーザブルのマスクや防護服を作るのは私たちの仕事じゃない。ユニフォームメーカーがやるべきこと、そうではないことを区別して、患者さんに向き合うスタッフだけじゃなく裾野まで意識した安全性を打ち出していきたいですね。今後もクレンゼなどの生地性能をしっかりアピールしていきます」(加藤さん)
 
  ●「着用者目線」に拍車
 
  医療現場のニーズは感染予防だけではない。コロナ前からの主力シリーズ「4D」は今年も人気を集めている。売り文句の「動きやすさと美しさを両立させた動体裁断」は、4年目を迎えてさらに洗練を深めている。新作のレディススクラブジャケット(型番:986)について、植田さんが女性目線で語ってくれた。
 
  「人体と皮膚の解剖分析に基づいた設計により、ただ動きやすいだけじゃなく『動いているときが美しい』デザインを実現しました。腕を大きく上げても、袖が開いたり裾が上がったりしない。業務中に脇や背中が見える心配がありません。医療現場の女性の意見を聞いたところ、他人が思っているより本人は見られていることを意識する、視線が気になるということがわかったので、徹底的に着用者目線で開発しました。試験導入してもらうと、みなさん人目が気にならなくなったと感動されますね」
 
  コロナ禍での新たなニーズにも対応している。腰の右側にあるループ型の留め具は消毒液の持ち歩きを想定したもの。現在、病院のスタッフは小学生の水筒のように袈裟がけで消毒液ボトルを持ち歩いているけれど、業務の妨げになることも多い。とくに看護の場面では、前屈みになるたびにボトルがズルリと動くのは邪魔だし、患者を抱え上げるときに顔面にボトルが当たる危険性もある。というわけで、右腰に固定できると便利なのだ。
 
  「固定できるようにしただけではなく、使いやすさも考慮しました。看護はしやすいけれど消毒しにくくなったというのでは本末転倒ですから。どんな位置にどんな角度で取り付ければ、動きやすくて使いやすいか、試作を繰り返して開発したこの右腰ループは、弊社のオリジナル技術。特許出願中です」(吉田さん)
 
  スクラブに合わせるパンツも意欲的なモデルが登場した。スラックス(型番:855)と並ぶ第二の選択肢として発売したのは、なんとジョガーパンツ(型番:856)だ。その名の通り、ジョギング時にバタつかないように裾がゴムになったパンツで、近年は作業服でも人気を集めている。ただし、医療というのは少し意外な気もする。
 
  「こちらも着用者目線で作りました。看護師はけっこう歩くし訪問看護などで自転車に乗るケースも多い。この方が裾関係のストレスをなくせると思ったんです。ジョガーなら足さばきがいい上、自転車チェーンのオイルで汚れることもありません。デザインする上で気をつけたのは、ラクなのに上品に見えること。裾ゴムを後ろに付けることで”きちんと感”を出しました。裾を折り込んでサイズ調整もできますよ」
 
  繰り返される「着用者目線」は、コロナ以降の白衣のテーマと言えそうだ。
 
  「ユニフォームは支給品だけど自分を表現するものでもある。上の人が気にいるかより、着る人がストレスを感じないでパフォーマンスが上げられるかが大事だと思います。さらに自分の仕事に誇りを感じてもらえたら最高ですね。私たちはそのお手伝いができればと思っています」
 
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ボトルの固定位置もポイント
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ストレッチ性能を語る植田さん

    

コロナ対策は抗ウイルス加工から! 現場に安心感をもたらす「クレンゼ」シリーズ

新型コロナ対策に欠かせない衛生加工付きの医療ユニフォーム。制菌加工・抗菌防臭加工・抗ウイルス加工の3タイプがあり、上位モデルは菌だけでなくウイルスにも対応。付着した病原菌を減少させる。汗や生乾きの匂いも防げるイージーケア性もポイント。


チーム医療はウェアから始めよう! カゼンの新提案「男女兼用シリーズ」

性別に関係なく同デザインのユニフォームにできるジェンダーフリーな白衣。男女混合での「チーム医療」のほか、夜勤スタッフは暗色ウェアを着るといったルールを作ることで、超過勤務の予防にも役立つ。パンツは「スラックス」「ジョガー」の2タイプを用意。