【ハネクトーン】接客のプロたちへimage_maidoya3
ワークウェアメーカーのルーツをたどると、だいたい学生服か軍服に行き着く。岡山県の倉敷や児島に行けば過去に学生服を作っていたメーカーがたくさんあるし、かつて福山や府中で製造していた軍服や作業着が「軍都広島」を支えていたのは有名な話だ。一方、今回はじめて訪問する事務服メーカー、ハネクトーン早川の出自はちょっと変わっている。原点は学生服のネクタイやリボン。学ランでもなくセーラー服でもなく付属品である。学生服メーカーからセット購入するので気づかなかったけれど、私たちが毎朝あわただしく、ときに校門に向かって走りながら首元につけてきたアレの半数近くはハクネトーンの製品だったのである。そんなハネクトーンが展開する事務服ブランドが「カウンター・ビズ」。その商品展開の背景には付属品メーカーならではのニッチな発想があった。

ハネクトーン
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デザイナーの本郷さん
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チェックベストにジャケットを合わせて
●ターゲットが明確
 
  話を聞かせてくれたのは、営業の武井さんとデザイナーの本郷さん。まずは「カウンター・ビズ」の成り立ちやコンセプトから聞かせてもらおう。
 
  「当社は1930年創業の学生ネクタイメーカーで、今もリボンやネクタイを作っています。女性用ユニフォームを始めたのは20年ほど前からですが、2007年ごろから『接客用』に路線を決めた。これが大きな転機になりました。そうして生まれたブランドが『カウンター・ビズ』。百貨店やホテル、カーディーラー、化粧品販売、エステなど、カウンターに立って対面接客する女性のためのブランドです」
 
  なんでもできる事務服じゃなくて接客に特化させた「おもてなし用ユニフォーム」というわけだ。とはいうものの、今やたいていの事務服メーカーに接客用ウェアのラインナップはある。別冊のカタログを用意しているところもあるくらいだ。そんな中、ハネクトーンはどのように商品を差別化しているのだろうか。
 
  「カウンタービズの商品構成は、大きく分けて『キャリアエレガント』と『フェミニンビューティー』の2つがあります。前者は洗練された落ち着きのあるスタイル、後者は女性らしさを前面に打ち出した華やかなスタイルです。いま主力になっているのは後者の『フェミニンビューティー』で、とくにエステサロン、美容系のクリニックにすごくウケてる印象です。こういうビューティー系の施設って、ひと昔とぜんぜん違うんですよ。内装も高級ホテルみたいで、メディカル系のユニフォームだともう合わない。このようなニーズの変化にうまく対応できたのが、競合も多いなか勝ち残ってこられた要因だと思います」
 
  ひとくちに「接客」といっても、ホテルとディーラーとではスタイルは大きく異なる。さらに車のショールームでも、国産ファミリーカーと高級外車とでは、接客担当者に求められるウェアは違ってくる、というわけだ。
 
  「あらゆる接客シーンに対応できるのが当社のウリです。企画の段階から『どこに売るのか』を明確にして、そのターゲットに合わせた商品を開発する。そしてカタログでの見せ方も『ロケシーン多め』。高級車のショールームやエステの受付、百貨店のジュエリー売り場などでモデルを撮影し、具体的な着用シーンがわかるようにしています。実際にユニフォーム採用を決めるのは女性ではなく管理職の男性だったりするわけですが、これならわかりやすいでしょう?」
 
  同社によれば、コロナ禍でホテルや百貨店は苦境が続く一方、美容のニーズは高まっているという。ステイホームが増えたことで、容姿に関心が向かったのだろうか。美を求める女性の心は何があっても止まらない。
 
  ●「ハマるところにはハマる」
 
  2020年、21年は展示会を行わず、お客さんを個別に招いた内覧会を実施。そこでもユーザーを選んでしまう「接客特化」の商品展開が、逆に強みとなった。
 
  「賑やかな展示会もいいですけど、接客用ユニフォームだけを探しているお客さんとのコミュニケーションは手応えを感じました。はやり、ハマるところにはハマる。私たちのやってきたことは間違いなかった、と。『美容系デンタルクリニックにおすすめのウェア』とか、ターゲットを絞ったメリハリのある商品構成が、接客のプロたちに響いた。逆にいえば『いわゆる事務服をお探しなら他を当たって下さい』というわけなんですけど。当社は一般アパレルの要素も取り入れながら、接客のためのデザインを徹底的に極める。価格は下げようと思えばできるけれど、クオリティや見た目が犠牲になるならやらない。こういう路線を長年続けてきたおかげで『ハクネトーンにはおもしろい商品があるよ』と言ってもらえるようになりました」
 
  接客にこだわるのは作る側だけではない。着る側も「ワンランク上」の接客を目指している。「あの店はほかと違う」「ここのスタッフは特別」といった評価に、生き残りがかかっているのだ。
 
  「コロナの前は、ホテルが好調だったんです。インバウンドもあって高級ホテルの接客用ウェアのニーズが高かった。これに対して今多いユーザーはエステやクリニックでしょう。 こういう小規模な事業所の場合、接客が最重要になってくるんですよ。ホテルと違って接客ひとつで印象がすべて決まってしまう。これまで以上にイメージが大事になったということです。じゃあ、昔ながらのスリーピースのスーツを着ればいいのかといえば、やっぱり新鮮味が欲しい。というわけでユーザーのこだわりはどんどん強くなっていく。当社はそういうニーズに対応した別注対応も得意です。配色をコーポレートカラーに変更するといった大掛かりなものも、栃木の自社工場ならバッチリできます!」
 
  ●社長登場!
 
  ここで「ニッチでしょう? これがうちの強みなんですよ」と言いながら登場したのはなんと社長の早川さん。ハクネトーンの歴史から商品企画の考え方まで、たっぷり語ってくれた。
 
  「創業以来、当社はスクールネクタイというニッチな商売をしてきました。小さな会社ですけど、シェアは推測で50-60%くらいあるからやっていける。だからユニフォームに参入するときも『他社がやってないニッチな商品を作っていこう』と決めた。その結果、接客に特化することになった。これは言うのは簡単ですが、ブレずに続けていくのは難しい。つい、いろいろやりたくなってしまうんですね(笑)。たとえばホテルに売り込もうとすると男女そろいのユニフォームという誘惑が出てくる。でも、そこは我慢です。メンズでは私たちが長年かけて培ってきた審美性を発揮できない。作ってしまったらハクネトーンの存在意義がなくなってしまう。飲食店ユニフォームもそうだし、西日本を中心に売れているオーバーブラウスもすごい誘惑です。それなりのものは作れるだろうけど、『きちんとしていて、高級感があって』といったウチらしさが出せないだろうから我慢する。こんなふうにハクネトーンの持ち味を失わず、ニッチな商品で勝負することを心掛けてきた成果が、今やっと出てきた気がします。小口注文でも『いいものを買いたい』というお客さんがハネクトーンを見つけてくれるようになってきた。これからも、ターゲットを明確に見据えた上で、企画は『それはウチがやるべきなのか』と考え抜くことでお客さんの期待に応えて行きます」
 
  キーワードは「審美性」。美の本質を見抜くことだ。「接客のための華やかな女性用ユニフォーム」というニッチな路線を貫くために、ハネクトーンはさまざまな誘惑と戦い続ける。これまでも、そしてこれからも。
 
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襟や袖の白がアクセント
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早川社長を挟んで

    

「ワンランク上」の伝統と洗練! 上質感きわだつ「チェック&ブラック」シリーズ

クラシカルなチェック柄と上品な光沢を持つブラックを組み合わせた接客用レディースウェア。生地はソフトな風合いのストレッチで着心地よし。生菌加工も施されているので、人と接する場面の多い仕事でも安心。カーディーラーやホテル、百貨店、ブライダルなど、さまざまな業種での「とっておきの信頼感」を演出する。


さりげなく光る上品さ 杢の表情が美しい「ユーティライトバーズアイ」シリーズ

表情豊かな杢グレーが魅力の接客用レディースウェア。ニット素材の生地は肉厚で弾力がある上、伸縮性もあるので着心地バツグン。ジャケットとベストのトリミングはレザータッチ仕様で高級感たっぷり。カーディーラーやホテル、百貨店、ブライダルなど、さまざまな業種での「とっておきの信頼感」を演出する。

  • image_maidoyaジャケット
    ■型番:9186
    ■定価:\35,200
    ■販売価格:\22,880
  • image_maidoyaジャケット
    ■型番:9187
    ■定価:\35,200
    ■販売価格:\22,880
  • image_maidoyaベスト
    ■型番:9762
    ■定価:\22,000
    ■販売価格:\14,300
  • image_maidoyaスカート
    ■型番:9858
    ■定価:\17,000
    ■販売価格:\11,050