【その1】新ショップは突然にimage_maidoya3
みなさんは「まいど屋」にどんなイメージをお持ちだろうか? 低価格で、品ぞろえが豊富で、対応が丁寧かつスピーディーで……と、ポジティブな声が寄せられる一方、拭いきれないのが「サイトデザインが古い」の印象だろう。じつは本誌「月刊まいど屋」編集長も2018年末に初めて「まいど屋」を見たとき、おや? と思った。どんなふうに商品を探すのか、どのように比較したり検討したりして買い物をするのか、イメージできない。当時はワークウェアの世界とは無縁で、利用したことがあるネット通販はアマゾンやヨドバシ、楽天くらい。それらとまいど屋の見た目はぜんぜん違う。一体どうなってるんだろう? しかし、毎月の取材を進めるうちに「これでいい」と思うようになった。なによりまいど屋はインパクトがある。「△△ユニフォーム」みたいなよくあるショップより、まいど君がデーンと出てくる野暮ったい店の方がいいじゃないか。だいたいオシャレ着じゃねえんだよ、こちとら汗と油にまみれる作業着の店だ。「似合うかな」「ちょっと派手かも」なんて、ちまちま悩んでるようなミーちゃんハーちゃんどもはヨソ行きな! と。こんなデスペラードな意識に目覚めた編集長に、ある日、まいど屋社長の田中氏から電話がかかってきた。えっ、新しいショップ? オシャレなワークウェア? ビジュアルで魅せる? イマドキな雰囲気ィ?

その1
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ワーキングな雰囲気たっぷりの川口駅前
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まいど屋では出荷作業が続いている
●第四の支店とは!?
 
  埼玉県川口市のまいど屋では、通常業務のかたわら新ショップ構築の作業が進められていた。webディレクターをはじめデザイナー、エンジニアなどからなるサイト制作チームは、数週間後のオープンに向けて追い込みの真っ最中である。そんな緊迫した現場に入った編集部の前に、まいど屋社長の田中氏は現れた。電話で聞いた「新サイト」とは何なのか、さっそく真意を確かめなければなるまい。
 
  「こないだの話ですけど、まいど屋が新しくなるんですか?」
  「違う違う、まいど屋とは別だよ。新たにオンラインショップを作って、まいど屋を補完するわけ」
  「つまり、まいど屋はそのまま?」
  「うん、新ショップがオープンしてもこれまで通りまいど屋で買えるよー」
  「ということは、新サイトって要するに『食べコレ!』や『メディコレ!』とかみたいな……」
  「そうそう! わかりやすくいうと“支店”かな。本店のまいど屋に対する支店ね」
 
  意外にも、新サイトとはまいど屋とは別物だった。例えるならメーカー公式のオンラインショップと「楽天市場店」のような関係である。どちらで買っても結果は同じだが、ショッピングとしての体験はけっこう違う。
 
  じつは、まいど屋には既に3つの支店がある。2014年オープンの「事務コレ!」、2016年の「食べコレ!」、2017年の「メディコレ!」だ。文字どおりこれらのショップでは、オフィス・飲食業・医療といった現場に特化したウェアやユニフォームを扱っている。簡単にいえば、それぞれ女性用の事務服、エプロンやコック服、白衣やスクラブ(手術着)の専門店だ。
 
  こういった商品はもちろんまいど屋でも買える。ただ、新しい白衣を買おうかなと思っている医者にとって、空調服や安全靴のバナーや商品情報はまったく不要であって、むしろ理想の白衣を探し求める活動を阻害しかねない。同じことが他の業種にも言える。料理好きの鳶職人は、エプロンを見て「おっ」と思うかもしれないけれど、オーバーブラウス(流行りのレディース事務服)には何の興味もない。むしろ買い物の邪魔だ。「事務コレ!」をはじめとする専門店の誕生には、こんな背景があるのだ。
 
  ●「イマドキ作業服」専門店
 
  では、4つ目の支店の「ネタ」は何なのか。再び田中氏に聞いてみよう。
 
  「事務・飲食・医療ときてまだありますか……。警備服じゃダメだし、まさか鳶とか?」
  「それが、意外とあったんだよね……」
  「えっ、ぜんぜんわかんないです」
  「ヒントとして屋号を教える。新ショップの名前は、『プロコレ!』です!」
  「プロ……、プロショップ……工具ですか?」
  「違うって! 作業服! プロフェッショナルのための作業服の店だよ!」
  「作業服って、まいど屋自体が作業服の店なのに……」
  「うーん、かっこいい作業服の専門店って言えばわかるかなぁ?」
 
  以降も続いたやりとりをまとめると、新ショップが扱うのは「イマドキのかっこいい作業服」。ざっくり言えば、工業高校で着ているようなアースカラーのブルゾンではなく、若い職人が着ている細身のデニムなんかをメインに扱うショップである。もちろんまいど屋でも細身のデニムは買えるけれど、工場のユニフォームのようなデザインにはまったく興味がない職人には、「プロコレ!」のほうが都合がいいだろう。まいど屋では「長袖ブルゾン」のカテゴリを見ると、コテコテの「ザ・作業着」と街でも着られる「オシャレ系ワークウェア」が横並びになってしまうからだ。
 
  つまり、今回の「プロコレ!」オープンとは、まいど屋が扱っている幅広いワークウェアの中から「かっこいい作業服」というジャンルが独立したことを意味する。これは本店まいど屋にとってどういう影響があるのだろう。
 
  「じゃあ、まいど屋はどうなるんですか?」
  「今まで通り圧倒的な品揃えで勝負していくよー。トップ動画にもあるでしょ『あらゆるワークウェアが手に入る』って」
  「べつに『プロコレ!』で買ってもいいんですよね?」
  「同じ商品なら価格も納期もまったく変わらない」
  「じゃあまいど屋を使うシチュエーションって……」
  「定番のやつとか型番指定で買いたいなら、まいど屋で検索したほうが早いんじゃない?」
  「『プロコレ!』はもっと普通の買い物に近い感じですか?」
  「そうそう、アパレル通販みたいな感じ。なんかいいウェアないかなぁ? とか、そういう人は『プロコレ!』かな」
 
  ●「ビジュアルで訴えたい」
 
  言われてみれば、型番指定のケースでまいど屋は圧倒的に強い。たとえばいつも着ている作業服が傷んできたなと思ったら、タグで型番を確認し、検索窓に「60200」などと入力すれば一発で買える。取り扱いメーカー数が多いから確実にヒットするのだ。そのかわり、「春夏用の長袖ブルゾン」といった獏としたイメージで商品を探し始めると、とんでもないことになる。品揃えが多いぶん、膨大な数の商品が出てきてしまうのだ。
 
  対して「プロコレ!」では、トップにはかっこいい作業服しか表示していない。たとえば「女性に人気」をクリックすると、限られたメーカーの売れ筋、新作商品が60点前後出てくるだけ。これなら、ビジュアル的にピンとくるものを選んでもいいし、ひとつひとつスペックを見ながら検討することもできる。このような品揃えの違いがショッピング体験に与える効果は大きい。
 
  「要するに、まいど屋とはターゲットが違うんですね」
  「うん、まいど屋はごちゃごちゃして使いにくいって人もいるから。新規のお客さんにアピールできる店を考えたわけ」
  「では、お店のデザイン上の違いというと?」
  「やっぱビジュアルかな。『プロコレ!』は大きい商品画像で視覚的に訴えかけられるようにしてる」
  「まいど屋の商品説明はテキスト重視ですもんね」
  「そう、じっくりスペックを読み込んで条件を満たすウェアを探すんじゃなく、『おっ、この服いいじゃん』みたいな感じ?」
 
  リアル店舗に例えるなら、まいど屋はロードサイドにある昔ながらの作業服の店と言えるだろう。店内の棚は商品ギッシリで初めて訪れた人は買い物しにくい。しかし、リピーターはどこになにがあるか把握しているから、現場に行く前にパッと買えて便利だし、品揃えもスゴイから「ほかにもこういうのない?」といった声にもすぐ応えてくれる。
 
  いっぽう「プロコレ!」はマネキンが置いてあるような新世代型のワークウェアショップと言えるだろう。初めて入った人は「最近の作業服ってこんなオシャレなのか」と驚き、DIYやアウトドアといった趣味系のユーザーもたまにのぞきに来る。そんな新ジャンルの作業服の店なのである。
 
  ●「なんでもある」の継承
 
  「事務コレ!」「食べコレ!」の系譜ではあるものの、「プロコレ!」は建設土木ワーカー向けとしては、まいど屋以来となる新ショップだ。まいど屋のオープンが2006年だから、じつに16年ぶりとなる。ガテン系のお客さんに愛されるまいど屋の新チャンネルとして、どんな将来ビジョンがあるのだろう。
 
  「『プロコレ!』をどんなお店にしていきたいですか?」
  「まずは新規のお客さんが『すげぇ、おもしろそう!』となるような店にしたいね。まいど屋はちょっと玄人向けだから」
  「ウェアの魅力もこれまで以上にアピールできそうですけど」
  「それそれ。かっこいい作業服だけバーンと前面に出せるのは大きいよ。まいど屋の見せ方じゃどうしても埋没しちゃう」
  「ということは『プロコレ!』は品揃えにはこだわらない?」
  「いや、そこはまいど屋と同じ。『かっこいい作業服なら何でもあります』というスタンスで行く」
  「つまり、取り扱いメーカーやアイテムの数も……」
  「まだ少ないけどね。数年のうちにこの手のショップでは最強になるよ」
  「じゃあ△△さんとか、○○○○○とか、□□□なんかも、そのうちに?」
  「在庫が厳しいメーカーもあるけど、どんどん入れていく。○○○○○の◇◇◇もね」
  「うおお! ○○○○○の◇◇◇まで!」
 
  現在のところ「プロコレ!」で売られている商品は、バートル・自重堂・アシックスなど数社。しかし、本誌を読むような筋金入りのワークウェアファンなら、こう思うはずだ。「えっ、この店ではあっち系の商品は扱わないの?」「例のウェアは売ってないのか……」「うわっ、あのメーカーがないなんてありえねぇ」「おいおい、これからの季節はアレしかないだろうがッ!」。--どうか大船に乗った気分でいてほしい。こういった声はすべて把握しており、要望は近いうちに実現されていく。
 
  求めなさい。そうすれば、与えられる。探しなさい。そうすれば、見つかる。門をたたきなさい。そうすれば開かれる。だれでも、求める者は受け、探す者は見つけ、門をたたく者には開かれる(マタイ福音書7章7節)。
 
  まいど屋が職人たちにとっての楽園(エデン)ならば、「プロコレ!」は約束の地(カナン)となるだろう。
 
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新店舗「プロコレ!」のトップ画像
 

    

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