昼過ぎに始まった「ファン付き作業服を語る会」は、夕方に突入しようとしていた。そろそろ参加者にも疲れが見え始め……と思いきやトークはますます勢いづいてきている。デバイスについてひととおり語ったかと思えば、こんどはウェアだ、スペーサーだ、保冷剤だ。「いやいや今シーズンはサイドファンでしょ!」「意外とパンツがくるんじゃない?」といった具合に、どこまでいっても話は尽きない。それにしてもこのアイテム、なぜここまで人の心をつかむのかといえば、やはり「画期的だから」のひとことだろう。市場に登場してから18年、作業服に革命をもたらしたファン付きウェアの最新モデルはどんな機能を備えているのか、またこれからどのように進化していくのか。今後の展望を占ってみよう。
上級編
「ファン付き」の将来を語り合う
「風量競争は続く」とUさん
●パンツに注目?
--お疲れさまです。ここから先は「上級編」ですから、専門的な話をしていただいても大丈夫ですよ。
編:さっそくですが、私が気になっているのがファン付きのパンツなんですよ。さすがに上下で4つファンを付けるつもりはないんですけど、バックパックを背負うときなんかに「下だけファン付き」にするのも手だな、と。それで目的地に着いてカバンを下ろしたら、ファンを上着に付け替えて近くを散策したり、山歩きしたりする。空調服の場合、対応のパンツとロングケーブルだけ買えばいいので、いまちょうどいいパンツを探しているところです。
メ:いきなりマニアックな! それ、もはや作業服を超えてるじゃないですか。
店:いや、ファン付きウェアはおそらくこれからいろんな分野に広がっていきますよ。ワーキングの分野でも、最初は建設・土木系の熱中症対策だったのが、今やツナギに警備服、カッパ、ビルメンユニフォーム、コック服まで「ファン付き」のものが登場しています。このままあらゆる仕事服に広がっていくなら、アウトドアやレジャー用のウェアはもちろん、一般のカジュアルウェアまでファンが付くようになってもおかしくありません。
編:私は毎朝、公園を散歩しているんですが、去年の夏はファン付きウェアで歩いているおじいちゃんがいました。コロナで中止になる前は、小学校の運動会でもファンをブンブン回しているお父さんをちらほら見た。今は100人に1人かもしれません。でも、そのうち100人に5人になり、ゆくゆくは10人に1人になっていくのではないか、と。「普通の人にはまだまだ抵抗がある」と言うかもしれませんが、ワーキングの世界でも数年前までは「なにそれ!? ギャグか?」とか言われてたんですよ。空調服は女性専用のウェアを出しているし、中国産業は子供用のウェアと小型デバイスまで展開していますよね。あれもいつか時代が追いつくんじゃないかと思います。
店:そうそう、パンツといえば、これから買う人には「一体型デバイス」という選択肢もありますね。中国産業やクロダルマが展開しているケーブルレスのデバイスです。これならパンツを脱がずにデバイスを外から付けるだけで、すぐ「ファン付き」になります。片側だけに付けても、風が股からもう片方の足に回り込んでけっこう涼しいらしいです。
編:一体型はまだあまり普及していないものの、可能性を感じます。ケーブルがなければプラグ抜けや断線もないし、使わないときは卓上ファンにもなる(笑)。最近、女子高生がよく持ち歩いているハンディ扇風機に近いものです。で、私は思うんですけど、アレを学校の制服にカチャッと取り付けられるようにすれば……。
メ:発想がヤバいです!
●焦点はユニフォーム!
--さすがに飛ばし過ぎたので軌道修正して、ここからは最新のウェアについて語ってもらいましょう。
メ:ウェアのデザイン面でいうと、空調服とバートルの違いは大きいですね。空調服は基本的にユニフォームとして使えるようなものを揃えている。いっぽうバートルはカジュアルワーキングが中心で、カラーバリエーションの中に制服にもできるようなおとなしい配色もあるといった具合です。風神服も空調服に近いテイストです。
店:バートルの「エアークラフト」をユニフォームにする事業所も多いですけど、無難なデザインなら空調服かな、という気はします。
メ:あと、忘れてはいけないのがSDGs(持続可能な開発目標)です。自治体や企業は環境に配慮した活動をしなければいけない。空調服ってほとんどの人は熱中症対策のウェアと思っていますけれど、もともとは温暖化対策として発明されたもので、省エネのためのアイテムなんです。夏にエアコンを使わずに済めば環境負荷はかなり低下するはずだ、と。大きな組織は社会的責任もありますから、ユニフォーム選びにおいてもこういうことを意識しないといけない。暑いから空調服をユニフォームにしようか、となったとき「リサイクル素材を使ったエコマーク付きのウェアと組み合わせよう」といった発想が出てくる。制服の場合、デザイン性やカッコよさだけで決められるわけじゃないんです。
店:それは重要な指摘ですね。ファン付きウェアって、きっともう現場の職人さんには行き渡っているはずで、これからは会社や自治体のユニフォームが市場になりそうです。
メ:どこのメーカーも製造業や物流業をねらってるんじゃないですか? 編集長も取材でいろいろ聞くでしょ?
編:よくご存知で。とくに2022年の新作ウェアでは「サイドファン」が目立っています。これはファンを取り付ける穴をほぼ真横に移動させたもので、手を下ろすとファンに当たるような位置です。じゃあダメじゃん、と思うかもしれませんが、このポジションは「背もたれと干渉しない」という大きなメリットがあります。着たままクルマに乗っても、フォークリフトや重機を操作しても、ファンが背中にゴリゴリ当たらず快適です。たとえば、生協やネット通販の配達など、近距離を運転しながら配達して回るような人をターゲットにしています。長距離ドライバーと違って、こういう業務ってクルマのエアコンが効いてくるほどは運転しないし、マンションの中とか、意外と距離を歩く。しかも力仕事です。
●スペーサーで解決
--なるほど、でも運転中に座席にもたれたら風が抜けないのではないですか?
編:いい質問ですねぇ。たとえばアイトスが発表した2022年の新作、物流ドライバー向けの空調服では、サイドファン採用だけでなく、ウェアの内側に「スペーサー」が付いているんです。
--スペーサー?
編:要はウェアが押しつぶされないようにするための「凸」状の出っ張りです。これがあれば、背もたれに体重をかけても背中の空気の流れは確保される。またこのスペーサー自体、メッシュ構造になっていて内部に風が通るので、スペーサーが当たるところだけ熱がこもる、なんてこともありません。このスペーサーは前後に付いているので、両手で荷物を抱えたときなんかにもちゃんと風抜けは確保されます。物流ドライバーのほか、大きなバッグを背負うフードデリバリーのワーカーさんにもいいかもしれません。
メ:これはハーネス着用時に役に立ちそうですね。
店:そう、いま高所作業で身につけるフルハーネス対応のファン付きウェアというと、インナーの上にハーネスを着用し、ファン付きウェアの背中にある取り出し口からランヤードを通すタイプが主流です。これ、聞いただけで面倒くさいのがわかりますよね。休憩の前後にどんだけガチャガチャやらなきゃいけないのって。でも、いま編集長が紹介した商品と同時発売されたアイトスのフルハーネス対応スペーサー付き空調服なら、普通の作業着と同じように上からハーネスを着用するだけでいい。着る側もラクだし、安全規則が守られているかチェックする側の管理者も助かります。
編:現場監督の立場では「内側に着用してます」は怖いですよね。外側ならベルトが緩んでいるのとかチェックできますけど。
メ:そうそう、ファン付きウェアをユニフォームにする場合の安全管理なんですけど、事務所に作業員のバッテリーを一括充電できる装置があると便利ですよ。空調風神服のサンエスが出している「バッテリー充電ステーション」のような。バッテリー切れで熱中症にでもなられたら大変ですから。
編:たしかに、会社はウェアだけでなくバッテリーやファンを含めたユニフォーム運用を考える必要があります。
●もっと涼しく着るには?
--そろそろ終りが近づいてきました。ファン付きウェアをさらに涼しく着るための工夫があれば教えて下さい。
メ:定番ですけど保冷剤ですね。接触冷感のコンプレッションウェアの上に、さらに保冷剤ベストを着る。シンプルにこれが一番涼しいと思います。ただし保冷剤は凍ればなんでもいいってわけじゃなくて、質のいいものと悪いものがありますから、注意して選んでください。いい保冷剤は、ゆっくり溶けて長いあいだ体を冷やしてくれます。ダメな保冷剤はすぐ溶けてただの重りになってしまいます。
店:私がおすすめしたいのは表面加工が施された高機能ウェアを選ぶことです。裏アルミや裏チタンといった遮熱コーティングに高いUVカット率を持つウェアを着用すれば、直射日光によるウェア内の温度上昇が抑えられます。つまり、いまKさんが挙げた保冷剤も、こういうウェアを選ぶことでさらにゆっくり溶けるようになって、効果を長持ちさせることができるわけです。
編:UV対策は大事ですよね。ただ日焼けがどうこうじゃなくて、直射日光を浴びると体を守るためのエネルギーを使うので、すごく疲れるんです。だからフードはかぶったほうがいいし、目が紫外線の影響を受けるのでサングラスもしたほうがいい。野生動物や昆虫も神経質なくらい直射日光を避けています。通勤時も日傘を使いましょう。
--最後にお聞きします。これからファン付きウェアはどんなふうに進化していくと思いますか。
店:まずワーキングの分野では、風量競争は当分のあいだ続きます。これはいいとか悪いとかの話じゃなくて、ユーザーが明らかに望んでいるからです。来年もパワーアップした×ボルトのバッテリーとさらに大風量を実現した新型ファンが登場するのは間違いないと思います。
メ:作る側としてはいろいろ思うところがあるけれど、仕方ないですね。
店:あとは、建設業以外にも軽作業やサービス業にファン付きウェアが展開し始めたのも興味深い流れです。それに加えてアウトドアウェアから普通のカジュアルウェアに波及していくのも。一般向けの用途だとワーキングのお客様が求めるほどの風量や稼働時間は要らないわけで、桑和のスターターキット用デバイスのようなモバイルバッテリーで稼働する低価格なものが主流になる可能性もあります。
編:そうですね。ファン付きウェアはもうすでに仕事で必要なユーザーには行き渡ってしまったので、「作れば売れる」時代ではありません。しかし、まだ一般用途の「定番モデル」は登場していないので、そのぶん今後が楽しみです。洗車や庭仕事、犬の散歩、ゴミ出し、草むしりといったちょっと体を動かす場面で、ほんとうに気軽に使えるファン付きウェアがあればいいですよね。配線や着脱といったデバイスまわりの仕組みがもっとシンプルで、見た目も日常に溶け込むようなものが。こういった商品が生まれれば、ファン付きウェアが一気に普及しても不思議ではないと思います。
--本日はありがとうございました!
--お疲れさまです。ここから先は「上級編」ですから、専門的な話をしていただいても大丈夫ですよ。
編:さっそくですが、私が気になっているのがファン付きのパンツなんですよ。さすがに上下で4つファンを付けるつもりはないんですけど、バックパックを背負うときなんかに「下だけファン付き」にするのも手だな、と。それで目的地に着いてカバンを下ろしたら、ファンを上着に付け替えて近くを散策したり、山歩きしたりする。空調服の場合、対応のパンツとロングケーブルだけ買えばいいので、いまちょうどいいパンツを探しているところです。
メ:いきなりマニアックな! それ、もはや作業服を超えてるじゃないですか。
店:いや、ファン付きウェアはおそらくこれからいろんな分野に広がっていきますよ。ワーキングの分野でも、最初は建設・土木系の熱中症対策だったのが、今やツナギに警備服、カッパ、ビルメンユニフォーム、コック服まで「ファン付き」のものが登場しています。このままあらゆる仕事服に広がっていくなら、アウトドアやレジャー用のウェアはもちろん、一般のカジュアルウェアまでファンが付くようになってもおかしくありません。
編:私は毎朝、公園を散歩しているんですが、去年の夏はファン付きウェアで歩いているおじいちゃんがいました。コロナで中止になる前は、小学校の運動会でもファンをブンブン回しているお父さんをちらほら見た。今は100人に1人かもしれません。でも、そのうち100人に5人になり、ゆくゆくは10人に1人になっていくのではないか、と。「普通の人にはまだまだ抵抗がある」と言うかもしれませんが、ワーキングの世界でも数年前までは「なにそれ!? ギャグか?」とか言われてたんですよ。空調服は女性専用のウェアを出しているし、中国産業は子供用のウェアと小型デバイスまで展開していますよね。あれもいつか時代が追いつくんじゃないかと思います。
店:そうそう、パンツといえば、これから買う人には「一体型デバイス」という選択肢もありますね。中国産業やクロダルマが展開しているケーブルレスのデバイスです。これならパンツを脱がずにデバイスを外から付けるだけで、すぐ「ファン付き」になります。片側だけに付けても、風が股からもう片方の足に回り込んでけっこう涼しいらしいです。
編:一体型はまだあまり普及していないものの、可能性を感じます。ケーブルがなければプラグ抜けや断線もないし、使わないときは卓上ファンにもなる(笑)。最近、女子高生がよく持ち歩いているハンディ扇風機に近いものです。で、私は思うんですけど、アレを学校の制服にカチャッと取り付けられるようにすれば……。
メ:発想がヤバいです!
●焦点はユニフォーム!
--さすがに飛ばし過ぎたので軌道修正して、ここからは最新のウェアについて語ってもらいましょう。
メ:ウェアのデザイン面でいうと、空調服とバートルの違いは大きいですね。空調服は基本的にユニフォームとして使えるようなものを揃えている。いっぽうバートルはカジュアルワーキングが中心で、カラーバリエーションの中に制服にもできるようなおとなしい配色もあるといった具合です。風神服も空調服に近いテイストです。
店:バートルの「エアークラフト」をユニフォームにする事業所も多いですけど、無難なデザインなら空調服かな、という気はします。
メ:あと、忘れてはいけないのがSDGs(持続可能な開発目標)です。自治体や企業は環境に配慮した活動をしなければいけない。空調服ってほとんどの人は熱中症対策のウェアと思っていますけれど、もともとは温暖化対策として発明されたもので、省エネのためのアイテムなんです。夏にエアコンを使わずに済めば環境負荷はかなり低下するはずだ、と。大きな組織は社会的責任もありますから、ユニフォーム選びにおいてもこういうことを意識しないといけない。暑いから空調服をユニフォームにしようか、となったとき「リサイクル素材を使ったエコマーク付きのウェアと組み合わせよう」といった発想が出てくる。制服の場合、デザイン性やカッコよさだけで決められるわけじゃないんです。
店:それは重要な指摘ですね。ファン付きウェアって、きっともう現場の職人さんには行き渡っているはずで、これからは会社や自治体のユニフォームが市場になりそうです。
メ:どこのメーカーも製造業や物流業をねらってるんじゃないですか? 編集長も取材でいろいろ聞くでしょ?
編:よくご存知で。とくに2022年の新作ウェアでは「サイドファン」が目立っています。これはファンを取り付ける穴をほぼ真横に移動させたもので、手を下ろすとファンに当たるような位置です。じゃあダメじゃん、と思うかもしれませんが、このポジションは「背もたれと干渉しない」という大きなメリットがあります。着たままクルマに乗っても、フォークリフトや重機を操作しても、ファンが背中にゴリゴリ当たらず快適です。たとえば、生協やネット通販の配達など、近距離を運転しながら配達して回るような人をターゲットにしています。長距離ドライバーと違って、こういう業務ってクルマのエアコンが効いてくるほどは運転しないし、マンションの中とか、意外と距離を歩く。しかも力仕事です。
●スペーサーで解決
--なるほど、でも運転中に座席にもたれたら風が抜けないのではないですか?
編:いい質問ですねぇ。たとえばアイトスが発表した2022年の新作、物流ドライバー向けの空調服では、サイドファン採用だけでなく、ウェアの内側に「スペーサー」が付いているんです。
--スペーサー?
編:要はウェアが押しつぶされないようにするための「凸」状の出っ張りです。これがあれば、背もたれに体重をかけても背中の空気の流れは確保される。またこのスペーサー自体、メッシュ構造になっていて内部に風が通るので、スペーサーが当たるところだけ熱がこもる、なんてこともありません。このスペーサーは前後に付いているので、両手で荷物を抱えたときなんかにもちゃんと風抜けは確保されます。物流ドライバーのほか、大きなバッグを背負うフードデリバリーのワーカーさんにもいいかもしれません。
メ:これはハーネス着用時に役に立ちそうですね。
店:そう、いま高所作業で身につけるフルハーネス対応のファン付きウェアというと、インナーの上にハーネスを着用し、ファン付きウェアの背中にある取り出し口からランヤードを通すタイプが主流です。これ、聞いただけで面倒くさいのがわかりますよね。休憩の前後にどんだけガチャガチャやらなきゃいけないのって。でも、いま編集長が紹介した商品と同時発売されたアイトスのフルハーネス対応スペーサー付き空調服なら、普通の作業着と同じように上からハーネスを着用するだけでいい。着る側もラクだし、安全規則が守られているかチェックする側の管理者も助かります。
編:現場監督の立場では「内側に着用してます」は怖いですよね。外側ならベルトが緩んでいるのとかチェックできますけど。
メ:そうそう、ファン付きウェアをユニフォームにする場合の安全管理なんですけど、事務所に作業員のバッテリーを一括充電できる装置があると便利ですよ。空調風神服のサンエスが出している「バッテリー充電ステーション」のような。バッテリー切れで熱中症にでもなられたら大変ですから。
編:たしかに、会社はウェアだけでなくバッテリーやファンを含めたユニフォーム運用を考える必要があります。
●もっと涼しく着るには?
--そろそろ終りが近づいてきました。ファン付きウェアをさらに涼しく着るための工夫があれば教えて下さい。
メ:定番ですけど保冷剤ですね。接触冷感のコンプレッションウェアの上に、さらに保冷剤ベストを着る。シンプルにこれが一番涼しいと思います。ただし保冷剤は凍ればなんでもいいってわけじゃなくて、質のいいものと悪いものがありますから、注意して選んでください。いい保冷剤は、ゆっくり溶けて長いあいだ体を冷やしてくれます。ダメな保冷剤はすぐ溶けてただの重りになってしまいます。
店:私がおすすめしたいのは表面加工が施された高機能ウェアを選ぶことです。裏アルミや裏チタンといった遮熱コーティングに高いUVカット率を持つウェアを着用すれば、直射日光によるウェア内の温度上昇が抑えられます。つまり、いまKさんが挙げた保冷剤も、こういうウェアを選ぶことでさらにゆっくり溶けるようになって、効果を長持ちさせることができるわけです。
編:UV対策は大事ですよね。ただ日焼けがどうこうじゃなくて、直射日光を浴びると体を守るためのエネルギーを使うので、すごく疲れるんです。だからフードはかぶったほうがいいし、目が紫外線の影響を受けるのでサングラスもしたほうがいい。野生動物や昆虫も神経質なくらい直射日光を避けています。通勤時も日傘を使いましょう。
--最後にお聞きします。これからファン付きウェアはどんなふうに進化していくと思いますか。
店:まずワーキングの分野では、風量競争は当分のあいだ続きます。これはいいとか悪いとかの話じゃなくて、ユーザーが明らかに望んでいるからです。来年もパワーアップした×ボルトのバッテリーとさらに大風量を実現した新型ファンが登場するのは間違いないと思います。
メ:作る側としてはいろいろ思うところがあるけれど、仕方ないですね。
店:あとは、建設業以外にも軽作業やサービス業にファン付きウェアが展開し始めたのも興味深い流れです。それに加えてアウトドアウェアから普通のカジュアルウェアに波及していくのも。一般向けの用途だとワーキングのお客様が求めるほどの風量や稼働時間は要らないわけで、桑和のスターターキット用デバイスのようなモバイルバッテリーで稼働する低価格なものが主流になる可能性もあります。
編:そうですね。ファン付きウェアはもうすでに仕事で必要なユーザーには行き渡ってしまったので、「作れば売れる」時代ではありません。しかし、まだ一般用途の「定番モデル」は登場していないので、そのぶん今後が楽しみです。洗車や庭仕事、犬の散歩、ゴミ出し、草むしりといったちょっと体を動かす場面で、ほんとうに気軽に使えるファン付きウェアがあればいいですよね。配線や着脱といったデバイスまわりの仕組みがもっとシンプルで、見た目も日常に溶け込むようなものが。こういった商品が生まれれば、ファン付きウェアが一気に普及しても不思議ではないと思います。
--本日はありがとうございました!