まいど通信


        

まいど! 編集長の奥野です。今月は久々の「安全スニーカー特集」をお届けしました。たしか最後に安全靴のメーカーレポートを載せたときの当コーナーでは「今の安全靴はものすごく進化してる!」といった感想を書いたはず。そんな記憶もまだ新しいなか、「たった1、2年で変化はあるのか?」という疑問を抱きながら始めた今回の取材でしたが、結果的には実り多いものになりました。すでにヒット作を出しているにも関わらず、さらに上を目指して新商品を開発し続けるメーカーの熱意には、感心を通り越して畏怖すら覚えます。安全スニーカーの見た目とスペックは、すでにスポーツショップの店頭に並ぶ靴のレベルを超えていますけど、ついに競技用モデルの背中が見えてきた、という印象です。いや、ひょっとしたら私が考えているよりワーカーとアスリートとの違いは小さいのかもしれません。

●新型コロナウイルス

普段あまり時事ネタは扱わないのですが、今回は何を差し置いてもこれに触れなきゃいけないでしょう。そう、新型コロナウイルス問題です。

先月、小笠原から帰ってきたときは、まだクルーズ船に患者が出たと報道されている程度で「ま、そのうち収束するでしょ」と気楽に構えていました。それが、あれよあれよのうちに日本どころか世界を揺るがすパンデミックに。この原稿を書いている3月中旬時点で、まったく収束の糸口は見えません。人の集まるイベントはすべて自粛。公共施設も学校もすべてクローズ。まるで戦争中のような事態です。

この世相をひとことで言えば「すごく疲れる」ですね。

以前から、通勤電車など人ごみの中に入るときはマスクを着用し、風邪やインフルエンザ予防を心がけていました。ただ、それはあくまで自己防衛のため。対して、今回のケースで恐ろしいのは知らずのうちに家族や知人に感染させることです。自分がいくら元気でも、いろんな場所に行ったり人に会ったりするのは憚られる。電車の中やカフェで咳やくしゃみが出そうになっても、いちいち周囲の目を気にしなければならない。ひとつひとつはちょっとした心配や気がかりに過ぎないものの、毎日毎日、いつ終わるかもわからず警戒を続けていると、積もり積もってけっこうすごいストレスになります。子供も一斉休校でずっと家に居るし「ホントもう勘弁してくれ!」という気持ちです。

みなさんがこの「まいど通信」を読むころには、「ありゃ大変だったね~」と笑って話せるようになっていればいいんですけど、一体どうなることやら……。

●ポジティブに考えよう!

一連の騒動による経済活動の麻痺、マスクの転売、トイレットペーパーの買いだめなど、嫌なニュースばかり目につきますが、ここではあえて「新型コロナ騒動でよかったこと」をポジティブに語ってみようと思います。

個人的にいちばんすごいと思ったのは、通勤ラッシュの緩和です。

3月初旬の東京出張では、新幹線も電車も空いていてかなり快適でした。いつも東京に行くときは「絶対にラッシュに巻き込まれたくない!」「時間をずらして移動しなければ……」と戦々恐々としていたのですが、今回は帰宅時間帯でもぎゅうぎゅう詰めにされずに済んだ。通勤ラッシュさえなければ東京はいい所なのに、と普段から思っている地方民にとっては、ささやかなグッドニュースです。

時差通勤やらテレワークやら、首都圏の通勤ラッシュ打開策は何十年も前からずーっと議論されていました。でも実行する人は少なく、「もう誰も本気で解消しようなんて思っていないんだろう」と諦めていたんです。ところが、今回の騒動では目に見えて混雑がなくなっている。思わず「やればできるじゃねーか!」と叫んでしまいました。

私は自宅ワーカー歴10年以上になるので、テレワークのキツさはよくわかっています。ここにも何度か書いていますけど、自らコンディションを整えたりペース配分したりと、持続可能な形で働き続けるのはけっこうしんどい。会社側から見ても、従業員をオフィスに集めて一斉に働かせた方が効率がいいのは間違いないでしょう。自宅で働いていると、衣食住にかかわる雑事や家族の世話といったアレコレに巻き込まれ、生産性はダウンするからです。

しかし、視野を広げてみれば、効率の悪さを上回るメリットもありそうです。テレワークによって育児や介護と仕事とが両立できるとなれば、企業は求人の幅を広げて人手不足を解消できるし、それぞれの家庭事情に応じた働き方ができるなら、労働者も仕事を続けやすくなるでしょう。結果的に家にいる日が多くなれば、家事の分担や子供の教育、地域活動などにもプラス効果があるかもしれません。

あとは環境負荷の軽減でしょうか。すでに中国の都市部ではコロナ対策の移動自粛によって大気汚染が解消したという報道があります。日本でもクルマが減る、オフィス街のエネルギー消費が抑えられるといった効果が期待できるかもしれません。一方で家庭の電力消費やゴミの量が増えるといった問題もあるでしょうけれど……。

数カ月後、新型コロナが収束すると、とたんに首都圏の通勤ラッシュが復活した――。少なくともそんな風にはなって欲しくないですね。通勤ラッシュは過去のものにしましょう! ついでに確定申告の期限も今回のように延ばしてくれたら、すごく助かります!

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というわけで、ウイルス対策でお疲れムードのなか、最後まで「月刊まいど屋」をご覧いただき、ありがとうございました。次回こそは、明るい話題をたくさん提供できますように!