【ヒラノ産業】雨、のち快適、ときどきハッピーimage_maidoya3
昭和30年に創業されたヒラノ産業は、もとはゴム手袋のメーカーだった。レインスーツは15年前から販売を開始。以来、リーズナブルで機能性の高い商品コンセプトで着実にファンを増やしてきた。ホームセンター、ワークショップ、傘問屋など、販路も拡大しているため、読者の中にも同社商品を目にしたことがある方が多いだろう。
 後発メーカーでありながら競争の激しい業界で生き残ってこられたのは、「正直なモノづくり」に徹してきたから。価格を抑えながら、あくまで品質を重視する商品政策を貫き、不良率は他社に比べて格段に低い。
 春先に雨が多い年は、本格的な梅雨になるという。その伝でいくと、「今年の梅雨はかなりの豪雨が続くかも」と同社の営業担当者が笑顔で話していたのを思い出した。そこで今回の特集に合わせてヒラノ産業の東京本社を訪れ、今シーズンイチオシのアイテムを取材してきた。

ヒラノ産業
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ヒラノのショールーム。ずらりと並ぶ商品は全てレインスーツ。豊富です。
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自社製品の説明をする営業部部長、比嘉賀彦さん。
 創業時は家庭用手袋。その後レインコートに移行したため、後発になるが、海外生産は台湾、中国、ミャンマーと幅広い。ヒラノ産業は何故こんなに伸びて来たのか?「20年前から自社生産を始めました。それまではレインコートは女性用が主体。作業用は、重くても丈夫なら良かった。それが徐々に軽くて丈夫で蒸れにくいに変わって来た。品質を上げる事に力を注いだんです」(営業部部長、比嘉賀彦さん)。
   ヒラノ産業のレインコートのバリエーションは豊富である。「雨だと現場ではカッパを着て仕事しなくてはいけない。であれば強くて動きやすいだけでなく、ヘルメットも使えるようにするとか、色んなパターンを考えるんです。カッパというのは本当は面倒で、誰も着たくはないものだと思います。それをどうやって着てもらうかという工夫が一番大事なんです」。こういう現場ではこういうものが必要だと場面を想定して発想していく。それがヒラノ産業の企画力の根幹であり、発展している理由かもしれない。「私共は現場に出て、お客さんに直接意見を聞く事すらありますから(笑)」。
   「カッパは基礎からちゃんと作らないと駄目。うちは担当が毎月海外工場に出向き検品し、いい素材がないかと目を光らせています。品質のせいでなくても、汗をかいた事で濡れたと思われる事もありました。高価な素材は使わずにベンチレーション機能を効かせ、価格を抑えた。高くていい商品ではなく、いい商品で価格を抑えます。モノづくりに関してウチはバカ正直な会社です」。
   最後に理想のレインコートについて聞いてみた。「天気によって売り上げに波があります。一番いいのは『降らなくても売れるカッパ』がこの仕事の理想です」。
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比嘉部長が中国から持って来たという耐水圧機。これで自社でも耐水圧のチェックをしているという。