【濱田屋】異端か、正論か?パンは立派な和食であるimage_maidoya3
 三軒茶屋にある、一見パン屋さんとは思えない店構えの、個性派有名店「濱田屋」。和食店のような店構えもさる事ながら、店員や製造スタッフのユニフォームは、なんと作務衣!近年店鋪が増え続け、競争が激化しているこの業界で、「濱田屋」は店鋪を増やし、駅構内には新展開の「満」を曙橋、品川、日暮里の各駅にもオープンしている。2005年にはアメリカにも2店鋪を構え、進展著しいと言うしかないだろう。今回は、業界の台風の目のような存在になりつつある「濱田屋」の創業店鋪である三軒茶屋店にうかがい、濱田屋のブレイクの秘密やパン作りへのこだわりについて、製造長の圷さんにお話をうかがって来た。

濱田屋
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元はお寿司屋さんの店鋪をそのまま使った和風の店構え。
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こちらも元はお寿司屋さんのカウンターに寿司ネタ・ケースだった。最近改装されたが、どこかに面影が。
 創業は2000年。創業10年になる。発展著しいイメージの「濱田屋」だが、ここまで来るには並大抵の苦労ではなかったようだ。「最近では乳製品の値上がりなんかもあって、値段の維持も大変でした。元々、路面店で、地域の方に毎日来てもらえるパン屋を目指そうと言うのが濱田屋の始まりでした。例えば駅中の店「満」でも出しているパンは濱田屋と同じですが、地域密着と言う濱田屋のポリシーからは外れるので名前を変えたんです」(圷邦晃さん、製造長)。それほど濱田屋では地域との関わりを重視している。「パンはもう和惣菜、ご飯と変わらないんじゃないかと言うのが根本的な考え方です。和風の店をまわり、三軒茶屋で元お寿司屋さんの空き物件があった。今の店のショーケースは改装前はお寿司屋さんのカウンターだったんです」。思いきった発想だが、型にハマらない自由な発想こそが濱田屋の持ち味である。ヒジキやキンピラのパンなんてここでしか食べられないだろう。「接客の中でお客さんと話す事が、うちの一番の持ち味だと思います。そのためにトレイで運ばずに対面販売もしているし、どんなパンを食べたいか聞くこともできる。パンの事でなく日常の事でもお客さんが話してくれたら嬉しいです。地域密着が濱田屋のスタイルですから。パン作りに関しては、美味しいのも安全な事も当たり前になって来ていると思います。その中で、材料へのこだわりなどのプラス・アルファを提供していきたいんです」。
   作業着として、コック・コートを使わず作務衣を使っているのも、和惣菜的なパンを追求する濱田屋ならではの自由な発想のたまものだ。「見た目が個性的でもあり、動きやすいのがいいですね。パン作りは拘束時間が長くて大変な仕事ですから。作務衣の藍染めがジーンズ的でカッコよくもあり、汚れも目立たないと言う利点もあります。頭には濱田屋の手ぬぐいを巻く。これも使いやすく感じています」。パン業界にも、自由な発想で作るという波がやって来ているのかもしれない。
 
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パン製造中の作務衣姿。夏場なので上は藍染めのTシャツ。手ぬぐいも粋な感じです。
 

    

アクセサリー

アクセサリーにまでこだわれば、コーディネートの完成度はより一層高まる。素材の風合いや色使いまで、和風ならではの深い味わいが魅力的。