安全靴・長靴・足袋・ミズノ F1GC2001 FREEROAD　GS ならまいど屋

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ミズノ F1GC2001

FREEROAD　GS

　仕事には黒の革靴を。昭和世代が幅を利かすその男の職場では、当時そんな不文律がまかり通っていた。それは明確な社内規則ではないにせよ、そこにいる者がみな従わざるを得ない強制力を持つという意味においては、ほとんど制服と同じ位置づけだった。そして若い従業員たちが不満を持っていたのは、まさにその点だったのである。選択の自由がないにもかかわらず、靴は自前で用意することになっていた。自分のカネを使って不細工なシューズを買い求めることほど胸が痛む経験は、彼らにはなかった。さらにはそれを着用し、実際に動き始めてみると、今度は足が痛んだ。作業用の革靴は何かのジョークかと思えるほど硬く、足に馴染むまでには絶望的なほど時間がかかるからだ。彼らにはそうすることの意味が解らなかった。ありとあらゆるコンフォートを謳う商品が溢れるこの時代に、なぜこれほどの苦役を背負わなければならないのだろう？だから、とまいど屋はその男のために弁解をしたくなるのである。確かに男がとった行動は許されることではないが、彼には彼なりに切羽詰まった事情があったのだ。男は他の若手社員と同様、足を痛めていた。そして靴擦れがひどくなり、もう働き続けられそうになくなったある日、男はアシックスの作業靴を買い求めた。それは革靴とほとんど変わらない見かけだったが、足入れ感は雲泥の差だった。ソフトで足馴染みが非常によく、なにより驚くほど軽い。アウトソールにある屈曲溝のために歩行はスムースで、これなら長時間の残業をしても疲れが残らない気がした。男はそれを履いて仕事に出るようになった。皆さんが知るあの事件が起こったのは、男がアシックスにチェンジしてからおよそ一か月たったあの日のことである。男が見違えるように生気を取り戻したのを不審に思った先輩の一人が、男を注意して観察し始めたのだった。そして午後になって、とうとう男の靴のベロにある小さなミズノのロゴを見つけてしまった。さらにはスピーディーな着脱をサポートする内側サイドの伸縮スリットまで。それが決定打になった。合成皮革ですが、耐久性は革靴と変わらないんです、と男は弁解した。その通り、それは革靴じゃない、とベテランの一人が強い口調で言った。革靴に見えるが革靴じゃない。お前のようなやつはウチの社員じゃない。その言葉に男はかっとなった。仕事に役立てば、それでいいじゃないですか、僕の働きがよくなれば、会社のためになるじゃないですか。男はそう言い返していたと、目撃者は証言している。そして正論は、ときとして相手の感情を不必要に刺激し、取り返しのつかない事態を招くことがある。ともあれ、険悪な雰囲気の中、そもそも僕のカネを何に使おうが、僕の勝手なんです、と男は最後に言ってしまった。それが引き金になって、あの不幸な出来事が起こってしまったのだ。なお、あれから一年が経ち、関係者がようやく重い口を開いて語ったところによると、男がいた会社では、男が履いていたアシックスが会社指定の正式な作業靴として、今では支給品になっているのだという。革靴にこだわり続けていた古い社員たちもみな、その優れた性能を認めて、仕事には黒のアシックスを、を新たな合言葉にしているようなのだ。油の上でも安心の耐油仕様。アウトソールには買い替え時期を知らせてくれるスリップサイン付き。

■　メーカー：ミズノ

■　型番：F1GC2001

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