難攻不落の女がいた。女はどんなつわものの誘いにも乗ったことがなく、男たちの間では奇跡の女と呼ばれていた。話術が巧みだと自認していたプレイボーイは、女の美貌を言葉巧みに褒めそやしたが、女からは逆にアリストテレスの美の形相について見解を問われ、あえなく撃沈した。力ずくで連れ去ってやると豪語していたマッチョマンは、二人で入ったバーで先に酔い潰されてしまい、店内のカウンターで突っ伏したまま置いていかれた。エルメスのバーキンを差し出した金持ちの男は、翌日にはそれがヤフオクで売りに出されていることを知って、カネでは買えないものがあることを思い知らされた。あるとき、絡み癖のある男が、どうしてそんなに冷たい態度をとるのか、女に聞いたことがある。どいつもこいつも、そしてあんたも、実力が足りないのよ、と女は馬鹿にしたように答えた。私だって一度くらいは経験してみたいのよ。でも、いつも熱量が弱すぎて、私には響かないのよ。それから急にうっとりした目つきになり、男にこう云った。燃え上がりたいのよ、私だって。何かに焼き尽くされて、天まで届く炎を上げてみたいのよ。でも、全然燃えてくれないの。焦げる気配すらないのよ。ねえ、私に火をつけてよ、お願いだから。最後の言葉は哀願するような口調だった。男は女の内部にある狂気を感じ取り、絡むことを忘れて慌てて退散した。あの女は、噂の通り、攻略不可能だ。どんな熱いアプローチでも、あの女をその気にさせることはできない。要するに、奇跡は起きず、全てのチャレンジは無駄骨だ。後日、絡み男は自身のSNSにそう記している。面と向かっては絡み切れなかった男は、あれは湿ったマッチだ、料金未納の家に据えられたガスコンロだ、と女を悪しざまに書くとで、多少のうっ憤を晴らしたのである。溶鉱炉の前や、溶接作業時に。スパッタ、火炎、熱などと格闘するワーカー諸氏に特別なウェアを。万一の接炎でも燃え広がらない。溶けて肌にくっついたりしない。クラボウの難燃素材、ブレバノプラスを使った防炎対策用ワークギア。難燃ウェアの中では極めて珍しいストレッチモデル。ボタンやファスナーが表に出ないスクラッチガード仕様。胸ポケは野帳がすっぽり入る大型タイプ。イヤなニオイを防ぐ消臭テープ付き。*SSとSサイズは女性のボディーラインをより美しく見せるレディースシルエット仕様です。
■ メーカー:桑和
■ 型番:6052-00


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