処刑室に連れてこられたような気分がした。身体のあちこちに電極をあてがわれ、後はそのときを待つばかりとなってしまった今、私は極度の緊張で筋肉をこわばらせているのだった。きっともうすぐ神父がやって来て、私にとってはもうどうでもいいような話を芝居がかった口調で続け、それに対して私は失せやがれと最後の悪態をつくのだろう。そして係官が憐みに好奇心が入り混じった目で私を見下ろしながら、何か望みはないか、とこれまた間の悪い素人演技を、まんざらでもなさそうな顔で披露するのだ。失せやがれ。通常の執行とは異なり、スイッチは係官ではなく、私の手に握られていた。私は私の運命の瞬間を、自分自身で決定する権利を与えられていた。気が変わらなければあと1分の後に自分に肉体に起こるはずの変化を、私は想像できた。あと45秒。予想に反して、お節介な神父は現れなかった。あと30秒。私の心臓は制御不能になったポップコーンマシーンのような音を立てて暴走を始めていた。あと15秒。私の望みは、ただ安らかな感覚に包まれて昇っていくこと。あと10秒。なぜか辛かった現場の記憶が脳裏に蘇ってくる。あと5秒。私はスイッチに手を掛けた。そしてそれから、ウェア各所に取り付けられ、私の身体の各部位に押し当てられていたペルチェが、音もなく作動し始めるのを、私ははっきりと感じ取った。夏、冬、無敵。猛暑の季節には肉体の熱を奪い取る冷却機に、極寒時には身体を芯から温めるヒーターに。電気のチカラでピンポイントに温度調節可能な高性能ペルチェギア。ハーネスを装着しても着用できるフルハーネス対応モデル。激しい動作にもしなやかにフィットするストレッチ仕立て。イヤなニオイを防ぐ消臭テープ付き。*この商品はP119ペルチェベスト、P1882ペルチェセット、P1883モバイルバッテリーがセットになったコンプリートモデルです
■ メーカー:村上被服
■ 型番:PV111

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