もしも生まれ変われるとしたら、皆さんは何になりたいですか?私の妻はですね、木になりたいと言っていました。ひとが足を踏み入れることのないどこかの山奥で、独りで空に向かって枝を広げていたいと。正直に申しますと、生まれ変わってもまたあなたのお嫁さんになりたいとか何とか、そういう答えを期待していたんですがね。それで、そんな所には気味の悪い虫がいっぱいいるよとか、木こりが来て切り倒される可能性があるよとか、色々と翻意を促してみたんですがね、彼女は頑として木になりたいのだと言い張りました。それなら僕は鳥になるよ。私は考えた末に、彼女にそう言いました。鳥になって、君の枝の上にとまっていよう。悪い虫とか木こりが来たら、やっつけてあげられるように。すると彼女は真顔になって、来世でまで私と関わりを持つなんて真っ平だと言ったのです。ちょっとしたファンシートークをして休日の午後に潤いを求めただけなのに、何ですかね、それは。ともあれ、私は少なからず傷ついて、葉山の海岸通りまで車を走らせました。そして海沿いの駐車場に車を止め、江の島の方角に向かって歩き始めました。トンネルを抜けて材木座辺りに来ると、江の島の上空がうっすらとオレンジ色に変わり始めています。背中は汗ばんでいましたが、それほど不快感はありません。右手に携帯を、左手には自販機で買ったペットボトルを持って、私は海沿いの珊瑚礁を目指して歩き続けました。そこは昔、彼女とよく出掛けた、雰囲気のいいカレーショップです。歩きながら何度もラインを確認しましたが、やっぱり彼女からのメッセージはありませんでした。漁火が赤々と燃えるその店の前まで来ても、私の携帯は無言で私の手のひらに収まっているだけでした。私は中身が半分残ったペットボトルを砂浜に向かって投げ捨てました。波打ち際まで届きそうなくらい、思いっきり遠くまで。ペットボトルが砂浜をコロコロと転がり、やがて静止したのを見届けて、私は元来た道を引き返し始めました。私が着ていたバートルのポロシャツは、相変わらず爽やかな状態を保っています。葉山に通じるトンネルに入ったときには、空気がヒンヤリと感じられたくらいですから。トンネルの中央で歩みを止め、私は後ろを振り返りました。そこには、半円形に切り取られたオレンジ色の空がありました。前を向くと、同じ形の半円が濃紺に染まっています。そしてそのとき、私の頭に輪廻転生の具体的なイメージが浮かんできたのです。私は珊瑚礁の前の海岸まで取って返し、転がっていたペットボトルを拾い上げました。中身を飲み干し、キャップを外して、近くのコンビニにあったペットボトルの回収ボックスに投入しました。今度生まれ変わったら。私は心の中でそう呟いて、回収ボックスをポンポンと叩きました。バートルのポロシャツになるといい。また巡り逢ったら、今度は絶対に粗末に扱わないから。海岸沿いの134号線を歩きながら、私はスマホに表示されている妻の名前をタップしました。彼女が設定している呼び出し音のメロディーが、潮騒に交じって心地よく耳に響いてきます。彼女が応答したら、今夜はカレーにしようよと提案してみるつもりです。ペットボトルを原料にして作られたSDGsモデル。汗をかいてもサラリとドライな肌当たりをキープする吸汗速乾仕様。有害な紫外線から肌を守るUVカット機能付き。ボディーラインに心地よくフィットするストレッチ性もマル。*SSとSのレディースサイズはボディーラインをよりキレイに見せるジャストフィットシルエット仕様です。
■ メーカー:バートル
■ 型番:167
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