【富士手袋】ガテンなココロを惑わす実力集団image_maidoya3
通称「フジテ」。ガテン系のワーカーの間では比較的知られた名前だ。安全スニーカーやヤッケ、鳶さん用のレインスーツなど、頻繁に買い替えが必要なジャンルにめっぽう強い。デザインがこなれていて価格も安い。働く人間のキモチをしっかり理解してなきゃ生まれようがない、ツボを押さえたアイテムが目白押し。近所の作業服店で、その名前を聞いたことがあるひと、あるいは実際に商品を買ったことがあるひとも多いと思う。本来なら、「富士手袋」としてまいど屋でもブランド登録し、販売したいところ。。。
  まいど屋で「フジテ」がノーブランド扱いされているのは、彼らの一番のウリである「機動力」が原因だ。旬のアイテムが次々登場しては消えていくから、メーカーとしての正式な総合カタログがつくれない。やむなくまいど屋では、これはと思ったアイテムに限り、「ノーブランド」商品として販売している。紹介できているのは、膨大な数の商品の中の、ホンの一部。ファンの皆さんには大変申し訳ないが、写真撮影やデータ登録が追い付かないのだから仕方がない。だが、自信を持って、確実にオススメできる人気商品ばかりだとイイワケしておきたい。
  今回の特集は、まいど屋で正式デビューしていないフジテのラインナップを読者のみなさんにお伝えできるまたとないチャンス。東京支店の上田専務に彼らの商品の魅力について、詳しくお話を伺うことにする。

富士手袋
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取材に応じてくれた専務の上田さんと部長の根来さん
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オシャレなスタイルが人気の安全靴
「社名に手袋、とついているとおり、約80年前から手袋・靴下の専業でやっていました。ただ、経済情勢やニーズの変化に伴って、それだけではやっていけないのでは、という不安も出てきた。そこで、10数年前からワークショップで取り扱っている作業用品全般を作るようになりました。現在、10,000アイテムほどの商品があり、主力商品は約半年分の在庫を確保しています」。そう話してくれたのは、東京支店の上田専務。
  「どんどん商品を出しているように思えるかもしれませんが、企画から実際の商品になるまでに、約10カ月かかっているんですよ」。インタビューが始まってすぐ、彼らのスピード感にまいど屋がついていけないとグチをこぼすと、上田専務は笑いながらこんな答えを返してきた。「世に送り出す商品に妥協はしたくない。だから、工場でサンプルを作る、改良点を出す、また新たなサンプルを作る、ということを繰り返しているんです。あえて速さの秘訣を言えば企画・開発部門が市場と生産に精通していること。しっかり準備ができているので、やろうと思ったら取り掛かるのが早い。あとは、開発した商品をすぐに製造してくれる工場を確保していること。これがかなり大きい」。
   自社開発と工場の確保。この二つによって、フジテの新商品開発は猛スピードで回転する。しかし、すでにリピート力のある定番商品を数多く揃えていながら、なぜこれほどまでに、新商品のリリースにこだわるのだろう?「われわれが商品を作ろうとする原動力は、“お客様が求めるものを提供したい”という強い思いです。たとえば、靴が蒸れる、という苦情がきたら、“じゃあ蒸れない靴を作ろう”となるし、カッパが重い、という声を聞けば、“軽いカッパを作ろう”となるし、もっとオシャレな安全靴があれば、という声を聞けば、“オシャレな安全靴を作ろう”となる。それを繰り返しているうちに、商品数が際限なく増えてきた。増えすぎちゃって困るから、使命を果たしたと判断した商品はタイミングを見て廃番にしています」。
   フジテが販売する商品の中には、万人受けするものもあるし、専門的なものもある。マニアックなものや、隙間商品もある。思いついたアイデアを手当たり次第に商品化しているように見えるが、開発をスタートするための条件はハッキリしているという。「大事なのは、“目的”です。誰が何のために使うものなのか、それが明確でないものを作ることはありません。すべての商品に目的があります。たとえば、これもそうですね」といって取り出したのが、鳶かっぱる(型番:1805など)だ。「鳶職人が作業しているのを見ていると、超超ロングと呼ばれる、太もも部分に膨らみのあるズボンをはいているのに、カッパは普通のカッパを着ている。“あれは不便だろう。ズボンと同じ形にすればいいのに”という発想から生まれました。今では、当社の人気商品の一つになっています」。
   ありそうでなかったモノ。誰もが想像すらしていなかったアイテム。そんな商品を作り出し、ユーザーにこんなのが欲しかったと思わせてしまうのがフジテの得意ワザ。ただ、もう一つ見逃せないのは、クオリティーに対する彼らのコダワリの強さだろう。後から同じような商品を作るところが出てきても、多くのユーザーが引き続きフジテを指名するのはなぜか。価格競争が始まってもなお、リピートオーダーが途切れないのはなぜか。「作業用品のほとんどは消耗品です。お客様の多くは、最初は安いから買ってくれることが多い。ところが、安かろう悪かろうでは、次の注文は来ない。最終的にはやっぱり品質が重要なんです。ヤッケシリーズ(型番:2105など)や安全スニーカー(型番:5008など)など、ウチの商品の多くは、何度も買ってくれるお客さまが本当に多い。価格以上の品質を保証すること。要するにコストパフォーマンスが高いこと。お客さまはそこをしっかりと見ているんだと思います」。
  ユーザーの満足度をとことん高める。品質はよく、価格は安く。言うは易し為すは難し。それを難なくやり遂げてしまう秘訣を聞くと、「大量生産する、利益を薄くする、製造のほとんどを中国の工場で行う。中国製に不安を感じる人もいるかもしれませんが、実は中国では、工場によってまったく製品の質が違う。ですから、中国の工場も、いいものを作るところを厳選しています」と、答えてくれた。さらに、カッパならカッパ、靴なら靴と、それぞれ専門の工場にお願いする。そうすることで、工場がもっているノウハウを生かしつつ、品質のいいものができるという。
  「現在も靴だけで4アイテムの新商品を開発中なんですよ」。最後にそういいながら、試作段階のサンプル品を内緒で見せてくれた上田専務。「ノーブランド」とするには惜しいくらいの出来栄えのよさ。まいど屋ではこれからも、フジテの動向を注意深くウオッチしていきたい。そして、引き続き、厳選したアイテムをサイトの中でご紹介していきたい。知る人ぞ知る、「ノーブランド」商品として。
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所狭しと置かれた、約半年分の在庫
 

    

◆スタイリッシュなデザインと価格が魅力の5008シリーズ

スタイリッシュなデザインが大人気!エナメルボディに5本ラインが印象的な安全スニーカー。耐油性のラバーを使った靴底は、滑りにくいため作業性も良好。お求めやすい価格も魅力。つま先にはJIS S級相当の樹脂先芯入り。


◆風除けや汚れ作業に最適!ヤッケシリーズ

リピート率が高いロングセラー商品。ウインターシーズンの風除けに、内装、電気業などの汚れ防止に。風を通さないので、セーターなどと合わせれば、暖かさも◎。カラーバリエーションも豊富なので、好みに合わせて選べるのもGOOD。汚れたら使い捨てできる、低価格もうれしい。