【フルハシ繊維】コダワリを詰め込んだ必需品image_maidoya3
まいど屋で販売するノーブランド商品の魅力の一つは、消耗品であっても、「出荷単位」がないこと。とあえず1個から買えるから気軽に試せる。また、目当ての商品をバスケットに入れたあとの金額調整にも重宝する。例えば買い物の合計金額が1万円に少し足りない場合。絶対にムダにならなくて、なおかつ安く買えるアイテムを追加してみるのもいいだろう。送料をなくす目的のついでの買い足し。そんなときにまず真っ先にチェックしてみたいのがノーブランドの消耗品だ。
  まいど屋で「ノーブランド」登録されているアイテムは、数ある中からとくに価値がある商品を選りすぐっているから、品質の面でも安心できる。フルハシ繊維の軍手もその一つ。古くから軍手の産地として知られる愛知県の老舗メーカーならではの品質とコスパの良さは折り紙付き。独特のフィット感でも知られ、長年愛用するファンもかなり多い。
  もともと軍手を探していたひとにも、送料対策でなんとなく軍手を探しているひとにもオススメのフルハシ繊維。同社代表取締役 古橋雄太郎さんに彼らの作業手袋の特徴について、詳しくお話を伺ってきた。
 

フルハシ繊維
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広い工場内では編み機が休みなく稼働している。
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見るからに風合いが違う『日本一軍手』(左)と『ハイゲージ軍手』(右)。
968年創業のフルハシ繊維工業。その歩みは一風変わっている。昭和初期、先々代が農業開拓民としてこの地に移住。戦時中、マニラ麻が手に入らなかったことから、代用品としてマオラン麻を栽培し、自家用にロープを作ったのがそもそもの始まり。農家からロープメーカーになり、戦後、全自動編み機が登場して量産できるようになった頃に軍手に参入した。なお、愛知県三河地方は、中古衣料(物古衣料)の集積地で、それを原料にウエスやモップなどを生産する工場が多数あり、同様の理由で軍手メーカーも多い。
  「消耗品である軍手は、リサイクル製品の最たるもの。軍手の素材は、主に綿、ポリエステル、レーヨンですが、この工場(愛知県田原市)で使っている原材料は、国内の大手紡績工場で発生する不良糸や、市場に出せないB級繊維、裁断クズなど、処分するにもコストがかかるものばかり。だから国内でも安くできるんです」。B級糸はそのまま使うこともあるが、多くは細かく裁断して一度ワタ状にし、綿を加えて混紡糸にしてから編み上げる。そのため、化学繊維が安いときは化学繊維の混紡率が高くなり、綿が安いときは綿の割合が多くなるという。
  「これが、市場に最もよく出回っているタイプの軍手です」。そう言って見せてくれたのは、安さがウリの『日本一軍手』。「糸を2本使って編み、1ダース(12組24枚)あたり約600g。このクラスの商品はお客さまが特に価格に敏感ですから、ウチでも中国で生産したものを販売しています」。
  確かにまいど屋でも売れ筋のフルハシ繊維の日本一軍手。だが、同社の本当の魅力は工夫を凝らして自社工場で生産した、付加価値の高いその他の製品にある。その一部をご紹介すると…
  「これが『ハイゲージ軍手』。スタンダードな軍手に比べて、しなやかでフィット性がいいですよ」。そう言って、古橋社長がハイゲージ軍手を手渡してくれた。はめてみると、確かに手に吸いつくような感じがする。「独特の装着感があって、作業性が高いので、一度使ったお客さまからのリピートが非常に多いんです。当社はハイゲージ編み機を早期に導入したのですが、当初は時期尚早で全く売れず、仕方なく安く売った。結果的に、それがよかったんですね。しばらく経つと、また同じものを送ってくれと催促が来る。たまたま欠品しても、他のじゃダメだって。できるまで待つから、できたらすぐ送れって(笑)。その時以来のお客さまが、今でもたくさんいらっしゃいます」。
  ちなみにゲージとは、編み機に使われる針の本数(1インチあたり)のことで、一般的な軍手は7本の針で編む7ゲージ。これに対し、10ゲージ以上で編むものをハイゲージという。編目が細かくなる分、生地が薄くなるため、重量も1ダース450gと軽い。同社では、ハイゲージ軍手の特徴であるフィット感をより高めるために、7ゲージ軍手より0.5cm小さく作っているそうだ。
  次に紹介してくれたのは『シノ軍手』。“より”をかけずに作った糸をシノ糸といい、これで編んだことから、こう呼ばれている。「『シノ軍手』は、国内でより安く作るために生まれた軍手です。糸をよる工程を無くすことでコストを抑え、しかも、ふんわりと厚みがあって見栄えもいい。でも、シノ糸100%では摩耗に弱いので、現在では長繊維(繊維の長いもの)を混ぜて強度を上げています」。そう言いながら、古橋社長は「ほら、こんなに厚みが違うでしょ」と、ふんわりとした『シノ軍手』と中国製『日本一軍手』の10ダース束(重量は同じ)の高さを比較して見せてくれた。
  「軍手は、もともと日本で作っていた価格の安い消耗品です。ですから当社では、その時々の安くてスタンダードなものに比べてどうかという視点で商品開発を行っています。今の時代でいえばスタンダードは中国製品。これと比べた場合にどうかが、我々に問われていると思います」。
  国内他メーカーが自社生産をやめて商社化する中、国内とフィリピンの自社工場で価格競争に負けない製品を作り続けているフルハシ繊維。まだまだ紹介しきれていない商品もあるので、興味のある読者は是非、以下をチェックしていただきたい。
 
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廉価品『日本一軍手』(左)と風合いのある『シノ軍手』(右)。 並べてみると、厚みの違いがよくわかる。
 

    

◆薄手でフィット感も良好なハイゲージ軍手

一般的な軍手よりも細かな編目で編み上げることで、柔らかくしなやかなフィット性を実現。薄手なので手指が動かしやすく、指先の感覚を大切する作業にもオススメ。


◆手が大きな人もぴったりフィットのサイズ付き軍手

“ヨリ”の少ないシノ糸の風合いを活かしつつ、長繊維をプラスして強度をアップ。破れにくい、摩耗に強い、厚みがある、の3拍子揃ったスグレモノ。Lサイズは、Mサイズに比べて全長で2cm大きく、スタンダードサイズの軍手では窮屈という人向き。