【開発編】まいど屋とズラのレゾンデトールimage_maidoya3
ひとは一日中働いているワケじゃない。会社にいるのは週に5日。せいぜい、一日8時間。もちろん、オンタイムの間は懸命に働く。ベストを尽くす。だけど、それが人生の全てじゃない。子供の頃から付き合いのある大切な親友だっているし、彼女との時間も大事にしたい。親の代から世話になっているひとから連絡があったら、何をおいても駆け付けたい。そしてひとが生きていく中で本当に大切なことって、実はそんな仕事以外の日常の中にこそ隠れている。
  まいど屋は確かに仕事に役立つアイテムを数多く取り揃えている。この分野では、おそらく、日本最大だろう。日本全国のお客さまからそれなりの評価もいただいている。でも、それがどうしたとときどき思う。これだけ大量の商品を取り扱っていたって、ひとが本当の意味で必要とするもの、有り体にいえば、人生の恩寵となるもの、生きていく意味を与えてくれるものなんて何一つない。空虚感がまいど屋を少しずつ蝕んでいく。
  まいど屋をまいどズラの開発へと突き動かしたもの。幾多の苦難に直面しながら、それでもズラへの情熱を失わなかったワケ。このレポートは、まいど屋が絶望と苦悩の中で一筋の希望の光を見出し、その光源に恐る恐る近づきながら、最後にたどりついた真理をズラへと昇華させた物語である。まいどズラのトリセツにはこうある。「まいど君の髪形を手軽に試せるまいどズラ。端正なフォルムと圧倒的な存在感。 ビジネスのプレゼンテーションに。彼女へのプロポーズの夜に。人生で一番大切なシーンでかぶっていたい珠玉の逸品」。今、まいど屋には誇るべきズラがある。その他の商品の取り扱いを全て止めてしまっても、絶対に失ってはならないものがある。それは自分が自分であることの意味そのもの。唯一無二のレゾン・デトール。まいど屋はいかに生まれ変わったのか。以下、まいどズラの開発秘話を紹介していこう。
 
 

開発編
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試作品1号は髪がフエルト製
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ブラック×ゴールドの洗練されたパッケージ。フランス語で「まいど屋より愛をこめて」と記されている。
「まいどズラは、非常に難しい案件でした。でも、やらなければ!の思いでなんとか仕上げることができ、今はとても満足しています」。そう話すのは、まいどズラ開発に協力してくれた某制作会社の藤本さん。デザイナーとしてのキャリアをもつ彼女は、アイデア勝負のノベルティの企画・開発に携わり、これまでユニークなオリジナルグッズの数々を世に送り出してきた。
  「昨年秋にまいど屋様から“マンガの主人公のカツラを作りたい”とお話がありました。ホームページでキャラを見ると、かなりお茶目な感じだったので、てっきり、パーティーなどで楽しくかぶってもらえるようなモノかと・・・」。藤本さん、これが大きな勘違いだったと気づいたのは、それからしばらく経ってのこと。そう、まいど屋は、限りなく本物に近い本格ズラを望んでいたのだ。
  「こちらが最初に作ったサンプルです(写真参照)。地肌はゴム製、髪は中綿入りのフエルトで、その場の雰囲気を和ませるような軽いノリのものです。これをご提案したら、こういうのじゃない!と。その時、初めて人毛ライクな本格カツラをお望みと分かり、ビックリしました」
  それが、2013年1月のこと。藤本さん、慌ててキャラの髪形を詳細にチェックするため、まいど屋にマンガの画像を大量に送ってほしいと依頼してきた。「画像がきて、ガ~ン!!この髪形をどうやって人工毛のズラにすんの?後ろはどうなってんの?俯瞰で見ると、どうなの?って。画像を見ても手掛かりが少なすぎて分からない。ええ~っ!とうていムリ~!!って感じでした(笑)」。
  結局、モヒカンの変形バージョンと判断。キャラの6面図を起こして、スキンヘッド+髪を立てる、の方向で進めていくことにした。
  そんな藤本さんに、さらなる難題が降りかかる。「頭皮部分が多いので、カツラやウイッグの業者さんでは難しい。かといって、弊社とお付き合いのある業者さんでは、とてもじゃないけど対応できない。それで、人づてに紹介いただいたり、ネットで調べたり、あらゆる手を使って製造業者を探しました。あっちの業者、こっちの業者と片っ端から打診したのですが、ロットとの兼ね合いで、どこも受けてくれなくて・・・」。
  困り果てた藤本さん。それでも諦めずにコツコツとあたっていくと、ついに、とある業者に辿り着いた。「コスプレグッズを作っている会社で、中国の工場でオヤジズラを製造しているんですね。もう、ここしかない!と、すがる思いで粘り強く交渉したら、引き受けてくださいました」。
  安堵も束の間。すぐさま新たな壁に直面する。何しろ、ズラ界の最先端を突っ走るまいどズラ。いばらの道を歩まざるを得ないのは、先駆者の常である。「中国とは感覚的な違いがあるので、ニュアンスが伝わりにくいんです。覚悟はしていたんですけどね・・・。それと、時期も悪かった。工員さんが旧正月で帰郷してしまい、1ヶ月ほど工場が動かなかった。それで、サンプルを提出するのに2ヶ月もかかってしまいました」。
  参考までに、この間、藤本さんが直面した問題と、工場側の対応の一例を紹介しておく。ちなみに、この時点では既にまいど屋のこだわりは、藤本さんのこだわりとなり、目指す高みは完全に一致している。さらなるクオリティーを求め、根気強く指示を出し続けた彼女の奮闘を讃えたい。
 
  1)工場保有の型でサンプルを作ったところ、おでこにシワが入っていてNG。
  →納期短縮&コストダウン対策が裏目に。シワなしタイプの型を新たに製作。
 
  2)髪の材質が粗悪。地肌のゴムの色が不自然で目立つ。
  →ゴムの色はナチュラルになったが、髪質が変わっておらず、再度のオーダーにより、自然な人工毛に。
 
  3)毛が抜けやすい。
  →加工法を見直し、改良によりクオリティーUP!
 
  4)まいど君の髪形にもっと近づけたい。
  →とんがり部分の髪を固めて、完成度UP!
 
  「改良品ができるたびに、社内のみんなにかぶってもらって、どお?どお?って聞きまくりました。男性社員は皆さん応援してくれましたが、女性社員は終始笑ってましたね。いちばん似合ったのは、うちの社長。ちょいメタボで、顔も大き目なのでフィット感バッチリでした(笑)」。
  ズラの量産手配がひと段落すると、次はパッケージや、同梱する取扱説明書、スペシャル特典(マンガ『まいど君がゆく』幻の最終話)の制作。これらすべて、藤本さん自らデザインを手掛けた。「ズラのスタイリッシュなお洒落感、高級感を表現するために、箱はマットな黒にゴールドの箔押しとし、書体やレイアウトにもかなりこだわりました。この一文、フランス語で“まいど屋より愛をこめて”って書いてあるんですよ」。
  ズラの量産が遅れたので、せめて取説とマンガだけはキッチリ間に合わせようと、泣きながら徹夜で作業したという藤本さん。ありがとうございます!
  「まいどズラ、かぶると違う自分になれて面白いですよ。私の場合は、ストレス解消の切り札ですね。これをかぶって鏡を見ると、イヤなことなんか、いっぺんに吹き飛んじゃいます!」。
  さぁ、皆さんも、迷うことなくまいどズラ。泣きたくなるような切ない夜にも、人生の試練に直面した時にも、物言わぬズラが、あなたにそっと寄り添ってくれるから。今なら特別に書き下ろされた『まいど君がゆく』幻の最終話のオマケもついている。まいど屋プロデュース、藤本ディレクションの渾身の力作を、ぜひ、前向きな人生にお役立ていただきたい。
 
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同梱の取説とマンガ『まいど君がゆく』幻の最終話(書き下ろし)
 

    

ウワサの世界ブランドを堪能せよ!

全人類が共通して抱くズラへの憧憬を、普遍性のあるフォルムにまとめ上げた、21世紀の最高傑作。ひとはズラをかぶるとき、文化や国籍の違いを超え、ただ生きることの本質的な意味を顧みるようになる。妥協を許さない職人技に支えられたズラのクオリティーはもはや芸術の域。