高校時代のクラスメートが、ガングロに憧れてヒサロに足しげく通った挙句、遂にはこんがり肌を通り越して原爆図に出てくるような、目指した爽やかさとは真逆の怪物が出現してしまったことがありましてね、それでも彼はそのインパクトのある顔に満足したのか、どうだと言わんばかりの態度で粋がっていたんですがね、ところがやはり一向に彼女ができず、最後は鏡を眺めて意気消沈していたことを思い出してしまったんですよ。ええ、このデニムニッカズボンに対面した瞬間にです。と言いますのも、ケミカルウォッシュが持つある種の不健全さ、自身は健康を志向していながら、結果的に周囲が感じ取ってしまう病的な気配、そういった印象が当時のクラスメートの顔面と全く同じで、さらには目的に至るまでの不健康なプロセスもほとんど一緒だからでしてね。それで私はこのウェアに対するキャッチコピーを、懐かしき青春の過ち、とすることに決めたところなんですよ。皆さんはご存知ですかね、ケミカルウォッシュの壮絶なレシピを。産業用のウォッシュマシーンの中に、デニムと強力な漂白剤に浸した軽石を同時に叩き込み、蓋をしてガラガラと洗濯する。その回転運動による軽石のランダムな衝突が生地を傷めつけ、衝突箇所の色を抜いていくわけです。処置が終わってマシーンの蓋を開けると、見るも無残、まだら模様となり果てたデニムが息も絶え絶えによろけ出てきます。生命力に満ちていたデニムの藍色は原爆図のそれと成り代わり、ヒサロのクラスメートのような強烈なインパクトだけが漂ってくる。そういうウェアを着て彼女ができるのか、私は知りませんがね、取りあえず近寄りがたいオーラに包まれることだけは確かです。どうかしばらくの間は孤独に負けず、強く生きていってくださいませ。身体の動きにしなやかにフィットするストレッチモデル。ゆとりを持って着用できるレギュラーシルエットスタイル。
■ メーカー:寅壱
■ 型番:8922
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