一体、彼女はどこに行ってしまったんだろう?僕に残されたのは、このウェアと、謎めいた彼女の言葉だけだ。あの晩、二人は並んでソファーに座り、タブレット端末でまいど屋の作業着を物色した。僕は画面の上を滑らかに動き回る彼女の指先を見つめていた。彼女は寒さに弱い僕のために、防寒着を選んでバスケットに入れた。そして唐突にこう言った。離れていても、通じ合うことはできるのよ。遠くからテレパシーみたいに想いを伝えられたら、それは素敵なことじゃない?素敵だね、と僕は言った。そうなれば、帰りの電車の中から、毎晩夕食のリクエストをするんだ。僕が家に着くと、テーブルには素敵なディナーが用意されている。素敵な入浴剤の入った風呂も沸いている。素敵なランジェリー姿で君は僕を迎えてくれる。僕の冗談に、彼女は反応を示さなかった。予想外の沈黙の後、触れ合って意思を確かめ合うことが、苦痛に思えることがあるの、と彼女は言った。彼女はタブレットに目を落としたままだった。翌日、家に帰ると彼女は消えていた。代わりに佐川急便で届いたこの防寒ベストが、玄関の脇に置かれていた。僕はそれをジャンパーの下に着込んで現場に出る。スマホを取り出し、専用アプリのボタンを押すと、ウェアに仕込んだ電熱のヒーターユニットがじわじわと温度を上げていく。僕は覚えている。風呂上りの彼女の髪の香りを。二の腕に感じた、彼女の手の温もりを。暖かいね、と僕は呟く。まるで彼女に守られているみたいだ。手持ちのスマホと連動可能なBluetooth通信機能搭載。本体スイッチに触れずとも、離れた位置からオン・オフ・強弱の切り替えができる電熱ベスト。着用時はアウターに響かず、使用後はコンパクトに収納もできる薄型仕様。表地に上品な風合いのワッシャー加工付き。*ヒーターベストに取りつける電熱ヒーターユニットは別売りです。電熱ヒーターユニットをお求めのお客様は、「関連商品」欄をご覧ください。
■ メーカー:クロダルマ
■ 型番:54372
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