悪いけど、今日はそういう気分じゃないのよ、と女は云った。あなたがいくら元気なところをアピールしたって、そしてそんな風に私の前で立ち続けていたって、そういうことを受け付けられない日もあるのよ。表情は悲しげで、口調はどこか投げやりだった。女の顔は確かにこちらを向いていたのだが、その視線はどこか遠い世界を彷徨っているように見えた。まるで僕がここにいないみたいだ、と僕は云った。僕はここにいるけどここにいない。君には僕の姿が見えていない。だから気分が高まっていかない。なんとかその場の空気をほぐそうとした僕のジョークは、女の心に響かなかった。それどころか、彼女の心をよりいっそう固く閉ざしてしまったようだ。見えてるわよ、と女は怒ったように云った。その情けない姿をずっと見続けて、いやになっているのよ。年がら年中立ちっ放しなのが男らしさじゃない。女はときどき、力が抜けてリラックスしている男を見たくなるの。そういう状態を目にして、愛おしいという感情が湧いてくるのよ。そして自分の手で何とかまた奮い立たせてあげたくなるの。あなたのは最初から天井を向いてるじゃないの。それがどんなに滑稽なことか、わかっているの?わかった、と僕は云った。そして彼女が指摘した部分をだらんと下にぶら下げた。これで君の言う通り、品行方正に見えるのかな。女は僕の姿を品定めするように眺めた。そしてしばらく考えてから、そう、それでいいのよと云った。立たせるのは、気持ちが本当に高ぶったとき、ここぞという場面だけにしてちょうだい。そうしよう、と僕は云った。通常は端正なポロ襟スタイルで。戦闘モードに入れば精悍な立ち襟スタイルでも。シーンや気分に応じて2通りのシルエットが楽しめる二重衿仕様。通気性と吸汗速乾性に優れたハニカムメッシュ素材。脇下にイヤなニオイを防ぐ消臭テープ付き。
■ メーカー:クロダルマ
■ 型番:25475
※"クロダルマ"の特集1 2 3 4 5 6 7 8 9 10