味わいはどこまでも、深く、濃く!寅壱にこのウェアを手渡されて、そんなキャッチを捻り出した。今は別の考えがあるから正直に言うが、実はいつもと違って、かなり苦労して作りだしたフレーズだ。大抵の商品の場合は、ファーストインプレッションで書くことがすんなり浮かんでくる。質感だったり、デザインだったり、その商品特有のポイントを掴むコツさえわかっていれば、そんなに難しいことじゃない。試着してみれば、フィット感や動きやすさについての評価が固まって、商品説明の骨組みがほぼ出来上がる。スペックなどの細かな解説は、カタログを見て補足してやる。まいど屋の商品画面は、そんな手順を踏んで一丁上がりとなるわけだ。実に簡単な作業なんだよ、コイツを除いては!最初に書いた通り、今回はまず第一印象から想像を膨らます段階で躓いた。時間をかけて頭をひねったものの、ポジティブな言葉が浮かんでこないんだ。苦し紛れに味わい云々について始めてみたが、本当は全く違った感想を持っていた。もしも自分の気持ちに正直に話してもいいのならば、使い古された中古ウェア、まいど屋はとうとうメルカリと変わりなくなった、だったんだよ!長い年月をかけて様々な記憶を蓄積してきたような、独特のくたびれた雰囲気。そんなボディーに新品であることを示す商品タグが付いている。その価値観は、裏原宿あたりでひっそりと商売を営む古着屋と変わらないんだ。これほどまでに感情移入できるウェアがあるだろうか、と寅壱は開き直ったように胸を張る。原宿の商店主と全く同じ口調で、マニアにしかわからないヴィンテージの世界観について語り始める。その美意識のありかについて、まいど屋はここで知ったように書くことは差し控えよう。わかるひとにはわかるんだそうだから、あとは愛好者だけで勝手に盛り上がってくれよ。ラフに着こなせるユーズドスタイル。身体の動きにしなやかにフィットするストレッチモデル。動きやすさをさらに高める3D立体縫製。
■ メーカー:寅壱
■ 型番:8920
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